2015年5月13日水曜日

コンテナーの世界!(1)
-Virtuozzo、Soralis、Linux(LXC)、そしてDocker- 

クラウドの世界にもコンテナー技術が押し寄せ始めている。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いのDockerだ が、その技術を遡れば、IBMメインフレームのパーティションに始まる。ひとつのOSの上にパーティションを区切るこの方法は、Unix時代に適用構想が 持ち上がった。そしてUnix SystemⅤ Release 4(SVR4)とSun OSが統合されてSolarisとなり、2005年、Solaris 10でSolaris Containersが実装された。その後Linuxが登場、2008年、Linux 2.6.24でLXC(Linux Containers)として引き継がれ、2014年にはDocker 1.0 が登場した。

=コンテナーとは何か、そしてDocker!=
今さらながら、コンテナーとは何か整理してみようと思う。

◆ Parallels Virtuozzo Containers
VMwareやXenに代表される仮想化技術がハードウェアを隠ぺいして複数のOSを稼働させるのに対して、コンテナー技術はOSを隠ぺいして複数のアプリケーションを走らせる「OSレベルの仮想化(OS-Level Virtualization)」である。最初に実用化したのはSWsoft(現社名Parallels)という会社だ。2001年、OSにパッチを当てるVirtuozzo Containersをリリース。この版はLinuxとWindowsサーバ向けに独自技術のKSAL(Kernel Service Abstruct Layer)とVZFS(Virtuozzo File System)により、一つのOS上に完全にセキュアなコンテナー環境を作り出して、我々をあっと言わせた。この方式の最大の利点は処理効率にある。通常 の仮想化技術ではハードウェアが隠ぺいされているため、仮想化空間のGuest OSがIOドライバーをどう扱うかが課題となるが、VirtuozzoではHost OSのドライバーがそのまま使え、殆どネイティブモードと同じ処理速度が実現された。このため世界中のホスティング業者などが大量に導入。2005年にはそのオープンソース版OpenVZも登場したが、VMwareなどの普及で一進一退となった。2006年には状況打開のため、Virtuozzoの応用形として、Mac OS上でWindowsやLinuxなどクロスプラットフォームのアプリを実行するParallels Desktop for Macを発表した。Macの世界では今でもParallesが独走している。

◆ Sun Solaris Containers
次に、2005年に登場したのがSolaris Containersである。Parallesのコンテナー技術はOSにパッチの後付けタイプだ。しかし、SunのコンテナーはSolarisに組み込み方式で、区画されたパーティションをゾーンと呼ぶ。これらのゾーンは2つの種類がある。Solaris OS自身が乗るGlobal Zoneと個々のアプリが走るためにシステムリソースやセキュリティなどが遮蔽されたNon Global Zoneだ。このコンテナー技術はSunの他の製品稼働を保証し、扱い性も優れていた。

◆ Linux Containers(LXC) 
さらに時代が進んでLinux Containers(LXC)が登場した。LXCもSolaris Containersと類似の構造を採用し、Linuxのカーネルが乗るカーネルスペースとアプリなどのプロセスが走るコンテナー部ユーザスペースがある。カーネルスペースにはカーネルのみを搭載するので、コンテナー部に異なるLinuxディストリビューションを乗せることも論理的には可能だ。ユーザスペースのコンテナーにはプロセスが乗り、他のコンテナーと隔離される。このインターフェースとなるのがLXCだ。

 以上見てきたように、VirtuozzoやSoralis Container、LXCのコンテナー技術は同一OSをシェアする。それ故、個々のコンテナー内で使用するファイルやネットワーク、CPUなどリソース割り当てには工夫がいる。Virtuozzoでは各リソース毎のクォート管理機能を整備し、前述のVZFSは複数コンテナー間のファイルシェアリング機能も持つ。Solaris Containerでゾーン(コンテナー)が独立したOS環境を保持するための工夫が施され、ホスト名やIPアドレスなどを持つ仮想ネットワーク環境の整備、ファイルはGlobal Zone内に各Non Global Zoneの専用ディレクトリーが作られる。勿論、各ゾーン内でZFS(Zettabyte File System)の利用も可能だ。
 
◆ そしてDocker! 
LXCの構造はシンプルだ。ただその周りに十分な機能が揃っているわけではない 
Linuxだから勿論cgroupを使ったリソース制御は出来る。問題はどれほど容易かだ。Dockerの生い立ちはPaaSのdotCloudの内部プロジェクトとして始まった。そして2013年7月に独立。同年(2013年)3月リリースされたオープンソースの初期版ではLinuxカーネルの仮想化機能を利用する方法として、LXCがデフォルトとなり、他にLibvirtなど幾つかの方法があった。しかし0.9版になるとLXCがドロップし、代わって独自のドライバーのlibcontainerが標準となった(右下図参照)2014年6月、Docker 1.0が発表されると、Docker自身がコンテナー技術のプラットフォーム(Docker Engine)を目指し始めた。発表されたDocker Engineはクライアント/サーバー構成となり、各コンテナーを管理するのがDocker Servier、そのサーバーを操作するのはDocker Cliant。そして、このクライアントはRESTful APIによって多様なプログラムと連携が出来る。最新版は先月16日にリリースされたDocker 1.6だ。この版では先にリリースした分散環境向けのツール群が一部更新されて、Compose 1.2マルチコンテナのオーケストレーションツール)、Swarm 0.2コンテナーのクラスタリングツール)、Machine 0.2(クラウドやローカルマシンなどのプロビジョニング)、さらにコンテナー間認証アクセスはRegistry 2.0となった。

ワゴンに飛び乗れ!= 
今日、LinuxやWindowsの世界では仮想化技術がいやというほど普及して、汎用的に使われているが、それなりのオーバヘッドがある。ここが悩みだ。一方、コンテナー技術は同一OSのシェアなどの制限はあるがオーバーヘッドは大きく軽減される。コンテナーで先行していたParallelsが従来からWeb Hostingなどの業者に持てはやされたのは、こうした理由からである。そしてDocker人気がやってきた。考えてみればLinuxがこれだけ普及しているのだから、Linuxコンテナーが人気になるのは当り前である。元祖Linuxコンテナーの公式サイトLinuxContainers.orgにはLinuxカーネルのコンテナーインターフェースとなLXC、その上に構築されるユーザエクスペリエンスLXD、さらにリソース管理のCGManagerやファイル管理のLXCFSが揃いつつある。しかしながらその歩みはのろい。その間隙を突いたのがDockerだ。Dockerは独自技術はなく、オープンソースによるエコシステムと使い勝手の良さがウリであるだからこそ、このバンドワゴンに AmazonもMicrosoftも、GoogleやVMwareも飛び乗るのだろう。

2015年4月25日土曜日

AmazonがAWSの財務内容発表、スピンオフへ助走!
        -今年度売り上げ$5Bへ、1Q売上利益率は17%-

米国時間4月23日、Amazonから第1四半期の決算が発表された。
そして、とうとう正確なAWSの財務内容が明らかになった。これは今年1月、昨年度決算発表時のカンファレンスコールで約束したものだ。これまでこのブログでも2011/32014/10とAmazonクラウドの売り上げについて言及した。しかし、これまでの数字は、AWSは「その他(other)」の項に含まれ、推測の域を出なかった。そんな中、昨年3Q決算では、Amazon本体がインフラ投資の先行で赤字となって、AWSへの投資なども不安視された。

=昨年度売り上げは$4.6B(約5,500億円超)!
今回、これらの不安を払しょくするかのような数字が出た。
発表されたデータはかなり詳細だ。Q1 2015 Financial Result(Fig.1)を見ると、昨年度の四半期別売り上げと収益が解る。2014年度のAWS売り上げは$4.644B(約5,573億円…120円/$)。そして、今年1Q売り上げは$1,566M(約1,880億円)、年間伸び率は49%となった。
      • 1Q=$1,050M(売上)/$245M(収益)
      • 2Q=$1,005M/$77M
      • 3Q=$1,169M/$98M
      • 4Q=$1,420M/$240M
      • 1Q/2015=$1,566M/$265% 
Fig.1) Q1 2015 Financial Result
ちなみに4Q 2014 Financial Result(Fig.2)までは、AWSの売り上げは「その他」で、この「その他」とは、小売り以外のクレジット関連など全てを意味する。Fig.2をもとに昨年度4四半期分の「その他」を合算すると$5,597Mとなり、Fig.1の発表値より$953M、率にして20%多い。

Fig.2) Q4 2014 Financial Result

=AWSはスピンオフ出来るか?=
決算発表時、CEOのJeff Bezos氏は、今年、AWSは$5B(約6,000億円)ビジネスになり、まだまだ成長すると宣言した。1Qの数字で見る限り、前期より収益は7.5%増加し、営業利益率(Operating Profit Mergin=利益÷売上)も16.9%と好調だった。昨年度を振り返ると、1Qは$245M(利益)/23.3%(売上利益率)、その後はもたつき2Qは$77M/7.7%、3Qは$98M/8.4%、4Qは持ち直して$240M/16.9%となり、昨年度の利益合計は$660M(790億円)、年間営業利益率は14.21%である。

業界筋はスピンオフの準備は整いつつあると見る。
調査会社Synergy Reserchの報告によると、2014年度のクラウドインフラサービス市場は推定で$16B(1兆9200億円)、AWSはその約30%を占めている。もし年内にスピンオフ、そして株式公開となれば、知名度の一段の向上だけでなく、資金調達も楽になり、今後一層の飛躍が期待できる。発表のあった4月23日、木曜日のAmazonの終値は$389.99、市場が閉まった後のAWS財務公表で、その後、7%跳ね上がり$416.50となった。




2015年4月21日火曜日

CiscoのIntercloud FabricがGAになった!

とうとうCisco Intercloud Fabric(以下、Intercloud)正式リリース(GA-General Available)になった。米国時間4月20日のことだ。昨年3月の発表以来、昨秋には2.1.1a、年末には2.1.2、そして今回のGAが2.2.1、ほぼ1年という早業だ。 Intercloudは周知のように複数プロバイダーのPublic Cloudを連携させた広大なネットワークだが、利用する企業ユーザから見れば、ハイブリッドクラウド基盤のひとつと考えても良い。現在、このネットワークではAmazon Web ServiceMicrosoft Azureと自社Private Cloudの連携が出来るが、今後は整備が進むCiscoパートナーの各種クラウド群との接続も可能となる。

=ハイブリッドが基本、Intercloud Fabric Architectureの仕組み!=
念のため、Cisco Intercloudのポイントを押さえておこう。
Intercloudとは、Private Cloud上のVMイメージを変換して提携プロバイダーのPublic Cloud上で実行するものである。前述のようにハイブリッド基盤のひとつとはそういう意味だ。ユーザ企業はこの機能を使い、自社クラウドの運用費用削減や繁忙日のオーバーフロー対策などに役立てる。連携にあたって、外部クラウドにロックインされることはない。ここがIntercloudのウリだ。つまり、ユーザは自由に外部プロバイダーを乗り換えることも出来る。このような複数クラウドが織りなすネットワークを「ファブリック(Fabric-織物)」という。このIntercloud Fabric(下図)を構成するコンポーネントは3つ。まず、①ユーザ側にあって、どのようなクラウドやサービスがネットワーク上にあるのかを管理するIntercloud Fabric Director、次に、②自社と外部クラウドを安全に接続する仕組みがSecure Cloud Extention、そして、③外部クラウドプロバイダー上の実行環境がIntercloud Fabric Provider Platformだ。

Intercloud fabric Architecture
上図において、左側がビジネス(企業)サイド(Intercloud Fabric for Business)、右がプロバイダサイドSP:Service Provider(Intercloud Fabric for Providers)である。企業サイドにはIntercloud Fabric DirecterとSecure Cloud Extention、プロバイダサイドにはSecure Cloud ExtensionとIntercloud Fabric Provider Platform(以下、ICFPP)が含まれる。

=外部クラウド接続を可能とするIntercloud Fabric Director!=
もう少し細かく見てみよう。
まずユーザ側にインストールされるIntercloud Fabric Directorは、ユーザとIT管理者にそれぞれポータルを提供する。IT管理者はこのポータルからファブリック全体を管理し、ユーザはPublic Cloudと連携させるワークロードの作成や停止などを実行する。このポータルからのマイグレーション(Private Cloud→Public Cloud)指示がトリガーとなって当該するVMがPrivate Cloudで稼働中であればシャットダウンし、連携するPublic CloudのVMフォーマットに変換される。これで該当するVMをPublic Cloudに送り出す準備が整う。

Intercloud Fabric Director Features
=セキュアに外部接続するSecure Cloud Extention!=
次に、Private CloudとPublic Cloud間の連携を見よう。
IntercloudではセキュアなPrivate Cloud環境をPublic Cloudまで拡張させる。この役目を果たすのがSecure Cloud Extentionだ。これには企業サイドのIntercloud Extenderとプロバイダサイドに入るIntercloud Switchの2つがある。これらのモジュールが対となってセキュアなLayer2を延伸してTLSトンネルを確立し、また、Intercloud Fabric環境下のVM間通信にも同様なセキュア環境を提供する。

Secure Cloud Extension
=外部クラウド上の実行環境、Intercloud Fabric Provider Platform=
こうして送り込まれたVMイメージをプロバイダ側で実行するイネーブラがIntercloud Fabric Providor Platform(ICFPP)だ。 ICFPPはPrivate Cloud上のIntercloud Fabric Directorと連携して、VMイメージの実行のためにPublic Cloud側のインフラを展開させる。Intercloudではこれらの通信のためにCloud APIを定義しているが、プロバイダー側で使うPlatform固有のAPIは異なるので、Adopterで変換・実行する。例えば、VMの起動や停止などの要求をIntercloud Fabric Director経由で受けると、それをPublic Cloudのインフラに合わせてAdopterで変換してプラットフォームに引き渡すといった具合だ。VM実行時の課金やログ情報などはICFPPからプロバイダーのOSS(Operation Support System)ないしBSS(Business Support System)に吐き出され、必要な処理が行われる。ただ、この際、課金はVM使用料のみで、Intercloudのサービスには発生しない。尚、現段階でサポートされているAWSとAzureは、Intercloud Fabric Directorで直接ネイティブAPIを使用しているので、プロバイダー側にはICFPPもなく、Adopterもない。GAでサポート対象となっているGuest OSは、RHEL 6.0 - 6.5(64-bit)、CentOS 6.2-6.5(64-bit)、Windows 2008 R2 SP1、Windows 2012、Windows 2012 R2、SUSE Linux 11 SP2 and SP3の6種である。

Intercloud Fabric Provider Platform
=プライベートクラウドにはMetacloudのOpenStackを!=
さて、InterCloudは魅力的だが、それ以前に、うちではまだPrivate Cloudも導入していないという企業も多い。そこで同社ではCisco OpenStack Private Cloudを整備してきた。実際のところ、このエディションは昨年9月に買収したMetacloudのプラットフォームだ。MetacloudはOpenStack-as-a-Serviceをビジネスモデルに掲げ、独自OpenStackディストリビューションで企業のPrivate Cloudを構築支援し、24Hの遠隔監視を提供してきた。Ciscoの提供するPrivate Cloudはこの技術が引き継がれたものである。このシステムの販売はCiscoパートナーがパートナー自身のPublic Cloudと組み合わせて行う予定だ。この方式は、現在、NTT傘下のDimension DataがCisco Hybrid Cloud Bundleとして提供しているが、利用に当たっては費用が発生する。

=普及に向けて!=
Intercloud Fabricはリリースされたばかりだ。
課題は幾つかある。まずはパートナーのクラウド連携を加速させることだ。現在、パートナーとして60社以上が参加を表明し、世界50ヶ国350のデータセンタで展開(3/11現在)が予定されている。AWS、Azureに加えて、これらが動き出せば企業ユーザもついてくるだろう。ただ、これはPublic Cloudの価格競争を加速させることになるかもしれない。ユーザにとってはあり難い話だが、パートナーのプロバイダーは及び腰にならないだろうか。次に機能強化だ。現在のIntercloudは、VMイメージの転送実行機能を提供する。この形の延長上で、Private Cloud側に残ったアプリと転送されたアプリが本来連動されていたものなら、VLANを介してハイブリッドとして稼働する。しかし、転送されたVMとPublic Cloud上で固有のサービス機能(Amazon S3など)を利用して作られたアプリなどの連携では、クラウドの境界に仮想ルータを置かなければならない。もし、これらの制約が次期版などで緩和されれば、プロバイダーの参加も企業ユーザの利用も大きく進むだろう。真のIntercloud、それは皆の願いである。

2015年4月15日水曜日

HPからのメッセージ -Helion Public Cloudは継続-

HP Helionに関するNew York Timesの記事が出たことは既報の通りだ。
これに対し、インタビューを受けた本人から、Helion Public Cloudが停止されるかのような解釈がされたことを否定するメッセージが流された。
以下はその文意訳である。

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2014年5月、新しいGlobal Cloud Portfolio Helionと共にビジョンと戦略を発表しました。その時、オープンソース技術とハイブリッド提供について概説しました。-それはこれまでの伝統的なITやPublic Cloud、Private Cloud、Managed Cloudにわたるものです-そして企業が迅速に、かつコストや管理リスクを低く抑える先進のクラウドコンピューティングを構築し、管理、実行できるクラウドポートフォリオを紹介しました。

今日、この戦略とビジョンは全力で継続されています。
前週、私の発言がメディアに引用され、それがHPがPublic Cloudを止めるのではと解釈されことは本当ではありません。ハイブリッドITのビジョンと提供に関する我々のポートフォリオ戦略は以下でハイライトされるように強力に続いています。
  •  HP operates one of the largest OpenStack-based public clouds. 
  •  We operate a fast growing hosted, virtual private cloud
  •  Our private cloud and managed private cloud leadership continues to win accolades
  • We see a clear and consistent pattern where enterprises are becoming Internal Service Providers.
  • For workloads fit for Public Cloud, customers desire multiple options.
今日、我々は企業内部のサービスプロバイダーのためのハイブリッドサポートポートフォリオを構築しています。これには純粋なPublic Cloudやテレコムプロバイダー、そしてローカルなマネージドサービスの会社群がパートナーとして含まれます。我々は純粋なPublic Cloudだけをしている訳ではありません。我々は戦略を変更していません。事実、我々はHP Helionポートフォリオ全体でハイブリッド提供の支援を速めています。Eucalyptusの買収でハイブリッドの一環としてAWSサポートを加えました。さらにクラウド製品の強化に努めています-ネイティブアプリやCloud Foundryへの投資(あなたが試してみることが出来る)、DockerやKubernetes-などです。これらは全ての重要な要素が更なる大きな柔軟性やスピード、相互接続性を増して、クラウドサービスタイプ(IaaSやPaaS)の境界は増々ぼやけてきます。我々はまた、複数のPublic CloudやPrivate Cloudにわたり、顧客のハイブリッドポートフォリオの全体を仲介管理するCloud Service Automationなどのツールを提供します。今日、我々の成功は、能力と企業のクラウド需要を満たすことに基づきます。HPや我々のパートナーを通して、オープンソースやオープンスタンダード、相互互換性を持つハイブリッドサービスを企業内部に、長期的に展開するためのプラットフォームを構築します。

いつものように、我々は真っ先に、顧客とパートナーの話を聞くでしょう。


Thanks!
Bill Hilf
SVP, Helion Product Management

2015年4月10日金曜日

HPからアプライアンスなど続々・・・
          -Hellion Rack、Cloudline、Content Depot!
                -Helion Public Cloudは?

HPから3月末、OpenStackベースのアプライアンスHP Helion Rackが出た。
これはハイブリッド化の動きを睨みながら、その前提となるプライベートクラウド市場に向けたものである。Helionは昨年5月からスタートして約1年となるクラウド戦略ブランド名だが、その前身はConverged Cloudだ。HPの判断はクラウド戦略を完全にOpenStackベースにすることだった。その回答がHelionである。

=プライベートクラウド向けのHP Helion Rack=
HP ProLiant DL360
今回登場したHelion RackはProLiantにIaaSとしてHelion OpenStack、PaaSにCloud Foundaryをプリコンフィギュアードしたものである。対応するラックサーバはHP ProLiant DLだ。このサーバにOenStackとCloud Foundaryを組み合わせ、工場でインストールとチューン/テストを実施して出荷する。これによって企業ユーザは導入からPrivate Cloudの展開までを大幅に短縮できる。ユーザの期待は、①クラウドネイティブアプリの開発が出来ること、勿論、②迅速なインフラ展開が必須、そして、③安全で各種の標準化に準拠してワークロードの拡張性ができることなどだ。導入にあったては DLシリーズのどのモデルにするか、構成はどの程度かなど、まずはHPのコンサルティングを受けることがよさそうだ。 

=OCP仕様のプロバイダ向けHP Cloudline=
HPはHelion Rackより先の先月初めにはHP Cloudlineも発表している。目指すはサービスプロバイダ向けのテイラードシステムである。このサーバは台湾のFoxconnとの間で設立した合弁会社のODM製品である。一般にOEM(Original Equipment Manufacturing)は委託者の設計で受託者が製造、委託者ブランドで出荷する。対して、ODM(Original Design Manufacturing)は設計から製造まで受託者が行い、委託者ブランドで出荷する。つまり、Cloudlineは設計から製造までHPは関与せず、Foxconnに任せた格好だ。そのCloudlineの最大の特徴はOCP(Open Compute Project)に準拠していること。そしてプロバイダ向けのため、各ユニットに電源やファンはなく、それらはプロバイダのラックから供給される設計だ。製品ラインナップは命令処理主体のコンピュート向け、ストレージ依存度の高いものなどがある。 

=HP Helion Content Depot= 
HPからは既にHP Helion Content Depotも出ている。今日、データの90%は人間のインタラクションから発生すると言われている。これら膨大なデータ管理の痛みを和らげるのがHelion Content Depotだ。このアプライアンスはバックエンドシステムとしてOpenStack Swift(オブジェクトストレージ)を搭載し、フロントのOpenStackベースのHelionと連携する。企業ユーザはこれを自社データセンタ内に設置するだけでなく、HPパートナのデータセンタに置くことも出来る。



=Helion Public Cloudは?=
以上見てきたように、Helion関連サーバの拡販に力が入ってきた。
HPファンやOpenStackファンなら、これらの製品を選ぶかもしれない。ただ、市場には多くのアプライアンスが出回っている。古くはVMwareを搭載したVCEこれは進化してVCE Foundation for Federation Enterprise Hybrid Cloudとなった。最近ではMicrosoftがDellと組んで始めたCloud-in-a-BoxのCloud Platform Systemなどだ。しかし、HPのこのようなアプライス化の動きは、何か戦略変更の予感がする。折も折、4月7日、Helionビジネスを統括するSVPのBill Hilf氏はNew York Timesのインタビューに、「ユーザが我々からコンピュータを買うように、クラウドでも借りてくれると考えていた“We thought people would rent or buy computing from us,”」、しかし、「そう短絡的ではないことが解る“It turns out that it makes no sense for us to go head-to-head.”」と答えた。思い出してほしい。昨年10月、CEO Meg Whitman女史はHPを2つの会社に分離することを発表した。ひとつはPCやプリンタを扱うコンシューマ向けのHP Inc.、もうひとつはエンタープライズ向けのHP Enterpriseだ。冷静に考えると、このような大転換期では、Helionは、ビジネスとして成り立ち難いPublic Cloudよりも、アプライアンス化に向かうことが必然なのかもしれない。次なる変化を注目したい。

 

2015年3月31日火曜日

ホステッドプライベートクラウドのプレイヤー達!

前回は注目のBlue Boxクラウド(詳細はここ)について述べた。
Blue Boxは‟Hosted Private Cloud”に特化したプロバイダである。周知のように、Public CloudではAmazon Web ServiceMicrosoft AzureIBM SoftLayerが追撃中だ。そしてこのところはOpenStackを中心としたPrivate Cloud市場が立ち上がりつつある。このような市場環境の中、今、注目を集めているのがPrivate Cloudをホスティングしてくれる-ホステッドプライベートクラウド-だ。

=Forrester Waveレポート=
調査会社のForresterから、この市場を分析したレポートForrester Wave Hosted Private Cloud, 4Q '14が出ている。これまでPrivate Cloudを構築するには、①商用Private Cloud Softwareや、②既成のConventional Software、③アプライアンス化されたCoverged Solution、さらには、④オープンソースの利用などがあった。しかし運用管理の煩わしさから、出来れば、データ管理の絶対化(主権)や自由なシステム環境制御など、Private Cloudならではの特徴あるクラウドサービスが求められていた。それがHosted Private Cloudだ。実際のところこのサービスには2つある。ひとつはPrivate Cloudのホステッド(Hosted)版、もうひとつはPublic Cloudを使ったデディケーテッド(Dedicated)版だ。この市場は始まったばかり、カスタマイズやハイブリッド化、自動化などの課題もある。

=市場のツートップは独立系=
市場をリードしているのはVirtustreamとDatapipeの2社だ。両社は共に独立系でデータセンタやホスティング業から進展した経緯から、企業ニーズを熟知している。以下、概要を示す。
  • Virtustream ・・・ Virtustreamはメリーランド州のベセスダ(Bethesda)で2009年にスタート。すぐにエンタープライズに特化したビジネスを開始。独自開発したクラウドソリューションのフラッグシップxStreamではμVM上でアプリを稼働させる。また、このプラットフォームはパフォーマンス計測技術とリソース管理技術に特徴を持ち、多くの企業ユーザを獲得。現在、米国と欧州にデータセンタを開設し、ComputeとStorageの両方共にホステッドとデディケーテッドを提供している。今年2月初めには日本のCTCとの提携も発表。
  • Datapipe ・・・ Datapipeは1998年にWebホスティングとしてニュージャージ州のホーボーケン(Hoboken)で創業。その後、ドットコムバブルで急成長して、マネージドホスティングに転身。そしてクラウド時代が到来し、自社開発のクラウドソリューションの提供を開始した。同社のフラッグシップStratosphereはApache CloudStackをベースとしたものでVirtustream同様、ComputerとStorage共にホステッドとデディケーテッドを提供している。同社はまた2010年末より、Amazonユーザ向け運用代行のマネージドサービスManaged Cloud for AWSをスタート。今年1月20日にはMicrosoft AzureにファミリアなプロバイダGoGrid買収してAzureのマネージドサービスManaged Cloud for Microsoftも開始した。
=追う第2グループ!=
VirtustreamとDatapipeを追う第2グループはCSC、HP、Del、Blue Box、Joyentだ。CSCは独自開発のプラットフォームBizCloud VPE and BizCloud Dedicated、HPはOpenStackベースのHellion Managed Private Cloud、DellはVMware vCloud Directorを使ったDell Cloud DedicatedBlue BoxはOpenStack、JoyentはOpenSolaris系アプリ対応の独自プラットフォームSmartDataCenterを提供している。うちBlue BoxとCSC、Dellの3社は、Computeではデディケーテッド、Storageはデディケーテッドとホステッドの両方をサポート。HPはComputeは両方、Storageはデディケーテッドのみ、JoyentはComputeとStorage共に両方をサポートしている。

=米3大キャリアはVMware基盤=
第3グループを構成するのは主に米3大キャリアだ。
そして何と、AT&T Private CloudCenturyLink Dedicated CloudVerizon Enterprise Cloud Private Editionの3つ共にVMwareのvCloud Directorがプラットフォームである。Verizonはクラウド進出にあたり、2011年1月にTerremark Worldwideを、Centurylinkは同2011年7月にSavvisを買収して体制を整えた。TerremarkもSavvisもクラウドを既に手掛けていたデータセンタだ。ここでAT&TとCenturyLinkの2社はComputeはデディケーテッド、Storageはデディケーテッドとホステッドの両方、VerizonはComputeとStorage共にデディケーテッドをサポートしている。
=欧州のホステッドプライベートクラウド市場=
Forresterのレポートでは米国だけでなく、普段、あまり馴染みのない欧州のクラウドについても触れられている。フランスからは最大キャリアのOrange (旧フランステレコム)がこのHosted Private Cloud市場に参入。同社のクラウドプラットフォームOrange Private Cloud Solutionsは米BMC(ヒューストン)Cloud Lifecycle Management がベースで、ComputeとStorage共にデディケーテッドのサポートだ。 英国ではCanopy(ロンドン)とロンドンの南、ケント州ビンターズ・パークのVooServersがこの市場に参入している。CanopyのプラットフォームはVMware vCloud Dirctorベースで、VooServersは英国製のOnApp(ロンドン)だ。

=変わるクラウド市場!=
クラウド市場ははっきり変わってきた。
Public Cloud市場は一段落し、Private Cloudが浸透し出した。そして2つを連携するHybrid Cloudの重要性が叫ばれている。成熟の域に達しだしたPublic Cloudに対し、Private Cloudはまだまだこれからだ。この市場を活性化させるサービスが今回取り上げたHosted Private Cloudである。このサービスが普及すれば企業の負担は解消され、Private Cloudの普及に弾みがつく。これまで乱立してきたプロバイダーは立ち位置を問われている。Public Cloudでビジネスを継続するのか、Private Cloudをサポートするのか。となれば、SIerとして生きるのか、ホステッドビジネスに転じるのか、さもなければ、淘汰されるのみだ。

2015年3月11日水曜日

Blue Boxのホステッドプライベートクラウド!
                            -Private Cloud as a Service-

日本では馴染みが薄いが、今回は、今、注目されているBlue Boxについて紹介して見ようと思う。というのは、昨年下期は大手企業による中堅クラウド企業の買収が幾つかあったEucalyptusCloudscalingMetaCloudなどだ。オープンソースのEucalyptus以外は、今や人気のOpenStackベースである。しかし、彼らには事業継続の資金が集まらなかった。市場はPrivate CloudではOpenStackだという流れが鮮明になっているにも関わらずである。投資家たちはこれらスタートアップを育てる時期が終わったと見て、売り抜けたのだ。彼らは市場は大手数社の手の内にあり、Eucalyptusを買ったHP(詳細はここ)やMetaCloudのCisco(詳細)、さらにはCloudscalingのEMC(詳細)などはチャレンジャーだという認識だ。そのような中にあってBlule Boxは違っていた。 

=これまでに集めた資金は30億円超!=
同社の創業は2003年8月。iTunesが流行り出した頃だった。開発には紆余曲折があった。そして辿り着いたのがOpenStackによるPrivate Cloudだ。2012年1月のSeries-Aは$4.3M(5.16億円)。2013年10月にもSeries-Aで$1.5M(1.8億円)。2014年3月にはDebt Fainancingで$3,3M(3.96億円)。Sries-Bは昨年10月に$10M(12億円)、続いて今年1月に$4M(4.8億円)が追加され、総計$26.6M(約32億円)となった。中堅他社が資金繰りから買収される中で、昨年秋から年初めにかけて$14M(16.8億円)を集めたのだ。(1㌦=120円換算)

=Blue Box Cloudとは何か!=
 ではBlue Boxの戦略はどうなっているのか。左図のように彼らのポジションはPublic CloudとPrivate Cloudの中間だ。Public Cloudは周知のように、①弾性(Elasticity)があり、②経済的(Open Economics)で、③使い易く(Easy of Use)、④適用が短時間(Time to Implement)で済む。一方、Private Cloudはこれらの要素には難があるが、自営センター内であるため、①データの主権(Data Sovereignty)や、②システムの環境制御(Environmental Control)は十分であり、③コストの予測性(Cost Predictability)があること、さらに、④センター内のLAN速度並みのハイブリッド化(Hybrid Capabilities with LAN Latency)が出来る。つまり、Blue Box Cloudは、Public CloudとPrivate Cloudの難点を補うクラウドサービスを目指している。キャッチフレーズは‐Private Cloud as a Service(PCaaS)‐、狙いはPrivte Cloudをサービス提供しようというものである。 

=Blue Boxの仕組み!=
次にBlue Box Cloudの仕組みについて見てみよう。
Blue BoxはPublic Cloud as a Seriveのために、①OpenStackをインフラとし、②専用ハードウェア-Dedicated Hardware上で、③シングルテナント-Single Tenantとして提供される。ユーザは自社のアプリケーションを開発するだけ、後は彼らがこのクラウド上に展開してくれる。Blue Boxのサービスはオーケストレーション技術を使い、ネットワークもデータベースも注文通り、仮想化だってKVMでも人気のDockerだって構わない。個々のユーザニーズに応じたオーダーメイドで、Public Cloudのセルフサービスとは大違いだ。つまり自社センタのクラウドがBlue Boxに移動したような気になる。昨年11月のOpenStack Summit Parisでは、①SwiftベースのObject Storage、②Nimble StorageによるCinderのBlock Storage、③Tesoraの技術によるOpenStack TroveのDBaaS(DataBase as a Service)、④Juniper NetworksのFirewallなどが追加された。

=この路線を突っ走れるか!=
Blue Boxは本社のあるシアトル(西海岸)とアシュバーン(東海岸)、チューリッヒ(欧州)の3センターで現在、PCaaSを運営する。この2月には米大手SIerのAlliance Technology Ggroupと提携し、ターンキーのソリューション提供も開始した。しかしこの分野はDatapipeやVirtustreamなどが先行している。Blue Boxの強みは、このところPrivte Cloudで人気のOpenStackだ。 先月の25日には、HPのOpenStackクラウドHelionにとって初の大型取引がドイツ銀行との間で決まった(プレス発表)。独自OpenStackディストリビューションでSIビジネスを走るMirantisは、何と$100M(120億円)という投資をSeries-Bで集めた(プレス発表)。Blou Boxがこの流れに上手く乗ることが出来ればレースから抜け出せる。