前回は自動運転車(オートノマスビークル/Autonomous Vehicle)の市場見通しとテクノロジーについて紹介した。今回はその先頭を走るGoogle Carとはどのようなものか、そしてGoogle AIをリードする人物についてまとめた。
=Google CarとAI技術!=

この分野には2人の天才がいる。
Google Carに話を戻そう。前回、オートノマスビークルにとって、車の目となる3次元リモートセンサー
LiDARの重要性は触れた。実際のところ
Google Carに採用されているVelodyne HDL-64Eは64個のレーザーセンサーを内蔵し、水平360°、垂直26.8°の三次元イメージングに対応している。そして、秒あたり2,200万ポイントを測定し、誤差は2cm以下、測定距離は約120mまで可能という優れものだ。この高性能LiDARから測定される3次元データとマップ、さらに各種センサーからのデータを使い、AIソフトウェアで制御する。これこそオートノマスビークルの心臓
だ。Google Carも一般のロボットと同様、基本的には、①まずLiDARなどで周囲の状況を把握し、さらに誤差を調整して、②次にどう行動すべきかのプランを作り、③それを再度調整しながら実行する。その流れを制御サイクルと呼び、Google Carでは0.1秒毎に高速実行する。前回、米運輸省の
オートノマスビークルの定義Level of Autonomous Vehicleを紹介した。現在、Google Carが目指しているのは、この中のLevel-3だ。今後LiDARだけでなく、各種のセンサーやカメラも高性能化する。そしてAIソフトウェアも進化し、Google Carがどのような形であれ、市場に登場するのは間違いない。
=アルファ碁=
もうひとりの天才はチェスの天才少年だったDemis Hassabis氏である。

昨年11月、Googleは自社で使用中のDeep LearningのAIライブラリー
Tnesor Flowをオープンソースとして公開した。そして先日
(5/18~20)開催された
Google I/O 2016では、このライブラリー向け専用のAIプロセッサーTPU(Tensor Processing Unit)がとうとうベールを脱いだ。この一連の流れは2014年に買収した英DeepMind Tecnologies(現Google DeepMind)から始まっている(既報)。このDeepMindの創業者がHassabis氏だ。あのElon Musk氏も初期投資家の一人である。同社が開発した畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)は素晴らしい。この3月、世界最強の囲碁棋士の一人と対戦し、4勝1敗で撃破したアルファ碁-
AlphaGo-は同社製だ。もちろんニューラルネットワーク理論と実行ライブラリーTensor Flow、そしてエンジンのTPUが使われている。アルファ碁は囲碁のルールや定石がプログラミングされているわけではない。これまでの膨大な棋譜を読み取って学習し、そこから打つ手を考え出す。実際の対戦では我々の考えられないひどい手が結果的に功を奏して勝ちに結びついたり、相手の勝負手に動揺して突然乱れだすという失態もあった。無の状態から、Big Dataの中のルールを読み解き、学習しながら進化する。これがGoogle Deep Learningだ。現時点ではGoogle Carとの直接の結びつきはない。しかし近未来、この技術が車に適用されればLevel-4の完全自動運転車が出現するのも夢ではない。