昨年11月のAmazonの参入を受け、DaaS市場が脚光を浴びつつある。
その状況は
DaaS-1、
DaaS-2で報告した。今回は、その後の動きや判明したことを元に、AmazonとCitrixについてアップデートをしよう。
=Amazon WorkPlacesアップデート=
Amazon WorkPlacesの
スケジュールが少し見えてきた。現在、WorkPlacesはLimitedリリースの段階である。この後、Publicベータ、そして2Q後半か夏には
正式版となるだろう。ただ課題は幾つかある。ひとつは現在の機能/性能範囲がマーケットに受け入れられるかどうかだ。技術的なポイントは
既報で
説明した。特にオンプレミス連携時などのレスポンスが許容範囲内かどうかは確かめられたい。WorkPlacesはAmazonが徹底したマーケット調査
の上で投入したサービスである。従って、世界的にはそれなりの市場が見込めるのだろう。しかし、日本市場となると気になるところだ。次にコスト。これは大
いに問題である。
- Standard - $35 / user / month.
- Standard Plus - $50 / user / month.
- Performance - $60 / month.
- Performance Plus - $75 / user / month.
WokrPlacesでユーザが使えるOSはWindows 7
Experience。これはどのバンドルでも同じだが、実際にはWindows ServerをDesktop
Experienceオプションによって、Windows 7に見せかけたもので、費用対効果はどうか。バンドル中2つのStandard
PlusとPerformance Plusには、
Microsoft Office Professionalが
含まれる。この差(Standard → Standard Plus、Performance → Performance
Plus)は共に月$15(約1,500円)である。実際に稼動するEC2のインスタンスは、StandardとStandard Plusが1
vCPU+3.75GB Memory+50GB Storage、PerformanceとPerformance Plusは2
vCPU+7.5GB Memory+100GB
Storageとなっている。つまり、簡単な話、WorkPlacesは特別設定のEC2インスタンスに必要なソフトウェアを乗せてパッケージにしたサー
ビスだ。DaaSにとって重要なことは、複数ユーザを束ねた上での柔軟性や使い易さ、そして総コストが如何に低いかである。次回に予定する
Microsoftと比べてWorkPlacesは費用的に決して廉くない。とすると、EC2という実行環境からくる柔軟性などに活路を見出せるかにかかっている。
=Citrixアップデート(Xen Desktop & App Orchestration)=
前回、日本市場では、Citrixの提携クラウドプロバイダーの殆どが
XenDesktop 7をホスティングしていると述べた。
これはユーザ別のシングルテナントだが、DaaS (通常はマルチテナント)の一形態としよう。NTT CommのBiz Desktop
ProやIIJ GIO、DoCoMoのMobile
Secure Desktopなどがそうだ。これには理由があって、VDIに対するカスタマイズ要望が高いことから来ているという。そして出来れば運用もやりたくない。結果、VDIホスティングが、それなりの日本風DaaSビジネスになっている。頷ける話だ。Citrixによると、米国では既にマルチテナントの本格的なDaaSも
Citrix App Orchestrationと
して投入されており、VDIホスティングと並存している。Citrixはこの世界での歴史が長く、経験も豊富だ。彼らにとって、ユーザは様々で、管理の行
き届いた個別導入のVDIを好むユーザ、IT要員の問題からVDIホスティングを望む場合、さらに汎用のDaaSまでと幅広い。DaaSを好むユーザはコ
ストメリットを重視している。従業員の職務分掌がはっきりしている米国でVDIは発達した、そうでない日本。この辺りがDaaSが普及するか、VDIホス
ティングかの分かれ目なのかもしれない。