
=製品の補完関係=
Dell-EMC両社の製品ポートフォリオを分析すると、そのカバー範囲の広さと相互補完の可能性が理解できる。勿論、両社の本業であるサーバーやストレージが互いに補完するのは当たり前だ。ただ、ストレージはDellも手掛けているし、サーバーではEMCのVCEなどがある。これらのハードウェア分野が新生Dell-EMCでも主力ビジネスとなるだろう。しかしそのビジネスを支えるのはソフトウェア群だ。これ無くしては新生Dell-EMCビジネスは回らない。両社がカバーするソフトウェア分野は大雑把に以下のようになる。これらのポートフォリオは両社がこれまでにM&Aによって手に入れたもので、各項目の後の()内は買収企業名、下線付きはDellの買収した企業を示す。また、傘下企業の一部は既に売却などの報道もあり、それらも参考にした。
- Backup & Archiving (Legato, Data Domain, AppAssure, Quest)
- Big Data and Analytics (Pivotal, StatSoft)
- Cloud Platforms for the Enterprise (Virtustream, vCloud Air)
- Enterprise Content Management (Documentum)
- Security, Governance and Compliance (RSA/Archer, Silicium, Silver Tail, SecureWorks, SonicWall)
- Virtualization (VMware)
まずBackup & Archiving分野はどうなっているか。ここには、EMCが2003年に買収したNetWorkerを持つ老舗バックアップのLegato Systems($1.3B)、そして2009年に$2.4Bで買収したアーカイブや重複排除のData Domainがある。Dell側も同様に2012年にWindowsベースのバックアップをするAppAssureを買収し、同じ年にクロスプラットフォームのNetVaultを持つQuest Software($2.4B)も買収している。これまで両社は、これら製品を使用する既存ユーザーに自社ストレージを売り込んできた。つまり、これら企業の戦略的価値は、ソフト製品の機能だけでなく、自社ストレージ製品の潜在的な販売マーケットでもあった。今回の合併でストレージ製品が段階的に整理統合されるとすれば、当然、これらの企業の整理も必要となろう。昨年暮れのReuters記事によると、Dellは合併に伴う資金調達のため、上記のAppAssureとQuest Softwareの2社にe-MailセキュリティーのSonicWallを加え、さらにPerot Systemsを含めて合計$10Bで売却する予定だという。このシリーズの1回目で報告したように 、この中で最も価値の高いPerot Systemsは、Dellのデータサービス部門(他2社を含む)として、3月中、NTT Dataに$3.05B(約3,660億円)で売却されており、記事にあった残り3社(AppAssure、Quest、SonicWall)についても売却先を探している可能性は高い。
◆ Big Data and Analytics

EMC側には周知のように、PaaSとして一定程度浸透しているPivotalがある。同社はそのプラットフォームCloud Foundry上にPivotal Big Data Suiteを整備してきた。一方、Dell側には2014年に買収したStatSoftがあり、これまで同社のStatisticaを提案してきた。もしこのStatisticaが有用であれば、Pivotalの浸透度から見て、Pivotal上の既存スィートに統合展開されると思われる。
◆ Cloud Platforms for the Enterprise

◆ Enterprise Content Management

◆ Security, Risk, Governance and Compliance


◆ Virtulization

=2つのグループか!=
以上見てきたように、両社のソフトウェアポートフォリオは幅広い。
重複しているものは今回の合併で整理が進むだろう。また、部分的にはIPOが可能だ。
