2015年6月1日月曜日

コンテナーの世界!(2)
-Kubernetesで息を吹き返えしたGoogle!
         そしてAtomic Host, CoreOS, Snappy, Nano-

コンテナー技術の生い立ちと動向については前回述べた。
今の流れは2つある。ひとつは人気のDockerはほぼデファクトとなったが、その周りに出来つつあるエコシステムがどこまで広がるかだ。もうひとつは関連する専用OS化の流れである。今回はこの辺りを整理しよう。

=Google Kubernatesプロジェクトが惹きつけるもの!=
この分野でGoogleの動きは積極的だ。 
Googleは昨年11月、Google Cloud Platform LiveDockerベースのGoogle Container Engine(GKE-現在パブリックα)を発表した。これはDockerに対抗するものではない。GKEはGoogle Cloud Platform(GCP)上でDockerコンテナーを実行する新しいサービスだ。そして自身が開発した膨大な数のコンテナー制御のクラスターオーケストレーションフレームワークKubernetesと連携する。元々このKubernetesはGKEと連携させるために始まったものだが、オープンソースプロジェクトとしてローンチし たのは昨年6月のGoogle I/O 2014だった。すぐに多くのデベロッパーやベンダーを惹きつけて、翌月には本家のDockerやCoreOS、IBM、Mesosphere、 Microsoft、RedHat、SaltStackなどが相次いでサポートを表明した。クラウド化を実践してきた米企業にとって、コンテナーは魅力的だが、その運用には不満もある。大規模システムをサポートするベンダーやプロバイダーは、この不満の解決策をKubernetesに見出した。既にAWSではDockerとElastic Beanstalkが連携し、AzureでもDockerサービスが始まっている。しかしAmazonのElastic Beanstalkは基本的にVMセントリックなフレームワークだが、Kubernetesはコンテナーセントリックだ。Googleの戦略はこれを公開してデファクトとし、Dockerを超えた新たなエコシステム目指すことのようだ

=Project Atomic、CoreOS、Ubunture Core!=
もうひとつはDockerのための専用OS化の流れである。
昨年末、Red HatからDocker対応の専用OSとしてRed Hat Enterprise Linux 7 Atomic Host βが発表され、今年3月5日には、RHEL 7.1と共に正式版となった。遡ればRed HatがスポンサーのProject Atomic、2013年から始まった。プロジェクトの開始時点では独自のコンテナー技術geard目指したが、Docker人気でgeardからDockerに方向転換。その後Google Kubernatesがローンチし、Red Hatは直ちに支持を表明。こうしてProject AtomicにKubernetesが追加された。公開されたAtomic Host 7.1は、RHEL 7.1のインストーラが約4,400のパッケージ数であるのに対し、約400と必要最小限の構成だ。RHEL Atomic Hostはエンタープライズ向けだが、他に関連製品として将来志向の無償Fedora AtomicやRHELと完全互換を目指した無償のCentOS Atomic Hostもある。しかし、この分野で最初にDocker対応を出したのはCoreOSだ。正式版は昨年7月、Googleとの関係は深い。すぐにGoogle Compute Engine上でCoreOSのサポートが始まり、今年4月にはKubernetes対応のTectonicをリリース。同時にGoogle Venturesがリードした資金調達では$12M(14.4億円)を獲得。またもうひとつ、今年1月、CanonicalからもSnappy Ubuntu Core βが出た。これはクラウド展開がメインだが、それだけではなく、今後はIoTなどへの適用も目指している。

=Microsoft AzureとWindows Nano Server!=
もう1社のMicrosoftはどうか。
Microsoftは他ベンダーと共にKubernetesの支持を表明し、同社子会社のMicrosoft Open Technologiesから、昨年夏、Azure上でのDockerとKubernetesサポートがリリースされた。たった2ヶ月の早業だった。且つ、このインプリメントではKubernetesで管理するDockerコンテナーがビジュアルで確認できる。そのダッシュボードはAzureチームが主催したハッカソンで選ばれたAzure Kubernetes Vizualizerだ。さてもうひとつ目玉はどうか。昨年10月、前述のMicrosoft Open TechnologiesからWindowsによるDockerサポートの発表があった。その後もカンファレンスで何度か触れられたが、今年4月初め、正式にWindows Serverの次期版Windows Server 2016でコンテナー対応OSが出るとアナウンスがあった。最小構成版のNano Serverである。 
具体的には、Microsoft Open TechnologiesがDockerと提携して作業し、Docker EngineをWindowsに統合する。5月初めからレビューの始まったWindows Server 2016 Technical Preview 2では、Nono Serverはほんの一部しか窺うことが出来なかった。これまでのアナウンスでWindows Server 2016ではWindows Server ContainerとHyper-V Containerの2つのコンテナーを扱う。これらが本当の姿を現すのはTechnical Preview 3以降のようだ。

=新たなエコーシステムを目指す!=
OpenStackでもDockerやKubernetes対応が始まっている。
今年2月、GoogleがMirantisと組んでこれらを統合するとアナウンスした。その後、このプロジェクトは、3月にOpenStackの正式なプロジェクトMagnumとなった。5月18日から始まったOpenStack Summit Vancouver 2015でその詳細が姿を現した。それによるとMagnumはKubernetesやDocker Swanだけでなく、OpenStack自身が進めていたHeatなどとも連携する。Dockerが火をつけたコンテナー技術が他のVirtuozzoやSolaris Containerと決定的に異なるのは、前2者がひとつのコンテナー内で走るプログラムは複数プロセスから構成されるのに対し、LinuxコンテナーのDockerでは、ひとつのコンテナーにはひとつのプロセスしか走らない。それ故、単純な仕事でも複数のコンテナーを必要とし、大 きなアプリケーションでは無数のコンテナーの管理が必要となる。この点を改善したものがGoogleのKubernetesだ。もうひとつ、Dockerの利点はモビリティー(携行性)にある。つまり、Docker環境さえあれば、どのマシンやクラウド空間でもコンテナーの内容をイメージとして持ち出し、実行させることが出来る。これによって、PaaSの世界も様変わりが始まった。
こうしてVMwareやXenの仮想化技術で始まった現代のクラウドコンピューティングは、再度、コンテナーで大きなうねりとなって動き出した。もう図抜けた1社の技術で全体が動く時代ではない。ひとつの技術に幾つもの会社が関わり、さらに広大なコミュニティーとなって、新たなエコシステムが出来上がる。こうなれば本物である。

2015年5月17日日曜日

2015年1Qクラウド決算分析 
    -Amazon堅調、Microsoftも好調、IBMはどうか
                            ・・・そしてRackspaceの売却再燃か-

=Amazon独走鮮明に!=
Synergy Resarchから1Qのクラウド各社の決算が出揃ったのを受け、分析結果が発表された。この分析はIaaSとPaaSに限られるが、Publicだけでなく、PrivateやHybridも含まれている。1Qの結果(下図-上)を見るとAmazonの売り上げが他の4社(Salesforce、Microsoft、IBM、Google)合計よりも大きく、その強さが際立った。過去と対比すればさらに良く解る。(下図-下)では、Iaas/Paasのクラウド市場は2013年から2014年にかけて世界で45%成長したが、 Amazonの成長率はそれより大きく49%だった。2014年2Q時の市場規模は推定で$3.7B(4,440億円-120円/㌦)、これを年間に引き延ばすと$13B(1兆5,600億円)となる。この時点でAmazonの売り上げは四半期当たり$1B(1,200億円)を超えているとみられた。そして、当ブログでも既報のように、Amazonは今年1Q決算からAWSの詳細なデータを公表した。それによると、昨年度売り上げは各期とも確かに$1Bを超えており、Synergy Resarchの調査が正確だったことが解る。そしてAWSの昨年度売り上げ合計は$4.6B(約5,500億円超)、営業利益は$660M(792億円)となった。今年度は$5B(6,000億円)が目標だ。

 
=価格競争の激化!=
もうひとつ参考になる報告がある。ITcadorからのものだ。このグラフは各期のデコボコを平準化するために四半期ローリングを施したもので解り易い。結果、Amazonの売り上げは順調に伸びているが、利益は昨年度初めを頂点に下降線をたどり、このところは横ばいであることが解る。この落ち込みは価格競争だった。その引き金を引いたのは、昨年3月、Googleによる30~85%という大幅な値引きアナウンスだ。これには直ぐにAmazonもMicrosoftも追従し、価格競争が激化した。


=IBMは売り上げ$7.7B、Microsoftは$6.3Bと主張!=
IBMやMicrosoftはどうなったか。
4月20日のIBMの発表によれば、IBM全体の売り上げは12%減であったが、クラウド売り上げは何と$7.7B(9,240億円)、前年比75%アップだという。 Amazonの昨年度売り上げが$4.6Bだからとんでもなく大きい。しかし、これにはソフト/ハード/サービスが含まれているので、このままの比較は禁物だ。IBMはまたカンファレンスコールの中でSoftLayerについては2桁の成長だったと触れただけだった。Microsoftの場合は年度決算が6月末なので発表された3Q Resultによると、(これも計上方法が異なるので直接の比較はできないが)SaaSに該当するOffice 356が1,240万人のサブスクライバ-となって35%増、さらにDynamics CRMが続き、そして本命のAzureを加えた総売り上げは$6.3B(7,560億円)となり、106%のアップだという。

=Rackspaceの売却再燃か!=
ところでRackspaceの売却問題が再燃しそうな気配である。
1Q決算があまり良くなかったことに加え、市場環境が変わってきたからだ。この問題については、昨年、ホワイトナイト探しとして何度か報告(報告1報告2 報告3)したが、9月17日以降は沙汰やみとなっていた。同社1Q決算は、売り上げ$480M(576億円)となり、前年同期比14.1%のアップ、利益は$28M(33.6億円)で前年同期比マイナス6.0%となった。この利益幅の減少は強いドルによる海外売り上げの為替が作用したもので、内容はそれほど酷いものではなかった

問題は今後の見通しである。決算発表後のカンファレンスコールで、同社幹部が2Qの利益予想は1.5-2.5%程度だと言及した。売り上げや利益が伸びても、為替の影響でドル建て決算が厳しくなる現象は、IBMやMicrosoftでも表れている。特にRackspaceのようなサービスのみを扱う中堅企業にとっては緩和策が見当たらず、頭の痛い問題だ。他方、クラウド市場に目を転じると、この半年で市場環境は大分変ってきた。独走するAWSのIPOを睨んだスピンオフが見え始め、Microsoftもエンタープライズ市場が好調だ。一方でHPがPublic Cloudから離脱( 記事1記事2 )するのではないかという噂が流れたり、IBM SoftLayerGoogle Cloud Platformは伸び悩んでいるように見える。業界筋は、これらの企業がRackspaceを傘下に置けば、彼らの立場は大きく変わるだろうという。勿論、彼らだけでなく、米キャリアの再挑戦があるかもしれないし、Microsoftにだって十分に可能性がある。Rackspaceにとっては、直ぐではないかも知れないが、これは独立独歩路線を変える最後のチャンスかもしれない。同社のマーケットキャップは、5月15日現在、$6.32B(7,584億円)だ。



2015年5月13日水曜日

コンテナーの世界!(1)
-Virtuozzo、Soralis、Linux(LXC)、そしてDocker- 

クラウドの世界にもコンテナー技術が押し寄せ始めている。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いのDockerだ が、その技術を遡れば、IBMメインフレームのパーティションに始まる。ひとつのOSの上にパーティションを区切るこの方法は、Unix時代に適用構想が 持ち上がった。そしてUnix SystemⅤ Release 4(SVR4)とSun OSが統合されてSolarisとなり、2005年、Solaris 10でSolaris Containersが実装された。その後Linuxが登場、2008年、Linux 2.6.24でLXC(Linux Containers)として引き継がれ、2014年にはDocker 1.0 が登場した。

=コンテナーとは何か、そしてDocker!=
今さらながら、コンテナーとは何か整理してみようと思う。

◆ Parallels Virtuozzo Containers
VMwareやXenに代表される仮想化技術がハードウェアを隠ぺいして複数のOSを稼働させるのに対して、コンテナー技術はOSを隠ぺいして複数のアプリケーションを走らせる「OSレベルの仮想化(OS-Level Virtualization)」である。最初に実用化したのはSWsoft(現社名Parallels)という会社だ。2001年、OSにパッチを当てるVirtuozzo Containersをリリース。この版はLinuxとWindowsサーバ向けに独自技術のKSAL(Kernel Service Abstruct Layer)とVZFS(Virtuozzo File System)により、一つのOS上に完全にセキュアなコンテナー環境を作り出して、我々をあっと言わせた。この方式の最大の利点は処理効率にある。通常 の仮想化技術ではハードウェアが隠ぺいされているため、仮想化空間のGuest OSがIOドライバーをどう扱うかが課題となるが、VirtuozzoではHost OSのドライバーがそのまま使え、殆どネイティブモードと同じ処理速度が実現された。このため世界中のホスティング業者などが大量に導入。2005年にはそのオープンソース版OpenVZも登場したが、VMwareなどの普及で一進一退となった。2006年には状況打開のため、Virtuozzoの応用形として、Mac OS上でWindowsやLinuxなどクロスプラットフォームのアプリを実行するParallels Desktop for Macを発表した。Macの世界では今でもParallesが独走している。

◆ Sun Solaris Containers
次に、2005年に登場したのがSolaris Containersである。Parallesのコンテナー技術はOSにパッチの後付けタイプだ。しかし、SunのコンテナーはSolarisに組み込み方式で、区画されたパーティションをゾーンと呼ぶ。これらのゾーンは2つの種類がある。Solaris OS自身が乗るGlobal Zoneと個々のアプリが走るためにシステムリソースやセキュリティなどが遮蔽されたNon Global Zoneだ。このコンテナー技術はSunの他の製品稼働を保証し、扱い性も優れていた。

◆ Linux Containers(LXC) 
さらに時代が進んでLinux Containers(LXC)が登場した。LXCもSolaris Containersと類似の構造を採用し、Linuxのカーネルが乗るカーネルスペースとアプリなどのプロセスが走るコンテナー部ユーザスペースがある。カーネルスペースにはカーネルのみを搭載するので、コンテナー部に異なるLinuxディストリビューションを乗せることも論理的には可能だ。ユーザスペースのコンテナーにはプロセスが乗り、他のコンテナーと隔離される。このインターフェースとなるのがLXCだ。

 以上見てきたように、VirtuozzoやSoralis Container、LXCのコンテナー技術は同一OSをシェアする。それ故、個々のコンテナー内で使用するファイルやネットワーク、CPUなどリソース割り当てには工夫がいる。Virtuozzoでは各リソース毎のクォート管理機能を整備し、前述のVZFSは複数コンテナー間のファイルシェアリング機能も持つ。Solaris Containerでゾーン(コンテナー)が独立したOS環境を保持するための工夫が施され、ホスト名やIPアドレスなどを持つ仮想ネットワーク環境の整備、ファイルはGlobal Zone内に各Non Global Zoneの専用ディレクトリーが作られる。勿論、各ゾーン内でZFS(Zettabyte File System)の利用も可能だ。
 
◆ そしてDocker! 
LXCの構造はシンプルだ。ただその周りに十分な機能が揃っているわけではない 
Linuxだから勿論cgroupを使ったリソース制御は出来る。問題はどれほど容易かだ。Dockerの生い立ちはPaaSのdotCloudの内部プロジェクトとして始まった。そして2013年7月に独立。同年(2013年)3月リリースされたオープンソースの初期版ではLinuxカーネルの仮想化機能を利用する方法として、LXCがデフォルトとなり、他にLibvirtなど幾つかの方法があった。しかし0.9版になるとLXCがドロップし、代わって独自のドライバーのlibcontainerが標準となった(右下図参照)2014年6月、Docker 1.0が発表されると、Docker自身がコンテナー技術のプラットフォーム(Docker Engine)を目指し始めた。発表されたDocker Engineはクライアント/サーバー構成となり、各コンテナーを管理するのがDocker Servier、そのサーバーを操作するのはDocker Cliant。そして、このクライアントはRESTful APIによって多様なプログラムと連携が出来る。最新版は先月16日にリリースされたDocker 1.6だ。この版では先にリリースした分散環境向けのツール群が一部更新されて、Compose 1.2マルチコンテナのオーケストレーションツール)、Swarm 0.2コンテナーのクラスタリングツール)、Machine 0.2(クラウドやローカルマシンなどのプロビジョニング)、さらにコンテナー間認証アクセスはRegistry 2.0となった。

ワゴンに飛び乗れ!= 
今日、LinuxやWindowsの世界では仮想化技術がいやというほど普及して、汎用的に使われているが、それなりのオーバヘッドがある。ここが悩みだ。一方、コンテナー技術は同一OSのシェアなどの制限はあるがオーバーヘッドは大きく軽減される。コンテナーで先行していたParallelsが従来からWeb Hostingなどの業者に持てはやされたのは、こうした理由からである。そしてDocker人気がやってきた。考えてみればLinuxがこれだけ普及しているのだから、Linuxコンテナーが人気になるのは当り前である。元祖Linuxコンテナーの公式サイトLinuxContainers.orgにはLinuxカーネルのコンテナーインターフェースとなLXC、その上に構築されるユーザエクスペリエンスLXD、さらにリソース管理のCGManagerやファイル管理のLXCFSが揃いつつある。しかしながらその歩みはのろい。その間隙を突いたのがDockerだ。Dockerは独自技術はなく、オープンソースによるエコシステムと使い勝手の良さがウリであるだからこそ、このバンドワゴンに AmazonもMicrosoftも、GoogleやVMwareも飛び乗るのだろう。

2015年4月25日土曜日

AmazonがAWSの財務内容発表、スピンオフへ助走!
        -今年度売り上げ$5Bへ、1Q売上利益率は17%-

米国時間4月23日、Amazonから第1四半期の決算が発表された。
そして、とうとう正確なAWSの財務内容が明らかになった。これは今年1月、昨年度決算発表時のカンファレンスコールで約束したものだ。これまでこのブログでも2011/32014/10とAmazonクラウドの売り上げについて言及した。しかし、これまでの数字は、AWSは「その他(other)」の項に含まれ、推測の域を出なかった。そんな中、昨年3Q決算では、Amazon本体がインフラ投資の先行で赤字となって、AWSへの投資なども不安視された。

=昨年度売り上げは$4.6B(約5,500億円超)!
今回、これらの不安を払しょくするかのような数字が出た。
発表されたデータはかなり詳細だ。Q1 2015 Financial Result(Fig.1)を見ると、昨年度の四半期別売り上げと収益が解る。2014年度のAWS売り上げは$4.644B(約5,573億円…120円/$)。そして、今年1Q売り上げは$1,566M(約1,880億円)、年間伸び率は49%となった。
      • 1Q=$1,050M(売上)/$245M(収益)
      • 2Q=$1,005M/$77M
      • 3Q=$1,169M/$98M
      • 4Q=$1,420M/$240M
      • 1Q/2015=$1,566M/$265% 
Fig.1) Q1 2015 Financial Result
ちなみに4Q 2014 Financial Result(Fig.2)までは、AWSの売り上げは「その他」で、この「その他」とは、小売り以外のクレジット関連など全てを意味する。Fig.2をもとに昨年度4四半期分の「その他」を合算すると$5,597Mとなり、Fig.1の発表値より$953M、率にして20%多い。

Fig.2) Q4 2014 Financial Result

=AWSはスピンオフ出来るか?=
決算発表時、CEOのJeff Bezos氏は、今年、AWSは$5B(約6,000億円)ビジネスになり、まだまだ成長すると宣言した。1Qの数字で見る限り、前期より収益は7.5%増加し、営業利益率(Operating Profit Mergin=利益÷売上)も16.9%と好調だった。昨年度を振り返ると、1Qは$245M(利益)/23.3%(売上利益率)、その後はもたつき2Qは$77M/7.7%、3Qは$98M/8.4%、4Qは持ち直して$240M/16.9%となり、昨年度の利益合計は$660M(790億円)、年間営業利益率は14.21%である。

業界筋はスピンオフの準備は整いつつあると見る。
調査会社Synergy Reserchの報告によると、2014年度のクラウドインフラサービス市場は推定で$16B(1兆9200億円)、AWSはその約30%を占めている。もし年内にスピンオフ、そして株式公開となれば、知名度の一段の向上だけでなく、資金調達も楽になり、今後一層の飛躍が期待できる。発表のあった4月23日、木曜日のAmazonの終値は$389.99、市場が閉まった後のAWS財務公表で、その後、7%跳ね上がり$416.50となった。




2015年4月21日火曜日

CiscoのIntercloud FabricがGAになった!

とうとうCisco Intercloud Fabric(以下、Intercloud)正式リリース(GA-General Available)になった。米国時間4月20日のことだ。昨年3月の発表以来、昨秋には2.1.1a、年末には2.1.2、そして今回のGAが2.2.1、ほぼ1年という早業だ。 Intercloudは周知のように複数プロバイダーのPublic Cloudを連携させた広大なネットワークだが、利用する企業ユーザから見れば、ハイブリッドクラウド基盤のひとつと考えても良い。現在、このネットワークではAmazon Web ServiceMicrosoft Azureと自社Private Cloudの連携が出来るが、今後は整備が進むCiscoパートナーの各種クラウド群との接続も可能となる。

=ハイブリッドが基本、Intercloud Fabric Architectureの仕組み!=
念のため、Cisco Intercloudのポイントを押さえておこう。
Intercloudとは、Private Cloud上のVMイメージを変換して提携プロバイダーのPublic Cloud上で実行するものである。前述のようにハイブリッド基盤のひとつとはそういう意味だ。ユーザ企業はこの機能を使い、自社クラウドの運用費用削減や繁忙日のオーバーフロー対策などに役立てる。連携にあたって、外部クラウドにロックインされることはない。ここがIntercloudのウリだ。つまり、ユーザは自由に外部プロバイダーを乗り換えることも出来る。このような複数クラウドが織りなすネットワークを「ファブリック(Fabric-織物)」という。このIntercloud Fabric(下図)を構成するコンポーネントは3つ。まず、①ユーザ側にあって、どのようなクラウドやサービスがネットワーク上にあるのかを管理するIntercloud Fabric Director、次に、②自社と外部クラウドを安全に接続する仕組みがSecure Cloud Extention、そして、③外部クラウドプロバイダー上の実行環境がIntercloud Fabric Provider Platformだ。

Intercloud fabric Architecture
上図において、左側がビジネス(企業)サイド(Intercloud Fabric for Business)、右がプロバイダサイドSP:Service Provider(Intercloud Fabric for Providers)である。企業サイドにはIntercloud Fabric DirecterとSecure Cloud Extention、プロバイダサイドにはSecure Cloud ExtensionとIntercloud Fabric Provider Platform(以下、ICFPP)が含まれる。

=外部クラウド接続を可能とするIntercloud Fabric Director!=
もう少し細かく見てみよう。
まずユーザ側にインストールされるIntercloud Fabric Directorは、ユーザとIT管理者にそれぞれポータルを提供する。IT管理者はこのポータルからファブリック全体を管理し、ユーザはPublic Cloudと連携させるワークロードの作成や停止などを実行する。このポータルからのマイグレーション(Private Cloud→Public Cloud)指示がトリガーとなって当該するVMがPrivate Cloudで稼働中であればシャットダウンし、連携するPublic CloudのVMフォーマットに変換される。これで該当するVMをPublic Cloudに送り出す準備が整う。

Intercloud Fabric Director Features
=セキュアに外部接続するSecure Cloud Extention!=
次に、Private CloudとPublic Cloud間の連携を見よう。
IntercloudではセキュアなPrivate Cloud環境をPublic Cloudまで拡張させる。この役目を果たすのがSecure Cloud Extentionだ。これには企業サイドのIntercloud Extenderとプロバイダサイドに入るIntercloud Switchの2つがある。これらのモジュールが対となってセキュアなLayer2を延伸してTLSトンネルを確立し、また、Intercloud Fabric環境下のVM間通信にも同様なセキュア環境を提供する。

Secure Cloud Extension
=外部クラウド上の実行環境、Intercloud Fabric Provider Platform=
こうして送り込まれたVMイメージをプロバイダ側で実行するイネーブラがIntercloud Fabric Providor Platform(ICFPP)だ。 ICFPPはPrivate Cloud上のIntercloud Fabric Directorと連携して、VMイメージの実行のためにPublic Cloud側のインフラを展開させる。Intercloudではこれらの通信のためにCloud APIを定義しているが、プロバイダー側で使うPlatform固有のAPIは異なるので、Adopterで変換・実行する。例えば、VMの起動や停止などの要求をIntercloud Fabric Director経由で受けると、それをPublic Cloudのインフラに合わせてAdopterで変換してプラットフォームに引き渡すといった具合だ。VM実行時の課金やログ情報などはICFPPからプロバイダーのOSS(Operation Support System)ないしBSS(Business Support System)に吐き出され、必要な処理が行われる。ただ、この際、課金はVM使用料のみで、Intercloudのサービスには発生しない。尚、現段階でサポートされているAWSとAzureは、Intercloud Fabric Directorで直接ネイティブAPIを使用しているので、プロバイダー側にはICFPPもなく、Adopterもない。GAでサポート対象となっているGuest OSは、RHEL 6.0 - 6.5(64-bit)、CentOS 6.2-6.5(64-bit)、Windows 2008 R2 SP1、Windows 2012、Windows 2012 R2、SUSE Linux 11 SP2 and SP3の6種である。

Intercloud Fabric Provider Platform
=プライベートクラウドにはMetacloudのOpenStackを!=
さて、InterCloudは魅力的だが、それ以前に、うちではまだPrivate Cloudも導入していないという企業も多い。そこで同社ではCisco OpenStack Private Cloudを整備してきた。実際のところ、このエディションは昨年9月に買収したMetacloudのプラットフォームだ。MetacloudはOpenStack-as-a-Serviceをビジネスモデルに掲げ、独自OpenStackディストリビューションで企業のPrivate Cloudを構築支援し、24Hの遠隔監視を提供してきた。Ciscoの提供するPrivate Cloudはこの技術が引き継がれたものである。このシステムの販売はCiscoパートナーがパートナー自身のPublic Cloudと組み合わせて行う予定だ。この方式は、現在、NTT傘下のDimension DataがCisco Hybrid Cloud Bundleとして提供しているが、利用に当たっては費用が発生する。

=普及に向けて!=
Intercloud Fabricはリリースされたばかりだ。
課題は幾つかある。まずはパートナーのクラウド連携を加速させることだ。現在、パートナーとして60社以上が参加を表明し、世界50ヶ国350のデータセンタで展開(3/11現在)が予定されている。AWS、Azureに加えて、これらが動き出せば企業ユーザもついてくるだろう。ただ、これはPublic Cloudの価格競争を加速させることになるかもしれない。ユーザにとってはあり難い話だが、パートナーのプロバイダーは及び腰にならないだろうか。次に機能強化だ。現在のIntercloudは、VMイメージの転送実行機能を提供する。この形の延長上で、Private Cloud側に残ったアプリと転送されたアプリが本来連動されていたものなら、VLANを介してハイブリッドとして稼働する。しかし、転送されたVMとPublic Cloud上で固有のサービス機能(Amazon S3など)を利用して作られたアプリなどの連携では、クラウドの境界に仮想ルータを置かなければならない。もし、これらの制約が次期版などで緩和されれば、プロバイダーの参加も企業ユーザの利用も大きく進むだろう。真のIntercloud、それは皆の願いである。

2015年4月15日水曜日

HPからのメッセージ -Helion Public Cloudは継続-

HP Helionに関するNew York Timesの記事が出たことは既報の通りだ。
これに対し、インタビューを受けた本人から、Helion Public Cloudが停止されるかのような解釈がされたことを否定するメッセージが流された。
以下はその文意訳である。

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2014年5月、新しいGlobal Cloud Portfolio Helionと共にビジョンと戦略を発表しました。その時、オープンソース技術とハイブリッド提供について概説しました。-それはこれまでの伝統的なITやPublic Cloud、Private Cloud、Managed Cloudにわたるものです-そして企業が迅速に、かつコストや管理リスクを低く抑える先進のクラウドコンピューティングを構築し、管理、実行できるクラウドポートフォリオを紹介しました。

今日、この戦略とビジョンは全力で継続されています。
前週、私の発言がメディアに引用され、それがHPがPublic Cloudを止めるのではと解釈されことは本当ではありません。ハイブリッドITのビジョンと提供に関する我々のポートフォリオ戦略は以下でハイライトされるように強力に続いています。
  •  HP operates one of the largest OpenStack-based public clouds. 
  •  We operate a fast growing hosted, virtual private cloud
  •  Our private cloud and managed private cloud leadership continues to win accolades
  • We see a clear and consistent pattern where enterprises are becoming Internal Service Providers.
  • For workloads fit for Public Cloud, customers desire multiple options.
今日、我々は企業内部のサービスプロバイダーのためのハイブリッドサポートポートフォリオを構築しています。これには純粋なPublic Cloudやテレコムプロバイダー、そしてローカルなマネージドサービスの会社群がパートナーとして含まれます。我々は純粋なPublic Cloudだけをしている訳ではありません。我々は戦略を変更していません。事実、我々はHP Helionポートフォリオ全体でハイブリッド提供の支援を速めています。Eucalyptusの買収でハイブリッドの一環としてAWSサポートを加えました。さらにクラウド製品の強化に努めています-ネイティブアプリやCloud Foundryへの投資(あなたが試してみることが出来る)、DockerやKubernetes-などです。これらは全ての重要な要素が更なる大きな柔軟性やスピード、相互接続性を増して、クラウドサービスタイプ(IaaSやPaaS)の境界は増々ぼやけてきます。我々はまた、複数のPublic CloudやPrivate Cloudにわたり、顧客のハイブリッドポートフォリオの全体を仲介管理するCloud Service Automationなどのツールを提供します。今日、我々の成功は、能力と企業のクラウド需要を満たすことに基づきます。HPや我々のパートナーを通して、オープンソースやオープンスタンダード、相互互換性を持つハイブリッドサービスを企業内部に、長期的に展開するためのプラットフォームを構築します。

いつものように、我々は真っ先に、顧客とパートナーの話を聞くでしょう。


Thanks!
Bill Hilf
SVP, Helion Product Management

2015年4月10日金曜日

HPからアプライアンスなど続々・・・
          -Hellion Rack、Cloudline、Content Depot!
                -Helion Public Cloudは?

HPから3月末、OpenStackベースのアプライアンスHP Helion Rackが出た。
これはハイブリッド化の動きを睨みながら、その前提となるプライベートクラウド市場に向けたものである。Helionは昨年5月からスタートして約1年となるクラウド戦略ブランド名だが、その前身はConverged Cloudだ。HPの判断はクラウド戦略を完全にOpenStackベースにすることだった。その回答がHelionである。

=プライベートクラウド向けのHP Helion Rack=
HP ProLiant DL360
今回登場したHelion RackはProLiantにIaaSとしてHelion OpenStack、PaaSにCloud Foundaryをプリコンフィギュアードしたものである。対応するラックサーバはHP ProLiant DLだ。このサーバにOenStackとCloud Foundaryを組み合わせ、工場でインストールとチューン/テストを実施して出荷する。これによって企業ユーザは導入からPrivate Cloudの展開までを大幅に短縮できる。ユーザの期待は、①クラウドネイティブアプリの開発が出来ること、勿論、②迅速なインフラ展開が必須、そして、③安全で各種の標準化に準拠してワークロードの拡張性ができることなどだ。導入にあったては DLシリーズのどのモデルにするか、構成はどの程度かなど、まずはHPのコンサルティングを受けることがよさそうだ。 

=OCP仕様のプロバイダ向けHP Cloudline=
HPはHelion Rackより先の先月初めにはHP Cloudlineも発表している。目指すはサービスプロバイダ向けのテイラードシステムである。このサーバは台湾のFoxconnとの間で設立した合弁会社のODM製品である。一般にOEM(Original Equipment Manufacturing)は委託者の設計で受託者が製造、委託者ブランドで出荷する。対して、ODM(Original Design Manufacturing)は設計から製造まで受託者が行い、委託者ブランドで出荷する。つまり、Cloudlineは設計から製造までHPは関与せず、Foxconnに任せた格好だ。そのCloudlineの最大の特徴はOCP(Open Compute Project)に準拠していること。そしてプロバイダ向けのため、各ユニットに電源やファンはなく、それらはプロバイダのラックから供給される設計だ。製品ラインナップは命令処理主体のコンピュート向け、ストレージ依存度の高いものなどがある。 

=HP Helion Content Depot= 
HPからは既にHP Helion Content Depotも出ている。今日、データの90%は人間のインタラクションから発生すると言われている。これら膨大なデータ管理の痛みを和らげるのがHelion Content Depotだ。このアプライアンスはバックエンドシステムとしてOpenStack Swift(オブジェクトストレージ)を搭載し、フロントのOpenStackベースのHelionと連携する。企業ユーザはこれを自社データセンタ内に設置するだけでなく、HPパートナのデータセンタに置くことも出来る。



=Helion Public Cloudは?=
以上見てきたように、Helion関連サーバの拡販に力が入ってきた。
HPファンやOpenStackファンなら、これらの製品を選ぶかもしれない。ただ、市場には多くのアプライアンスが出回っている。古くはVMwareを搭載したVCEこれは進化してVCE Foundation for Federation Enterprise Hybrid Cloudとなった。最近ではMicrosoftがDellと組んで始めたCloud-in-a-BoxのCloud Platform Systemなどだ。しかし、HPのこのようなアプライス化の動きは、何か戦略変更の予感がする。折も折、4月7日、Helionビジネスを統括するSVPのBill Hilf氏はNew York Timesのインタビューに、「ユーザが我々からコンピュータを買うように、クラウドでも借りてくれると考えていた“We thought people would rent or buy computing from us,”」、しかし、「そう短絡的ではないことが解る“It turns out that it makes no sense for us to go head-to-head.”」と答えた。思い出してほしい。昨年10月、CEO Meg Whitman女史はHPを2つの会社に分離することを発表した。ひとつはPCやプリンタを扱うコンシューマ向けのHP Inc.、もうひとつはエンタープライズ向けのHP Enterpriseだ。冷静に考えると、このような大転換期では、Helionは、ビジネスとして成り立ち難いPublic Cloudよりも、アプライアンス化に向かうことが必然なのかもしれない。次なる変化を注目したい。