2013年11月18日月曜日

LinuxやMacにもオープンストレージZFSを! -SDS3-

10月22-24日の3日間、シリコンバレーのSanta Clara Convention CenterでOpenStorage Summit 2013が開かれた。勿論、スポンサーはNexentaである。(該社の記事はここ)これまで、このカンファレンスではNexenta関連の話題が多かったが、今年はクラウドコンピューティングの普及やビッグデータ、さらには情報アーカイブなどストレージ全般への関心が高まり、幅広い議論が行われた。中でも増大し続けるストレージ需要に対し、従来型ストレージシステムの容量、価格、性能への改善要求は大きなうねりとなった。この課題解決にオープン化は避けては通れない。このような背景から、カンファレンスではNexentaの基盤技術となっているZFSに注目が集まった。カンファレンス事務局によると、今年は盛況で有料参加者だけで1,200名に達した模様だ。

=時代の要請を受けたOpenZFS= 
ZFSのオープンソースプロジェクトOpenZFSが新たに組織化され、外部に伝わったのは9月17日。ビッグニュースである。カンファレンスでは、Sun時代の2001年から始まったZFSプロジェクトのCo-FounderであるMatt Ahrens氏から報告があった。OpenZFSはOracleによって終了したZFSプロジェクトの後継であり、主要メンバーはLinux、FreeBSD、Mac OS X、そしてillumos(OpenSolarisの後継プロジェクト)のコミュニティーだ。最大の目的は多様なディストリビューションの信頼性、機能性を維持し、よりパフォーマンスを向上することである。現在のZFSディストリビューションは約10種、①Darwin系のMac用MacZFSとZFS-OSX、②FreeBSDとその派生として生まれた ③Debian GNU/kFreeBSD、④FreeNAS、⑤PC-BSD、⑥illumos系とその流れを汲む ⑥OmniOS、⑦OpenIndiana、⑧SmartOS、Linux系では⑨Gentoo、⑩ZFS on Linuxなどだ。

=LunixにもAppleにもZFSを!=
Matt Ahrens氏はカンファレンスで、「爆発的に増え続けるデータ保管のためにZFSは時代の要請を受けており、そのためにユーザーはどのOSにもZFSが搭載されることを望んでいる」と説明して、大きな拍手を受けた。この意味はZFSのこれまでの流れを追うと良く解る。2001年、氏ともうひとりのエンジニアによってSunのZFS開発は立ち上がり、Solarisと共に2005年、オープンソースとしてコードが公開された。翌年すぐにLinuxへの移植プロジェクトが動き出した。初期のFUSEプロジェクトである。その後、2008年、本格的なLinuxへの移植プロジェクトがスタートしたが、なかなか進まず、今年8月、最初の安定版がリリースされた。AppleによるZFS移植プロジェクトも2007年に開始。しかしこのプロジェクトは2年で中断、その後、コミュニティーがMacZFS開発を継続した。さらにLinuxで開発したコードを採用したZFS-OSXの整備が進み、次世代MacZFSに搭載すべく作業が進んでいる。
 
  • 2001 – Sunで2人のエンジニアによりZFS開発開始
  • 2005 – OpenSolarisの一部としてソースコードが開示
  • 2006 – Linux向けFUSE portの開発開始
  • 2007 – AppleがMac OS XにZFSの移植を開始
  • 2008 – FreeBSD 7.0の一部としてリリース
  • 2008 – Native Linux Portの開発開始
  • 2009 – AppleのZFSプロジェクト閉鎖、しかしMacZFSプロジェクトがコード開発を継続
  • 2010 – OpenSolarisが終了、その後Solaris用ZFSはオープンソースではなくなった
  • 2010 – illumosがOpenSolarisの後継として組織化、ZFSも継続、他OSはこのコードを利用
  • 2012 – 新機能サーポートのためZFS On-Disk Formatを導入
  • 2013 – MacZFSの安定化と平行し、次世代向けZFS-OSXではLinuxコードを採用
  • 2013 – Linux向けZFSの最初の安定版リリース
  • 2013 – OpenZFSの正式発足アナウンス

=OpenZFS Developer Summit 2013開催=
ZFSは新たな時代を迎え、再度、脚光を浴び始めた。
今やるべきことは、①Linux向けZFSの安定化と普及、②Mac/OSXへの適用促進だ。そのためには、もっとエンジニアを集めなければならない。議論の末、11月18-19日、San FranciscoでOpenZFS Developer Summitの開催が決まった。どの位、デベロッパーが集まるのだろうか。カンファレンスの進め方はハッカソン(Hackathon-HackerとMarathonを合わせた合成語)方式だ。日本語風に言えば、プレゼンテーター付きわいがやミーティングである。スピーカーは、各々、ZFSに関する得意分野をしゃべり、参加者はプレゼンを聞きながら、わいがやをして理解を深めていく。シリコンバレー流トレーニング術である。
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ZFSが如何に優れていても、勿論、万能薬ではない。
本来のデザインがSolaris標準のFile Systemであったように、高性能OSが持つ機能である。そして中小規模のストレージシステムである。しかし、近未来、Linuxの標準として整備される日、いや、どこか大手のLinux DistributionがEnterprise向けに実装する日がくれば、ユーザーの利益は計り知れない。File構造の簡単なMacユーザーにとってはなおさらのことである。

2013年11月11日月曜日

ZFSを利用したNexentaの低価格ストレージ -SDS2-

SDS(Software-Defined Storage)議論のポイントが幾つかあることは前回述べた。今回はその中でも最重要な低価格化に取り組むベンダーを紹介する。

=Nexentaが取り組むオープンソースZFS=
Nexenta SystemsはSunのオープンソース遺産を継承して始った。狙いは世界最強のファイルシステムZFS(Zettabyte File System)を商用化することである。思えばSunがZFSのコードをオープン化したのは2005年11月。Sunの全盛期、ZFSは最大の武器と言って良かった。アドレッシングにおいてほぼ無限の拡張性を持ち、多機能で信頼性は抜群、その良さを知った米金融機関の多くがZFSの虜となった。Nexentaはこのオープンソースを使って、低価格なストレージシステムを提供する。

=Sunの試み!Open Storage=
「Open Storage」は、Sun再建のため弱冠40歳にしてCEOになったジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏が、就任以前から進めていたオープン化戦略の落し子である。(詳細はここ)。2005年初頭、Sun OSのopenSolarisプロジェクトが始動し、その後、Java関連製品も次々とオープン化された。Sunは2008年秋のリーマンショックで満身創痍の中、同年11月、2005年4月に買収したStorageTek製品のオープン化戦略を発表した。これがOpen Storageアーキテクチャーを採用したアプライアンス「Sun Storage 7000」シリーズである。Sun Open Storageはx86機にSolarisとZFSを搭載し、①128bit Addressingによる無限の拡張性、②Copy-on-Write型完全トランザクション処理やEnd-to-EndのCheck Sum機能による堅牢性、③DTraceによるダイナミックな管理性、④DRAM/SSD/HDDのシームレスな階層化とリソース共有(Hybrid Storage Pool)やPipeline/Random Writingなどによる高性能性、さらに ⑤Snapshot/Clone、Compression、Remote Mirroringなどの多彩な機能を持ち、その核となったZFSは究極のファイルシステムと呼ばれた。

=illumosプロジェクト= 
OracleによるSunの買収後(2010年)、ZFS関連のエンジニアの多くはNexentaに移籍した。ZFSを商品化するには課題が幾つかあった。最大はSolarisのオープンソース版であったOpenSolarisが完全でなかったことだ。欠けている要素があった。Sunが始めたOpenSolarisプロジェクトは、結局、この問題を解決せずに、2010年8月、Oracleによって打ち切られた。この後を引き継いだ流れは2つ。ひとつは完全なSolaris互換を目指すOpenIndianaプロジェクト。もうひとつはillumosプロジェクトである。illumosはより現実的にSolarisカーネルと関連ユーティリティティのみを整備し、ZFSとの融合を目指した。このためにNexentaがスポンサーとなってillumos Foundationが設立され、Committeeが始まり、OpenIndianaもこの組織下に入った。

=出来上がったNexentaStor、価格は大手ベンダーの1/3~1/2=
Nexentaが開発したのはNexentaStor。提供するのはx86で稼動するソフトウェアのみである。これまで既存ストレージベンダーがHW/SWを一体に提供してユーザーをロックインしてきた戦略とは、まったく異なる。ユーザー自身がインストール&セットアップしても良いし、同社のパートナーが提供するインストール済みのハードウェアを利用しても構わない。DellやCisco、SGIなどの大手からSIerまでが彼らのパートナー(日本はコアマイクロシステムズ)だ。 これなら稼動保障やサポートがあり、手間が省けて安心である。費用面でみると、NexentaStorをユーザーが自分で導入すれば、大手ストレージベンダー価格に比べて1/3~1/2程度、パートナーのハードウェアを利用しても1/2程度だという。NexentaStorには標準以外に、近距離遠隔HA対応のNexenta MetroHA、VMware ESXiのVMとして動くVirtual Storage ApplianceのNexenta VSAも用意されている。NexentaStorはZFSをベースとしながらも、拡張したUnified Storageとして、SAN、NAS、Objectが扱える。このObjectはOpenStackのFile SystemのSwiftを移植したものだ。サーバーインターフェースにはiSCSI、FC(Fibre Channel)、NFS(Network File System)、CIFS(Common Internet File System)、Infini Band(予定)などがあり、ストレージ接続はブロックインターフェースでSATA、SAS、FC、iSCSIなどだ。HAクラスタならStorage Enclusure経由でRAIDやJBOD(Just a Bunch Of Disks)にも対応する。NexentaStorのVersionは現行が3.15、ここまでがOpenSolaris対応だが、年末までにはVersion4としてillumosベースが出荷予定である。

現在、Nexentaのビジネスは順風だ。
振り返ると、2004年、後にNexentaのCo-FounderとなるAlex AizmanとDmitry YusupovがOpen iSCSIを提唱し、翌2005年にSunがOpenSolarisとZFSを公開。すぐに、2人はこの好機を活かすべくNexentaを設立した。平行して始めていたillmosプロジェクトのお陰でこれらの組み合わせは成功し、ビジネスは軌道に乗り始めた。現在、NexentaStorのユーザーは世界で5,000社を超えると聞く。中でも最大はKT(Korean Telecom)だ。2011年、同社はAmazon対抗のクラウドサービスKT cloudwareを計画し、サービスインした。このクラウドの最大のウリは低価格サービスだ。KTのプラットフォームはCloudStack、ストレージはNexentaStor、共にオープンソースである。

2013年11月1日金曜日

SDS(Software-Defined Storage)を考える!-SDS1-

SDN(Software-Defined Network)の議論が沸騰し、それに引きずられるように、SDS(Software-Defined Storage)についても話題にのぼるようになった。
しかし、SDN議論のきっかけとなったOpenFlowやNFVの定義など顕著な動きはSDSにはまだ見られない。ただ、SDS関連技術の幾つかは新しいものではない。古くて新しいのがSDSである。VMwareのSDD(Software-Defined Datacenter)構想を引用するまでもなく、SDNと並んでSDSは、クラウドだけでなく、これからのコンピュータ技術の重要な構成要素である。

Server VirtualizationのHypervisor開発(上図)はほぼ片がついた(DONE)。SDNは開発途上であり(onging)、SDSはこれ からが本格的な議論である(just started)。この議論には以下のようなポイントがあるように思う。

① ストレージの低価格化
ま ずSDSの進展によってストレージの価格は下がるのだろうか。SDNが叫ばれ始めた動機は複雑で硬直化したシステムの簡素化が主要素だった。SDSでも まったく同様である。この課題解決には、現行ストレージシステムの構造改革が不可欠だ。一方で高価格への不満もある。共に大手ベンダーによる市場寡占が原 因だ。ベンダー固有OSと付帯する各種の機能群、さらには高速化のために開発したASIC、これらは典型的な個別投資によるプロプライエタリーの文化であ る。「複雑化」と「高価 格」、この2つはまさに裏表と言える。これだけコモディティー化とオープンソース化が進みサーバー機器やOS、DBなど基本ソフトウェアの低価格化は徹底 したというのに、ストレージ機器は、ネットワーク機器同様まるでメインフレーム時代のままのようだ。これをSDSでブレークできないか。今やストレージシ ステムの記憶媒体となるお皿のHDDはコモディティーとなった。問題は制御部(Controller)である。
② ストレージの仮想化
その上で、センター内に散在する多様なストレージを何とかしなければならない。これら個別目的に利用されるストレージを統合し、多目的で利用できるシステムが必要である。回答はストレージの仮想化だ。今ふうに言えばConverged Storageである。市場では一部の異なるベンダーのものを仮想化し、共通ストレージ(Storage Pool)とみなす製品が出始めた。もうひとつ、サーバーと同じ手法でHypervisor化する議論も進んでいる。これらの議論がさらに進めばGrid Computingで世界中のPCエンジンの余力を使ってスーパーコンピュータ並の計算をしたように、散在するストレージの余力を寄せ集め、アクセス速度は遅くても、途方もない巨大なストレージが作れるかもしれない。
③ ストレージの高速化
新しい技術との融合も重要なポイントである。
CPU の演算速度の向上には「ムーアの法則」がある。HDDの性能では容量とアクセスタイムが決め手だ。アクセスタイムを決める回転数は7,200rpmから 10,000rpm、そして近年では15,000rpmの製品も出てきた。しかし、HDDの構造はそのままだ。回転数を早くし、それによってシークタイム を改善する。物理的な回転体に頼る技術、そのものがもう限界である。市場には既にフラッシュメモリーとディスクアレイを組み合わせた高速ディスクシステム が多く見られる。そして、フルフラッシュ・ストレージも登場した。SSDの価格低下が進めば、HDDに替わって、フルフラッシュ・ストレージが主役の座に なる日も遠くない。勿論、ストレージの高速化では、それ以外に、インメモリーDBもある。これらを駆使して、Big Data処理を効果的に行おうと、ベンダーは笛や太鼓で宣伝に忙しい。
④ クラウド対応
ストレージの高速化に関連して、もうひとつ大事なことがある。
ク ラウド上のストレージだ。現在、我々は便利なクラウドストレージサービスを沢山手に入れた。バックアップやクリッピング、ファイル共用など数えあげたら切 りがない。しかしこれらは一般向け(Consumer)が主だ。企業(Enterprise)向けではAWSのS3やEBSなどがクラウドサービスの一 環として提供されている。しかし、これらのクラウドストレージにユーザーは満足しているだろうか。容量はともかく、アクセス速度、つまり、レイテンシーに 関する不満は多い。これはクラウドストレージの構造からくる問題で、On-Premiseと比べれば歴然である。

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以上、例示したような視点で議論を重ね、新たな開発が進展することを期待しながら、次回以降、幾つかの技術やベンチャーを紹介していこう。

2013年10月27日日曜日

老舗クラウドストレージサービスの倒産-Nirvanix-

10月15日、ついにクラウドストレージサービス老舗のNirvanixがシャットダウンした。倒産Chapter-11の発表からたった2週間後である。

=Announcement(同社ホームページより)=
過去7年間、私たちはクラウドストレージソリューションを提供してきました。しかし、今、私たちはビジネスを終了させなければならないという結論に達しました。そして最善の結果を出すために皆様の積極的な協力が必要です。私たちはお客様がデータを戻されるときでも、IBM SoftLayerやAmazon S3、Google Storage、Microsoft Azureなど他プロバイダーに移される場合でも支援します。特に、私たちはIBMと提携があり、IBMチームは手助けの準備が出来ています。加えて、幾つかのプロバイダーとは、Nirvanixから彼らのサービスに移す高速データ転送を用意しました。私たちは緊急対応チームを設け10月15日まで皆様の移行プロセスのお手伝いをします。電話は(619) 764-5650、営業時間内はカスタマーサポートメニューで2を押してください。営業時間外は(888) 791-0365。もしくはcustomersupport@nirvanix.comにメールをください。最新情報の確認のため、定期的にこのWebページをチェックしてください。私たちは皆様のご支援と忍耐に感謝します。
-Nirvanixチーム


=Nivanixのストレージサービスとは=
ここで念のため、同社のサービスNirvanix SDN(Storage Delivery Network)について振り返っておこう。SDNはグローバル配置のストレージ・ノードを利用したクラウドストレージサービスである。世界配置のストレージノードによって、 ユーザーは地域的に分散させてバックアップを採ったり、また、ユーザーアクセスの多い地域のノードにファイルをコピーしてユーザーエクスペリエンスを向上 させることができる。同社が当初想定したアプリケーションは、(1)パワーユーザーやエンタープライズ向けデータバックアップ、(2)コンテンツプロバイダー向けCDN(Content Delivery Networks)、(3)個人向けデジタルメディアを格納するデジタルロッカー、(4)エンタープライズオンラインアーカイブ、(5)Web 2.0アプリケーション、(6)ストレージサービスプロバイダーへの適用などだった。こうして見ると、初期ターゲットは、パワーユーザーだけでなく、一般というよりはコンシューマー市場向けのサービス開発企業に向けられていたことが解る。


=何が問題だったのか=
Nirvanix(本社サンディエゴ)の設立は2007年7月。初期のVenture Fundは$12M(2007/9)、続くSeries A(2007/12)にはIntel Capitalも参加して$18Mと、この年だけで合計$30M(約30億円)を集めた。

①AWS対抗は上手く行かなかった? ・・・ Nirvanixが見せた初年度の集金力は凄い。これは、同社のサービスが始まったばかりのAmazon Web Service(2006年)対抗を鮮明にしたからであった。当時の同社WebにはS3とNirvanix SDNの比較表を載せ、しきりにプロモーションをしたり、技術的な差を説明していたことからも解る。しかし、時間の経過と共に、人々は優秀であってもクラウドストレージだけというサービスより、AWSやRackspaceなどの総合クラウドサービスに引き寄せられていった。

②多機能が裏目に? ・・・ もうひとつの問題はSDNの多機能にあったようだ。基本のストレージ機能でAWS S3に挑戦しながら、一方で世界展開のマルチノードを用いて、CDN(Content Delivery Network)市場も狙っていた。ここには元祖Akamaiがいるし、挑戦者のLimeLightもいた。

③本当の顧客は誰か? ・・・ このような多面作戦の結果、本当のユーザーが見えなくなった。初期のパワーユーザーとコンテンツデリバリーなどの企業ユーザーから、暫時、一般企業向けに同社方針が移っていったことからもそれは推察できる。

④マネージメントは? ・・・ 以上のような状況はマネージメントの混乱を伺わせる。創業以来、NirvanixのCEOは5人。特に昨年からはひどかった。2010年以来のCEOが昨年12月にOracleに移籍、CSO(Chief Strategy Officer)が今年4月まで暫定CEOとなり、その後、MicrosoftとCiscoで役員だった現CEOが就任した。全ては戦略の問題だったように見える。最近の同社のキャッチフレーズは“Enterprise Cloud Storage Company”である。

⑤再投資へ ・・・ 初期Venture FundからSeries A、そしてBが$5M(2009)、Cは$10M(2011)、さらに昨年5月Series Cとして$25M(約25億円)の調達が行われた。これが最後の生き残りを賭けた投資だった。リードしたのはKhosla Venturesだ。Vinod KhoslaはSan Francisco Bay Areaで一目も二目も置かれる著名なVCである。彼ほどの男が今回は見誤った。投資総額は$70M(70億円)である。

2013年10月17日木曜日

SDNかNFVか、ネットワークベンダーはどう動くか!

今や話題先行気味のSDN(Software-Defined Network)に対し、NFV(Network Functions Virtualization)が静かに浸透しつつある。このNFV(White Paper)は、AT&T(米)やBT(英)、CenturyLink(米)、China Mobile(中)、Colt(英)、Deutsche Telekom(独)、KDDI(日)、NTT(日)、Orange(仏)、Telecom Italia(伊)、Telefonica(スペイン)、Telstra(オーストラリア)、Verizon(米)などが参加するインダストリーコンソーシアムが、自ら抱える課題解決のために考え出したものである。キャリアやプロバイダーが展開するセンターには、ネットワーク機器群が所狭しと並び、それらの保守管理、さらには増設には気が遠くな る作業が伴う。NFVでは、これら機能をソフトウェア・アプライアンス化し、統合サーバーの仮想空間などで稼動させる。
周知のようにSDNは、自由なネットワーク環境を求める研究者などが考え出したものだ。この2つについて、曰 く、SDNはソフトウェアの視点から、NFVはハードウェア(機器)からのアプローチでだとするもの、SDNは上からでNFVは下から、さらには、SDN は理想論、NFVは現実論だともいう。これに関連して、White Paperに興味ある関連図(右)がある。NFVチームが纏めたものだ。この図では、SDNはネットワークの抽象化で積極的な改革を目指し、NFVは CAPEX(Capital Expenditure-不動産設備投資)やOPEX(Operating Expense-運営費)の改善、さらには設置スペースと電源消費の削減が目的であるとしている。そしてSDNもNFVも、外部企業によるOpen Innovationによって競合力を作り出さなければいけないとし、つまり、2つは競合するものではなく、共にオープン化によって進化・共存ができると 説明する。さて、実際のところ、大手ベンダーはどう動くのだろう。

 =Cisco Systems=
時代の転換期にさしかかり、Ciscoの動きは複雑だ。NFVが基本のような立場にありながら、CiscoはXNC(eXtensive Network Controller)を出してSDN分野への積極的な進出を思わせたり、さらにはNexus 1000VによるVXLANサポートでVMware連携も実現させた。しかしこれらはCiscoがNFVを基本としながらも複合的な独自戦略を進めるというサインである。鍵となるのはCisco UCS(Unified Computing Server)だろう。このサーバーにNFVのアプライアンス群を統合して搭載し、省スペース、省エネを図る戦略だ。Ciscoは搭載ソフトを探すため、外部ソフトウェアベンダーとも積極的に交渉している。また、以前からCiscoと関係が深く、最近、再投資が行われたスピンイン企業Insieme Networksも要注意だ。この会社ではSDN関連製品が開発されている。このようにCiscoは多面的な戦略を採る。この記事ではその鍵はCisco UCSだと予測した。CiscoとEMC/VMwareの3社が設立したVCEという会社を思い出して欲しい。VCEのVblockはCiscoサーバーにVMwareを載せてEMCのストレージを繋ぎ、高信頼性を売りにした。しかし、VCEビジネスは上手くいっているとは言い難い。こんどこそ、UCSビジネスを前面に押し出せる絶好のチャンスである。

=Brocade Communications= 
このところBrocade Communicationsは、CiscoとSDNが気になってきた。
同社の基本戦略はNFVだが状況は流動的だ。BrocadeはASICベースの高速ファイバーチャネルスイッチやイーサネットスイッチなどを得意する。そのBrocadeがVyattaを買収したのは昨年11月。そしてvRouterを 手に入れた。この有名なアプライアンスはオープンソースで開発され、ルーティング、ファイアウォール、VPNなどの機能を持ち、殆ど全ての仮想環境で動作 する。vRouterは世界中で100万ダウンロード、AWS上に展開して利用するユーザーも多い。Brocadeはこれを基点に自社製品をアプライアン ス化し、時代の流れに乗る戦略だった。実際のところ、ロードバランサー機能を持つApplication Delivery Controller ADXはソフトウェアアプライアンスとして、年末にはリリース予定だ。しかし、この流れだけでは市場状況に適合するのははキツイ。そこでOpenStackとの連携を強化、VCS、Virtual ADX、Vyatta vRouterのNeutronプラグインの提供を開始した。ただ、これもNFV戦略の延長である。本来のSDNとしてはOpen vSwitchの対応が済み、次はOpen Daylight待ちだ。
問題はCiscoがどう出るかである。
=Juniper Networks=
Microsoftに16年在籍したKevin JohnsonがCEOとしてJuniper Networksに参加したのは2008年9月。まったくのソフトウェア人間だ。どうやってハードウェアに囲まれたネットワーク機器の世界を改革するのか、それが課せられた課題であった。その彼が昨年12月、極秘(ステルスモード)でSDN関連製品を開発していたContrail Systemsの買収を決めた。そして今年9月中旬、Juniperの新ネットワーク戦略が姿を現した。この戦略はNFVを基本にシステム全体をSDNコンセプトに適合させ、そして同社をソフトウェア会社に変身させる野心的なものである。
買収したContrailは中核となるSDNコントローラーを開発し、NFVの各種アプライアンスが仮想マシン上で稼動する。Juniperから見るとOpenFlowはプロトコルのひとつ。実際のネットワークにはBGPやXMPPが使われており、Contrailはこれらにも対応する。Contrailは有償のラセンス版だけでなく、オープンソース版も登場。このために組織化したOpenContrail.orgからダウンロードが出来るし、これによって3rd Partyを巻き込んだCloud SDNのエコサイクル構築を狙う。発表のもうひとつの衝撃はこのエコサイクルを具現化したIBMとの提携だ。IBM SmartCloud OrchestratorとContrail SDN Controllerが統合され、クラウドからネットワークまでの新しい形が現れた。この新サービスはIBMからユーザー企業やクラウドプロバイダー向け に提供される。ソフトウェアライセンスも大きく変わった。これまでのライセンスは、該当機器と対になり、その保証も限定的だった。新たなライセンスでは、 どのように使用しても良く(Full Use/Elastic)、譲渡可(Transferable)、かつ、期間中は永久保証(lifetime Assuarance)である。Juniperは、これまでキャリアや大手企業向けに高性能ルーターやスイッチ、IDSやUTMなどのセキュリティ製品を得意としていた。しかし時代は急激な変化を必要としていた。CEO の Kevin Johnsonは、将来を見据え、Contrailを買収してオープンソース化し、それをテコにライセンス改定、エコサイクル構築への道を選んだ。ネットワークの機器屋からソフトウェア屋への変身である。その彼は、路線を引き終わった今年7月末、リタイアを宣言、後は後任に任せるという。

2013年10月10日木曜日

上位レイヤーに注力する -EmbraneのSDN-


EmbraneのSDN(Software-Defined Network)アプローチはユニークだ。
SDN と言えば、通常ISO Reference ModelのL2/3でスイッチやルータを対象とするベンダーが多い。しかし、今回取り上げるEmbraneの場合は、その上のLayer4~7に注力し ている。Embraneはサービスプロバイダーや大手企業を対象に、彼らの持つ既存クラウドインフラやネットワークを前提とし、より柔軟でかつコスト競合 力のあるネットワークサービスの仕組みを提供する。

=なぜ、L4/7なのか=
現 在リリースされているサービスはロードバランサーやファイヤーウォール/VPNなどだが、なぜ、EmbraneはL4/7に注力するのか。それにははっき りした理由がある。例えばファイヤーウォールを例にとると、旧来型の製品はIPアドレスとポート番号からトラフィックを識別していた。しかしアプリが Web化された今日、これでは役に立たない。殆どのWebアプリはHTTPで80番ポートを使う。今やセキュリティー攻撃の多くがここだ。つまり時代と共 にセキュリティー対策は変わらなければいけない。何百万というルールを駆使してこれらの攻撃から守るための方法は何か。時代に対応できる製品とは何か。こ のような市場要請はロードバランサーでも同様だ。これらに対する同社の回答、それは更新可能なソフトウェアのアプライアンス化であり、そのための仕組みを 提供することである。この戦略を裏付けるデータがある。今年初め、ある機関が行った「最も大きなネットワークの課題(What are the biggest challenges at your organization)」という調査だ。これはサービスプロバイダーや企業IT部門向けのもので、挙げられた課題の2番目以降は、②迅速なネットワー ク拡張機能がない、③ネットワーク遅延、④仮想環境支援の融通性がない、⑤十分なネットワーク容量がない、⑥マルチテナント環境時のセキュリティーが十分 でない、などだ。そして1番目は、2番目以降を大きく引き離して、「①ネットワークサービス適用に時間がかかる」であった。つまり、これはアプリケーショ ンやサーバーの追加時、さらにはトラフィックの増大に伴うネットワーク構成の適正化が簡単ではないことを示している。この部分をソフトウェアアプライアン スによって自動対応が出来れば大きな効果があがる筈だ。

=vToporogyアーキテクチャー=
SDN を考える基本は、ネットワーク機器のハードウェアとそれを制御する部分をソフトウェアとして分離することである。この考えを進めれば、最低限の機能をハー ドウェアに残し、他は全てソフトウェアで対応する。現在、多くのSDNベンダーが採っているアプローチだ。このソフトウェア分離というアプローチをさらに 突き詰めれば、最上位のレイヤーから見てどうか、という議論にたどり着く。Embraneのアプローチは、この視点から“アプリケーション・セントリッ ク”なネットワークを追求したものでもある。そのためには、ネットワーク全体が現在普及しているタイプであろうと、その上にSDNがオーバレイされていよ うと、透過的でなければならない。そして考えだされたアーキテクチャーがvToporogy(Virtual Toporogy)だ。

=heleosプラットフォーム=
vToporogy の核となるのは分散型のheleosプラットフォームである。heleosは任意のx86上で稼動し、L4/7のネットワークサービスとして、アプリケー ションの全メッセージをコンテナーで運ぶように安全に下位レイヤーと接続する。heleosプラットフォームは、2つのエレメントから構成される。ひとつ はサービスを展開するコンテナーとなるDVA(Distributed Virtual Appliance)だ。そしてもうひとつがheleosの制御エンジンとなるESM(Elastic Service Manager)である。前述のように、現在、DVAは2つ、①Firewall/VPNと②Load Balancerがある。これらはグローバルIPアドレスを複数サーバーで共有するNAT(Network Address Translation)やネットワークの仮想セグメントを作るVLAN(Virtual LAN)だけでなく、VMware対応のVXLAN(Virtual eXtensible LAN) もサポートし、暗号化は192-bit 3DES、128/256-bit AESが可能だ。その上でファイヤーウォールはサイト間(Site-to-Site)IPsec VPN(Virtual Private Network)もサポートするし、ロードバランサーはL4だけでなくL7もサポートする。ESMはGUIやコマンドラインなどを用意し、最適な運用環境 を設定するためのインターフェースとなる。もしクラウドプロバイダー(もしくは企業IT部門)が業務要請によってCompute Unit数を増減させると、ESMは連動して即時にDVAを自動生成し、heleos全体を適正化する。また、DVAやESMはRESTful APIで、彼らが持つクラウド運用システムと統合することも可能できる。

以上、heleosは現実のネットワーク課題に目を向け、L3以下は透過し、L4/7に注力する。このようなEmbraneのSDNの特色を理解して採用したのは、ホスティングのPeer1、総合ITサービスのSungard、アウトソーシングのLong Viewなどである。ライセンスは利用料度数払いとサブスクリプションがある。

2013年10月1日火曜日

SDNクラウドサービス出現! -Pertino- 

ついにSDN(Software-Defined Network)をクラウドサービスする会社が現れた。
今日、どこの事務所にもセキュアで高速なネットワークがある。これを使えば、誰でも簡単にeメールやファイルシェア、そして業務アプリケーションを使うこと が出来る。しかし客先や出張先、そしてホームオフィス、さらにはパートナーから利用しようとするとどうだろう。VPNを張れば良い。それは正解かもしれな い。ただ小さな会社には、十分なIT要員はなく、スキルもない。そして、今はクラウド時代だ。どの会社もIT予算の削減を目指して、アプリケーションの多 くをクラウド上に移行し始めた。 勿論、一部、重要なアプリケーションは自社コンピュータ上に残るかもしれない。こうしてアプリケーションが分散し、利用ユーザーが多様化されるにつけ、 ネットワーク管理はややこしくなる。Pertinoの開発したクラウドベースのSDNなら簡単だ。

<基本的な動作>
ユーザーは、まず、Pertinoを同社のホームページからクライアントPCやサーバーにダウンロードし、 インストール。これを起動して、新規アカウントを作成する。この際、インストールされたクライアントのPertinoソフトはクラウド上の管理ソフト 「Pertino Cloud Network Engine」と連動する。次にネットワークを定義する。Windowsに慣れたユーザーならWorkgroup Network名をそのまま利用することも可能だ。このネットワークへのメンバー招待はeメール。メールが届いたメンバーは受け入れ確認 (Validation)のURLをクリックすれば良い。画面左上にはネットワークの選択ボックスがあり、複数ネットワークへの参加も可能である。これら 全ての情報はクラウド上のPertino Cloud Network Engineに保持される。


 <クラウドSDN>
こ こまで見ると、何だこれはWindowsのネットワーク管理のままではないかと思う人が多い。 しかし、接続するサーバーはクラウド上でも、オンサイトでもOKだし、クライアントもWindowsやMac、いずれLinux、さらにモバイルにも解放 される予定だ。勿論、クライアントは、パブリックインターネット経由で接続されるものでも構わない。
Pertinoの最初のアイデアは利用者とデバイスを集めるGoogle Circlesのようなものだった。メンバーの一人がそれならクロスプラットフォームのWorkgroup風が良いと提案。そして開発が始まった。
初 期設定が終わり、システムが動き出すと、クライアント上のソフトは仮想スイッチのように振る舞い、クラウド上のエンジンはSDNのコントローラーのように 見える。事務所内でも、自宅からでも、出先や海外からでも、クライアント上のPertinoアイコンをクリックして立ち上げ、ログインすればOKだ。これ で好きなネットワークに参加できる。勿論、ネットワークの設定はプロジェクト別や部課別など自在だ。セキュリティはAES 256ビット、完全なる暗号化である。
 
<現行バージョンと今後の計画>
Pertino を別な言葉で表すと、仮想WANをSDNとグローバルインターネットで組み合わせたものだとも言える。もうルーターやVPNゲートウェイなどの機器は要ら ない。Pertinoは今年2月、ステルスモードから抜け出て始めてクラウドサービスをリリースした。当初、クライアントはWindows 7のみ、サーバーはWindows Server 2008 R2だけだった。そして動くクラウドはAWS(Amazon Web Service)だけ。それから半年、クライアントにWindows 8が追加され、現在、Mac OS X 10.7はパブリックβ、Ubuntu 12.04はプライベートβだ。そしてサーバーにはWidows Server 2012が加わった。今後、来年にかけて、Windows XP/Vista、さらにモバイルOSのAndroidとiOSが追加される予定だ。

Pertinoが提供するサービスプランは2つ。
ひとつは30日間、3人まで使えるFREE(無償)版。各メンバーは3台のデバイスが扱える。もうひとつはProfessional版。これについて、現行の課金が解りにくく、近々変更が計画されている。