2010年12月23日木曜日
Merry Christmas!
Long time ago in Bethlehem, so the Holy Bible say,
Mary's boy child, Jesus Christ, was born on Christmas day.
Hark, now hear the angels sing, a new king born today,
And man will live forever more, because of Christmas Day.
While shepherds watched their flocks by night,
Them see a bright new shining star,
Them hear a choir sing, the music seemed to come from afar.
Now Joseph and his wife Mary, come to Bethlehem that night,
Them find no place to born she child, not a single room was in sight.
Hark, now hear the angels sing, a new king born today,
And man will live forever more, because of Christmas Day.
2010年12月21日火曜日
Amazonへ移すならCloudSwitchだ!
-データセンターから外部クラウドへ-
CloudSwitchがこのところ人気だ。
CloudSwitch は、企業データセンターのVMware仮想環境上のアプリケーションをシステムごと、外部のパブリッククラウド上に乗せかえるツールだ。このプロダクトは ソフトウェアアプライアンスとして提供され、サイトからダウンロードして、仮想環境で走らせればよい。全ての操作はWebベースでクリック、そしてドラッ グ& ドロップするだけでいい。
◆ CloudSwitch の仕組み
このWebベースのクラウド移行ツールを使えば、WindowsでもLinuxでも仮想環境上にあるレガシーなアプリケー ションを簡単に外部クラウドに移行することができる。外部のクラウド利用で企業ユーザーがもっとも気にするのはセキュリティーだ。外部のクラウドとオンプ レミス間には一般にファイヤーウォールがあるが、CloudSwitchではEncrypted Tunnel技術を使って、ファイヤーウォールをくぐらせ、個々のクラウド上の仮想マシンを完全な独立空間とする。実際のソフトウェアやデータの移行には AES256の暗号化が適用されるので安全だ。またCloudSwitchでは、データセンター内で使われていたセキュリティーパラメータがそのままクラ ウド上に適用されるので、ほぼ同等のセキュリティー環境が出来上がる。
このツールが適用できる外部クラウドは今のところ、Amazonと Terremarkだ。
ここで、企業のデータセンターがVMwareで稼動しており、これをAWSに移行することをイメージしてみよう。 VMwareのマシンイメージはVMDKで、AWSのXenとは異なる。CloudSwitchでは、これを変換せずにそのままEC2上に移行させる。そ してコア技術の“Cloud Isolation Technology(特許申請中)”がこの2つをマッピングさせる。つまり、XenベースのAWSと移行したVMDKアプリケーションの間にCloud Isolation Layerが入って、ここで実行時に変換が行われるのだ。
◆ CloudSwitchの適用
実際の適用を見てみよう。
まず、 同社サイトに氏名やeMail、Passwordなどを入力してサインアップし、確認eMailに応えればダウンロードが可能となる。第1ステップのダウ ンロードではCloudSwitchのソフトウェアアプライアンスとドキュメントがZipファイルで提供される。そして本体となるCloudSwitch の実行ファイルはVMwareの仮想化環境上で稼働する。このため実行マシンは、VMwareの仮想環境か、最低限、無償のESX Playerが必要だ。ダウンロード
されたCloudSwitchには、OVF(Open Virtual Format)とVMDK(VMware Disk Format)の両方がついてくる。第2ステップはCloudSwitchの適用(Deployment)だ。メニューに従いOVFかVMDKを指定し、 VMware上へ展開する。次にCloudSwitchの初期画面でこのアプライアンスの名前やアドミンのPasswordを設定、さらにアプライアンス のIPアドレスとDNSを指定する。その後、ネットワークやデータベースの初期化などを実行して終了だ。最終画面ではアプライアンスとネットワークの情 報、そしてIPアドレスが表示される。第3ステップはいよいよ実行だ。最初にアクティベーション。これは、このCloudSwitchアプライアンスの利 用がトライアルなのか有料なのか、契約者や契約期間などを確認するためだ。次に実際にクラウドに移行させるシステムを指定する。画面の左は移行させるシス テムを探す“Browse VM Location”、右は乗せかえるクラウド指定の“Select Destination”だ。ここで移行するシステムはVMware環境上になければいけない。つまり、CloudSwitchはあくまで、VMware 環境のものを外部のクラウドに移行するツールである。例えばCent OS上で稼働しているSugarCRMを指定し、クラウドはAmazon EC2とする。次に、該当システムの実行環境(メモリーサイズやコア数、32ビットなど)を確認し、既にAWSのユーザーであればEC2のアクセスキーを 入力、これでデータセンターからAmazon EC2への移行が始まる。後はEC2を実行すればよい。実際のクラウド運用のライフサイクルには、クラウド上の仮想マシンの実行-Start、停止 -Shutdown、削除-Delete、名称変更-Rename、クローン作成-Cloneなどが用意されている。
CloudSwitch は、企業データセンターのVMware仮想環境上のアプリケーションをシステムごと、外部のパブリッククラウド上に乗せかえるツールだ。このプロダクトは ソフトウェアアプライアンスとして提供され、サイトからダウンロードして、仮想環境で走らせればよい。全ての操作はWebベースでクリック、そしてドラッ グ& ドロップするだけでいい。
◆ CloudSwitch の仕組み
このWebベースのクラウド移行ツールを使えば、WindowsでもLinuxでも仮想環境上にあるレガシーなアプリケー ションを簡単に外部クラウドに移行することができる。外部のクラウド利用で企業ユーザーがもっとも気にするのはセキュリティーだ。外部のクラウドとオンプ レミス間には一般にファイヤーウォールがあるが、CloudSwitchではEncrypted Tunnel技術を使って、ファイヤーウォールをくぐらせ、個々のクラウド上の仮想マシンを完全な独立空間とする。実際のソフトウェアやデータの移行には AES256の暗号化が適用されるので安全だ。またCloudSwitchでは、データセンター内で使われていたセキュリティーパラメータがそのままクラ ウド上に適用されるので、ほぼ同等のセキュリティー環境が出来上がる。
このツールが適用できる外部クラウドは今のところ、Amazonと Terremarkだ。
ここで、企業のデータセンターがVMwareで稼動しており、これをAWSに移行することをイメージしてみよう。 VMwareのマシンイメージはVMDKで、AWSのXenとは異なる。CloudSwitchでは、これを変換せずにそのままEC2上に移行させる。そ してコア技術の“Cloud Isolation Technology(特許申請中)”がこの2つをマッピングさせる。つまり、XenベースのAWSと移行したVMDKアプリケーションの間にCloud Isolation Layerが入って、ここで実行時に変換が行われるのだ。
◆ CloudSwitchの適用
実際の適用を見てみよう。
まず、 同社サイトに氏名やeMail、Passwordなどを入力してサインアップし、確認eMailに応えればダウンロードが可能となる。第1ステップのダウ ンロードではCloudSwitchのソフトウェアアプライアンスとドキュメントがZipファイルで提供される。そして本体となるCloudSwitch の実行ファイルはVMwareの仮想化環境上で稼働する。このため実行マシンは、VMwareの仮想環境か、最低限、無償のESX Playerが必要だ。ダウンロード
されたCloudSwitchには、OVF(Open Virtual Format)とVMDK(VMware Disk Format)の両方がついてくる。第2ステップはCloudSwitchの適用(Deployment)だ。メニューに従いOVFかVMDKを指定し、 VMware上へ展開する。次にCloudSwitchの初期画面でこのアプライアンスの名前やアドミンのPasswordを設定、さらにアプライアンス のIPアドレスとDNSを指定する。その後、ネットワークやデータベースの初期化などを実行して終了だ。最終画面ではアプライアンスとネットワークの情 報、そしてIPアドレスが表示される。第3ステップはいよいよ実行だ。最初にアクティベーション。これは、このCloudSwitchアプライアンスの利 用がトライアルなのか有料なのか、契約者や契約期間などを確認するためだ。次に実際にクラウドに移行させるシステムを指定する。画面の左は移行させるシス テムを探す“Browse VM Location”、右は乗せかえるクラウド指定の“Select Destination”だ。ここで移行するシステムはVMware環境上になければいけない。つまり、CloudSwitchはあくまで、VMware 環境のものを外部のクラウドに移行するツールである。例えばCent OS上で稼働しているSugarCRMを指定し、クラウドはAmazon EC2とする。次に、該当システムの実行環境(メモリーサイズやコア数、32ビットなど)を確認し、既にAWSのユーザーであればEC2のアクセスキーを 入力、これでデータセンターからAmazon EC2への移行が始まる。後はEC2を実行すればよい。実際のクラウド運用のライフサイクルには、クラウド上の仮想マシンの実行-Start、停止 -Shutdown、削除-Delete、名称変更-Rename、クローン作成-Cloneなどが用意されている。
2010年12月15日水曜日
SalesforceのHeroku買収が意味するもの!
-Force.com再構築へ-
12月6~9日、San FranciscoのMoscorn Centerで始まったSnalesforce.com主催の恒例カンファレンスDreamforce 2010でCEO Marc Benioff氏から2つの重要な発表あった。ひとつはHerokuの 買収($212M)、もうひとつはBMC Softwareが過去に買収して部門傘下としたRemedyとの提携である。
◆ RubyホスティングのHeroku
Herokuとは不思議な名前だ。 Hero(ヒーロー)とHaiku(俳句)を重ね合わせた造語であり、Rubyを開発した松本行弘氏にちなんでRubyのヒーローになるためにつけた社名だという。HerokuはRubyのホスティ ングをPaaSクラウドとして専門に扱うプロバイダーとして2007年設立、HerokuGardenで有名になった。
この HerokuGardenとは、WebベースのIDEとしてRuby開発が行えるものだったが、ビジネスなどの問題があって今は中止となっている。同社の Ruby実行プラットフォームは、仮想マシンを使ってDyno Gridという仮想グリッドコンピューティング環境を作り、
この上でRubyのプロセスが並 行して動き出す。同社の初期は、このRubyの実行環境を自営センターで行い、その後、競合他社との価格競争からAmazon EC2に移行となった。そして今回の買収によって、Amazon EC2とForce.comの2つをサポートするか、Force.comに移行することになる。
◆ Force.com 2 への拡張
Marc Benioff氏によると、今回買収したHerokuは、Force.comの5つ目のプラットフォームとなる予定だ。PaaS整備を進める同社にとっ て、①部門アプリケーション開発向けのAppforce、 ②Webサイト構築プラットフォームのSiteforce、 ③ISV製品をデリバリーするISVforce、今年4月にVMwareと提携して実現した ④JavaフレームワークのSpringベース開発環境のVMforce、 今回の買収による ⑤Ruby開発環境の5つが勢ぞろいする。これらのプラットフォームサービスは、これまでの個別データベースから統合されたDatabase.comと 連携して提供され、氏はこれをForce.com 2として発表した。
◆ Salesforce.comの課題
Force.com 2への拡張と実際の計画には差異がある。
例えば今年4月に発表した VMforceはまだパブリックβにもなっていない。つまり、Force.com上への移植はそう簡単ではないのだ。そうこうするうちに、 Microsoft Azureの攻勢が始まり、一方でAmazonの進撃は止まらない。何とかクラウド御三家(Amazon、Google、Salesforce)の位置を 守り通さなければならない。下図のようにSalesforceのビジネスは、リーマンショックで一時落ち込んだものの、見かけは順調に伸びている。しかし この伸びは基本的にCRMのサブスクリプションだ。
売上げ 変動には幾つか大きなイベントが絡んでいる。
最初の大きな飛躍は、2005年9月に発表し、実際には2006年始めから動き出した AppExchangeだった。これまでの硬直したプラットフォームを整備し、APIやSDKを公開して、企業ユーザーやISVなどが開発したプログラム を公開・交換する制度だ。これによって既成品のCRMがカスタムメイドとなった。この計画を実行したのはSunから移籍したLew Tucker氏(現Ciscoクラウド部門CTO)だ。このAppExchangeの発表で同社は生き返り、売上げも一段と上を行くようになった。 2006年~2008年までの売上げを見れば、確かな実績がわかる。
◆ Force.comは成功するか
しかし米国のビジネス社会は休ませてはくれない。
そして次の目玉となったの がForce.comだ。Force.comの発表は2007年9月、CRMのSaaSから一段下のPaaSサービスの提供である。しかし、そう簡単には すすまない。問題のひとつは同社のプラットフォームの構造だ。今日の新しいクラウドプロバイダーは、一般に、IaaS→PaaS→SaaSと上位方向へビ ジネスを展開する傾向にある。AmazonのIaaSからPaaSが代表例だ。しかし、WebアプリケーションであるSaaSビジネスからPaaSや IaaSへの下位方向は、その構造がしっかりしていなければ難しい。Salesforceの場合、ここに素朴な疑問がある。もうひとつは、同社が Force.comで独自開発のプログラミング言語Apex Codeにこだわったことだ。Apexを使えばCRMの
カスタマイズやトリガー、ストアー ドプロシージャ、更にはビジネス・ロジックなどの作成が出来、かつJavaに似ているので習得は容易だとし、同社としてはこれを普及させたかったに違いな い。しかし、Apexの普及度合いはまったくのところ、解らない。VMwareと組んだSpringベースのVMforceもまだ動き出していな い。そして今度はRubyのHeroku買収である。この発表時には、Marc Benioff氏自身がいみじくもApexに固執し過ぎたと弁明した。Herokuにはかなりのデベロッパーがついている。今度こそ、Rubyコミュニ ティーを上手く引き寄せ、一方でJava SpringのVMforceを仕上げなければいけない。
◆ RubyホスティングのHeroku
Herokuとは不思議な名前だ。 Hero(ヒーロー)とHaiku(俳句)を重ね合わせた造語であり、Rubyを開発した松本行弘氏にちなんでRubyのヒーローになるためにつけた社名だという。HerokuはRubyのホスティ ングをPaaSクラウドとして専門に扱うプロバイダーとして2007年設立、HerokuGardenで有名になった。
この HerokuGardenとは、WebベースのIDEとしてRuby開発が行えるものだったが、ビジネスなどの問題があって今は中止となっている。同社の Ruby実行プラットフォームは、仮想マシンを使ってDyno Gridという仮想グリッドコンピューティング環境を作り、
この上でRubyのプロセスが並 行して動き出す。同社の初期は、このRubyの実行環境を自営センターで行い、その後、競合他社との価格競争からAmazon EC2に移行となった。そして今回の買収によって、Amazon EC2とForce.comの2つをサポートするか、Force.comに移行することになる。
◆ Force.com 2 への拡張
Marc Benioff氏によると、今回買収したHerokuは、Force.comの5つ目のプラットフォームとなる予定だ。PaaS整備を進める同社にとっ て、①部門アプリケーション開発向けのAppforce、 ②Webサイト構築プラットフォームのSiteforce、 ③ISV製品をデリバリーするISVforce、今年4月にVMwareと提携して実現した ④JavaフレームワークのSpringベース開発環境のVMforce、 今回の買収による ⑤Ruby開発環境の5つが勢ぞろいする。これらのプラットフォームサービスは、これまでの個別データベースから統合されたDatabase.comと 連携して提供され、氏はこれをForce.com 2として発表した。
◆ Salesforce.comの課題
Force.com 2への拡張と実際の計画には差異がある。
例えば今年4月に発表した VMforceはまだパブリックβにもなっていない。つまり、Force.com上への移植はそう簡単ではないのだ。そうこうするうちに、 Microsoft Azureの攻勢が始まり、一方でAmazonの進撃は止まらない。何とかクラウド御三家(Amazon、Google、Salesforce)の位置を 守り通さなければならない。下図のようにSalesforceのビジネスは、リーマンショックで一時落ち込んだものの、見かけは順調に伸びている。しかし この伸びは基本的にCRMのサブスクリプションだ。
売上げ 変動には幾つか大きなイベントが絡んでいる。
最初の大きな飛躍は、2005年9月に発表し、実際には2006年始めから動き出した AppExchangeだった。これまでの硬直したプラットフォームを整備し、APIやSDKを公開して、企業ユーザーやISVなどが開発したプログラム を公開・交換する制度だ。これによって既成品のCRMがカスタムメイドとなった。この計画を実行したのはSunから移籍したLew Tucker氏(現Ciscoクラウド部門CTO)だ。このAppExchangeの発表で同社は生き返り、売上げも一段と上を行くようになった。 2006年~2008年までの売上げを見れば、確かな実績がわかる。
◆ Force.comは成功するか
しかし米国のビジネス社会は休ませてはくれない。
そして次の目玉となったの がForce.comだ。Force.comの発表は2007年9月、CRMのSaaSから一段下のPaaSサービスの提供である。しかし、そう簡単には すすまない。問題のひとつは同社のプラットフォームの構造だ。今日の新しいクラウドプロバイダーは、一般に、IaaS→PaaS→SaaSと上位方向へビ ジネスを展開する傾向にある。AmazonのIaaSからPaaSが代表例だ。しかし、WebアプリケーションであるSaaSビジネスからPaaSや IaaSへの下位方向は、その構造がしっかりしていなければ難しい。Salesforceの場合、ここに素朴な疑問がある。もうひとつは、同社が Force.comで独自開発のプログラミング言語Apex Codeにこだわったことだ。Apexを使えばCRMの
カスタマイズやトリガー、ストアー ドプロシージャ、更にはビジネス・ロジックなどの作成が出来、かつJavaに似ているので習得は容易だとし、同社としてはこれを普及させたかったに違いな い。しかし、Apexの普及度合いはまったくのところ、解らない。VMwareと組んだSpringベースのVMforceもまだ動き出していな い。そして今度はRubyのHeroku買収である。この発表時には、Marc Benioff氏自身がいみじくもApexに固執し過ぎたと弁明した。Herokuにはかなりのデベロッパーがついている。今度こそ、Rubyコミュニ ティーを上手く引き寄せ、一方でJava SpringのVMforceを仕上げなければいけない。
2010年12月9日木曜日
動き出したOpen Data Center Alliance!
10月27日、大手企業によるクラウドデータセンターの標準化を進めるアライアンスOpen Data Center Alliance(ODCA)が動き出した。ODCAに参加したのはBMW、China Life、Deutsche Bank、JPMorgan Chase、Lockheed Martin、Marriott、National Austraralia Bank、Shell Global Solutions、Terremark 、UBS等のSteering Committee (運営委員会)メンバーと、さらにAT&TやCERN、ING、Motorola、Nokia、Savvis、Verizonなどの蒼々たる企業 が一般会員として名を連ねている。組織は運営委員会のもとにマーケティングとワーキングのグループがあり、この団体を実質的に主導したIntelが運営委 員会のテクニカルアドバイザーとなった。
◆ アライアンスの目的
こ のODCA参加企業は、クラウド環境に代表される次世代データセンターの在り方に問題意識を持ち、それに求められる相互接続性、柔軟性、業界標準をテーマ としたロードマップを作成、そしてこの基準マップを共有することで関連ベンダーへの協力要請を行う考えだ。既にアライアンスではこれをUsage Model(利用モデル)として0.5版を作成し、アライアンス発足と同時に公開した。ODCAの5つのワーキング・グループは、 ①Infrastructure、②Management、③Security、④Services、⑤Government & Ecosystemsに分れ、来年1Qには1.0版のリリースを計画 している。
◆Intelのクラウド2015ビジョン
このアライアンスを主導した Intelは、同日、“Intel Cloud 2015 Vision”構想をあきらかにした。この構想も、ODCAの立ち上げも、全てはIntel Cloud Builders Programに沿ったものである。このプログラ ムは、昨年11月、ソフトウェアベンダーの協賛を仰ぎ、Intelアーキテクチャー上で参加各社の技術を用いて、サービスプロバイダーやホスティング業 者、さらに大型エンタープライズのクラウド構築のガイドラインを示すものだった。その進化版である今回の構想では、2015年を目標に成長するクラウド利 用の“User”と“Data”、そして“Service”の効果的な連携を試みる。その上でこのビジョンをデータセンターとして実行させる共通基盤の策 定がODCAに課せられた命題だ。
Cloud 2015 Visionのポイントは3つ。
まず複数のクラウドプロバイダーを超えた通信 とデータ、サービスの容易なやり取りを実現する①Fedearated(連携)、次にクラウドサー ビスやリソースの特定、位置指定などを人手を介さずにかつ安全に実行する②Automated(自動化)、そして、これらのサービスを利用デバイスに依存 せずにシームレスな提供を可能とする③Client -Aware(クライアントの自動認識)だ。
アライ アンスに参加した約70社のメンバー企業は、それぞれクラウドコンピューティングの研究やプロジェクトを手がけており、各社の総IT投資額は年間 約$50Bにのぼり、業種も様々だ。Intelとしては、この強力な影響力をテコに、アプリケーションやリソース共有を可能とするクラウド間連携、そして 従来のPCだけでなく、スマートフォンやタブレット、車載ターミナルなどの違いを自動識別しながら実行できるクラウドの新世界を目指している。ODCAの 活動が上手く機能すれば、「クラウドの今後はどうなる」シリーズ(1、2、3、4)で取りあげた幾つかの課題が解決される筈だ。
◆ アライアンスの目的
こ のODCA参加企業は、クラウド環境に代表される次世代データセンターの在り方に問題意識を持ち、それに求められる相互接続性、柔軟性、業界標準をテーマ としたロードマップを作成、そしてこの基準マップを共有することで関連ベンダーへの協力要請を行う考えだ。既にアライアンスではこれをUsage Model(利用モデル)として0.5版を作成し、アライアンス発足と同時に公開した。ODCAの5つのワーキング・グループは、 ①Infrastructure、②Management、③Security、④Services、⑤Government & Ecosystemsに分れ、来年1Qには1.0版のリリースを計画 している。
◆Intelのクラウド2015ビジョン
このアライアンスを主導した Intelは、同日、“Intel Cloud 2015 Vision”構想をあきらかにした。この構想も、ODCAの立ち上げも、全てはIntel Cloud Builders Programに沿ったものである。このプログラ ムは、昨年11月、ソフトウェアベンダーの協賛を仰ぎ、Intelアーキテクチャー上で参加各社の技術を用いて、サービスプロバイダーやホスティング業 者、さらに大型エンタープライズのクラウド構築のガイドラインを示すものだった。その進化版である今回の構想では、2015年を目標に成長するクラウド利 用の“User”と“Data”、そして“Service”の効果的な連携を試みる。その上でこのビジョンをデータセンターとして実行させる共通基盤の策 定がODCAに課せられた命題だ。
Cloud 2015 Visionのポイントは3つ。
まず複数のクラウドプロバイダーを超えた通信 とデータ、サービスの容易なやり取りを実現する①Fedearated(連携)、次にクラウドサー ビスやリソースの特定、位置指定などを人手を介さずにかつ安全に実行する②Automated(自動化)、そして、これらのサービスを利用デバイスに依存 せずにシームレスな提供を可能とする③Client -Aware(クライアントの自動認識)だ。
アライ アンスに参加した約70社のメンバー企業は、それぞれクラウドコンピューティングの研究やプロジェクトを手がけており、各社の総IT投資額は年間 約$50Bにのぼり、業種も様々だ。Intelとしては、この強力な影響力をテコに、アプリケーションやリソース共有を可能とするクラウド間連携、そして 従来のPCだけでなく、スマートフォンやタブレット、車載ターミナルなどの違いを自動識別しながら実行できるクラウドの新世界を目指している。ODCAの 活動が上手く機能すれば、「クラウドの今後はどうなる」シリーズ(1、2、3、4)で取りあげた幾つかの課題が解決される筈だ。
2010年12月6日月曜日
活況なクラウドインフラ市場!
-クラウドの今後はどうなる(4)-
このシリーズの前回はマルチハイパーバイザー管理について述べた。
今回はComputeやStorageのエンジンとなるクラウド基盤 (Cloud Infrastructure)について言及しよう。これら2つの製品群(マルチハイパーバイザー管理とクラウド基盤)は、機能的に重複部分も多いが、こ こでは新しい市場であるので、敢えて分けてみた。
これらの登場の背景には、このシリーズ第1回で報告した仮想化とOSのタイトな関係にある。 Red HatがRHEL6以降でKVMのみをサポートし、VMwareはSUSE部門の買収こそ逸したがSUSEと緊密な関係を模索、勿論、Hyper-Vは Windows Serverに組み込まれている。こうなると、近未来、ユーザー企業は好むと好まざるとに係わらず、複数のハイパーバイザーを扱わなければならない。さら に仮想化ベンダーなどは、この分野でもクラウド基盤(vCloud、Xen Cloud Platform、Red Hat Foundation)の開発を進め、全方位の囲込みに余念が無い。下から上までの完全な囲い込みである。
◆ オープンソース勢の活躍
このようなビジネス最優先のベンダーのエゴは、 ユーザーの利便性を損う。
それに抗うように登場してきた新勢力が2つの製品群だ。多くはオープンソースである。理由はもちろん、ユーザーの声を代 表する製品を提供すること。ユーザー企業の望みは、OS組み込みのハイパーバーザーの如何を問わず、リソースをダイナミックにコントロールして、その上 に、自由な仮想マシン空間を作ること。この機能がマルチハイパーバイザー管理分野の最終目標だ。しかし、マルチハイパーバイザー管理とは言っても、現段階 ではXenとKVMをカバーするものが多く、どちらにでも対応ができるが、同時に管理できるものは少ない。その上のクラウド基盤も特定のハイパーバーザー だけでなく、出来れば複数のハイパーバイザー上でComputeとStorageエンジンの稼働を目指している。もし、この2つの分野の最終目標が実装で きれば、ユーザー企業に計りしえない恩恵を与えることができる。
◆ ク ラウド基盤製品の特徴
この分野の製品を見てみよう。
Cloud.comは元SunのJVM(Java Virtual Machine)のリードデベロッパーだったSheng Liang氏がFounderだ。現在の製品(CloudStack 2.0)はマルチハイパーバーザー(Xenと KVM)を基本に、さらにクラウド基盤領域にも拡大したもので、今後はOpenStackとの調整を図るものと見られる。オープンソースと商用版があ る。(Cloud.com詳細記事)
EucalyptusはUC Santa Barbara(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)で開発されたオープンソースで、AWS (Amazon Web Services)の基本機能EC2/S3/EBSとAPIレベルの互換性を持ち、XenかKVMの仮想環境で稼働する。このためAWSのプライベートク ラウド構築インフラとして人気となった。その後、コマーシャルサポートのEucalyptus Systemsを設立。元MySQLのCEOだったMarten Mickos氏が率いている。
NimbusはGobus Toolkitで有名なGlobus Allianceとエネルギー省傘下のArgonne National Laboratoryが共同で進める
プロジェクトだ。初期の GlobusはGrid Computingをベースに始まったが、独自のリソース管理をWSRF(Web Service-based Resource Framework)に変え、さらにNimbusになってクラウドを念頭においたWork Space Serviceを開始した。このシステムでは仮想化技術で作られる無数の仮想マシンを利用してグリッド処理と通常のクラウド処理が実行できる。
(NimbusとOpenNebulaの詳細記事)
スペインの大学 で始まったオープンソースのインフラ基盤OpenNebulaは、スペイン政府の援助、さらにはEUの支援を受け、欧州で勢力を拡大している。扱える仮 想化はXen、KVM、VMwareだが、さらにはDeltaCloud APIを介してAmazon EC2や英Elastic Hostなどにも対応済みだ。このプロダクトの仮想インフラマネジャーは瞬時にシステムサイズの変更ができるDynamic Resize機能やクラスターサイズを動的に変更するDynamic Cluster Partionningなどを実装している。(DeltaCloud詳細記事)
OpenStack.orgはNASAの 協力で始まったRackspaceのインフラ基盤プロジェクトだ。このプロジェクトではシリコンバレーにあるNASA Ames Research Centerが開発したクラウドNebulaのCompute
エ ンジンとRackspaceのObject Storageエンジンをベースにして、一般のService Providerや大手企業のクラウド構築を目指している。このオープンソース基盤が一般化すれば、クラウド間の自由な移動が可能となり、新しい世界が開 ける。
Amazonク ラウドを開発したChris Pinkham氏が興したNimbulaのNimbula Director(β版)はXenとKVMをカバーし、複数データセンターに対応する。これによって、Amazonと同様の機能を企業向けのプライベート クラウド版として出荷することを目指している。(Nimbula詳細記事)
さ て、問題は仮想化ベンダーの戦略が成功するかだ。
各ベンダーの囲い込みはすさまじい。先行するVMwareはvCloudを開発し、追うように Xen/Citrix組もXen Cloud Platformプロジェクトをスタート、次いでRed HatもCloud Foundationを開始した。しかしながら、現状ではVMwareが当初狙ったデータセンター市場での評判はいまひとつ、Xenは開発途上、 Red Hatも始まったばかりである。これに対抗するオープンソースを主とした新勢力が頑張れるかは予断を許さない。
彼らが勝つ条件は、複数のハイ パーバーザーを同時に制御し、それらを束ねた効果的なダイナミック・リソースコントロールを実現することだ。その上でインフラ基盤が動けば、風向きは大き く彼らになびく。
今回はComputeやStorageのエンジンとなるクラウド基盤 (Cloud Infrastructure)について言及しよう。これら2つの製品群(マルチハイパーバイザー管理とクラウド基盤)は、機能的に重複部分も多いが、こ こでは新しい市場であるので、敢えて分けてみた。
これらの登場の背景には、このシリーズ第1回で報告した仮想化とOSのタイトな関係にある。 Red HatがRHEL6以降でKVMのみをサポートし、VMwareはSUSE部門の買収こそ逸したがSUSEと緊密な関係を模索、勿論、Hyper-Vは Windows Serverに組み込まれている。こうなると、近未来、ユーザー企業は好むと好まざるとに係わらず、複数のハイパーバイザーを扱わなければならない。さら に仮想化ベンダーなどは、この分野でもクラウド基盤(vCloud、Xen Cloud Platform、Red Hat Foundation)の開発を進め、全方位の囲込みに余念が無い。下から上までの完全な囲い込みである。
◆ オープンソース勢の活躍
このようなビジネス最優先のベンダーのエゴは、 ユーザーの利便性を損う。
それに抗うように登場してきた新勢力が2つの製品群だ。多くはオープンソースである。理由はもちろん、ユーザーの声を代 表する製品を提供すること。ユーザー企業の望みは、OS組み込みのハイパーバーザーの如何を問わず、リソースをダイナミックにコントロールして、その上 に、自由な仮想マシン空間を作ること。この機能がマルチハイパーバイザー管理分野の最終目標だ。しかし、マルチハイパーバイザー管理とは言っても、現段階 ではXenとKVMをカバーするものが多く、どちらにでも対応ができるが、同時に管理できるものは少ない。その上のクラウド基盤も特定のハイパーバーザー だけでなく、出来れば複数のハイパーバイザー上でComputeとStorageエンジンの稼働を目指している。もし、この2つの分野の最終目標が実装で きれば、ユーザー企業に計りしえない恩恵を与えることができる。
◆ ク ラウド基盤製品の特徴
この分野の製品を見てみよう。
Cloud.comは元SunのJVM(Java Virtual Machine)のリードデベロッパーだったSheng Liang氏がFounderだ。現在の製品(CloudStack 2.0)はマルチハイパーバーザー(Xenと KVM)を基本に、さらにクラウド基盤領域にも拡大したもので、今後はOpenStackとの調整を図るものと見られる。オープンソースと商用版があ る。(Cloud.com詳細記事)
EucalyptusはUC Santa Barbara(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)で開発されたオープンソースで、AWS (Amazon Web Services)の基本機能EC2/S3/EBSとAPIレベルの互換性を持ち、XenかKVMの仮想環境で稼働する。このためAWSのプライベートク ラウド構築インフラとして人気となった。その後、コマーシャルサポートのEucalyptus Systemsを設立。元MySQLのCEOだったMarten Mickos氏が率いている。
NimbusはGobus Toolkitで有名なGlobus Allianceとエネルギー省傘下のArgonne National Laboratoryが共同で進める
プロジェクトだ。初期の GlobusはGrid Computingをベースに始まったが、独自のリソース管理をWSRF(Web Service-based Resource Framework)に変え、さらにNimbusになってクラウドを念頭においたWork Space Serviceを開始した。このシステムでは仮想化技術で作られる無数の仮想マシンを利用してグリッド処理と通常のクラウド処理が実行できる。
(NimbusとOpenNebulaの詳細記事)
スペインの大学 で始まったオープンソースのインフラ基盤OpenNebulaは、スペイン政府の援助、さらにはEUの支援を受け、欧州で勢力を拡大している。扱える仮 想化はXen、KVM、VMwareだが、さらにはDeltaCloud APIを介してAmazon EC2や英Elastic Hostなどにも対応済みだ。このプロダクトの仮想インフラマネジャーは瞬時にシステムサイズの変更ができるDynamic Resize機能やクラスターサイズを動的に変更するDynamic Cluster Partionningなどを実装している。(DeltaCloud詳細記事)
OpenStack.orgはNASAの 協力で始まったRackspaceのインフラ基盤プロジェクトだ。このプロジェクトではシリコンバレーにあるNASA Ames Research Centerが開発したクラウドNebulaのCompute
エ ンジンとRackspaceのObject Storageエンジンをベースにして、一般のService Providerや大手企業のクラウド構築を目指している。このオープンソース基盤が一般化すれば、クラウド間の自由な移動が可能となり、新しい世界が開 ける。
Amazonク ラウドを開発したChris Pinkham氏が興したNimbulaのNimbula Director(β版)はXenとKVMをカバーし、複数データセンターに対応する。これによって、Amazonと同様の機能を企業向けのプライベート クラウド版として出荷することを目指している。(Nimbula詳細記事)
さ て、問題は仮想化ベンダーの戦略が成功するかだ。
各ベンダーの囲い込みはすさまじい。先行するVMwareはvCloudを開発し、追うように Xen/Citrix組もXen Cloud Platformプロジェクトをスタート、次いでRed HatもCloud Foundationを開始した。しかしながら、現状ではVMwareが当初狙ったデータセンター市場での評判はいまひとつ、Xenは開発途上、 Red Hatも始まったばかりである。これに対抗するオープンソースを主とした新勢力が頑張れるかは予断を許さない。
彼らが勝つ条件は、複数のハイ パーバーザーを同時に制御し、それらを束ねた効果的なダイナミック・リソースコントロールを実現することだ。その上でインフラ基盤が動けば、風向きは大き く彼らになびく。
2010年11月30日火曜日
名門Novellはどうなるのか!
11月22日、とうとう名門Novellが複数の投資企業が支援するAttachmateに買収されることが決まった。このAttachmateはメインフレームのターミナルエミュレータやエンタープライズセキュリ ティー製品の会社で、30年の歴史と6万5000社のユーザ企業を持っている。しかしながら今回の買収劇の背後には、一連の投資企業がいる。この投資企業の仲介によりMicrosoftはAttachmateからNovellの持つ一連の特許を再取得する予定だ。
◆ Microsoftとの戦いの歴史
振り返ると同社の系譜には驚かされる。
同社の初期はオフィスバックエンド系のFile ServerやPrint ServerにかかるNetWare製品に注力していた。そして当初の独自開発OSから1991年にはPC OSとしてMicrosoftより技術的に優れていたマルチタスク制御のDigital Researchを買収してNetWareに組み込んだ。後に、このDigital Research部門は子会社のCalderaとなり、SCO Groupに売却することになる。この時期、PCは単体利用から企業内LANによるNetworkへの移行期でNetWareが浸透し、それをMicrosoftが開発したLAN Managerが追う展開となった。1994年、この分野の競争激化に伴いNovellは一転、Unixの権利をAT&Tの子会社Unix System Laboratoriesから買取り、Unixを組み込んだUnixWareを 開発、NetWareと併売体制となった。同年にはまた、MicrosoftのOffice製品に対抗すべく、Word Perfect(後にCorelに売却)を傘下に収めて彼らの製品をUnixに移植し、全方位でMicrosoftに対抗する体制を敷いた。しかしながら、これらの大胆な戦略も功を奏さず、1995年にUnix部門をSCOに売却。その後、この売却時の契約の曖昧さが後にSCOによるLinuxベンダーへの著作権裁判に発展したのは周知の通りである。
このような流れからNovellは一時期、コア製品のNetWare、その延長線上で開発したネッ トワーク上の機器の所在管理をするDirectory Serviceに的を絞った。そのLDAP (Light Weight Directory)は現在でもMicrosoftのActive Directoryと共に広く使われている。
◆ Linux市場への参入
次の転機は2003年だ。
この年8月、Desktop LinuxのXimianを買収、同11月に独SuSE Linux AGを買収して、Linux 市場に打って出た。Ximianにはオープンソース界では有名なファウンダーのMiguel de Lcaza氏とNat Friedman氏がいた。この2人は米系LinuxではほぼデフォルトとなったGUIのGNOMEプロジェクト、さらにMicrosoft .NETをLinuxで稼働させるMono
プロジェクトを創設し、中心となって活動した人物だ。
結果的にはXimianのDesktop Linux事業は育たなかったが、この2つの企業買収は同社事業再編の強烈な戦略だった。Ximianからは優秀なLinuxの人材、SuSEからは現在のサーバー製品を手に入れた。
◆ Microsoftとの 協調路線へ
さらなる転機は2006年の11月2日だった。
Novellは突然のように、Microsoftとの大きな提携を発表した。1983年、CEOに就任したRay Noorda氏が育て上げたNovellは、これまで常にMicrosoftと対決してきた。
しかしNetWare市場はMicrosoftに奪われ、残るはSuSE Liunxだけとなった。そのLinux市場で生き残るにはWindowsとの共存、それしか名案はなかった。この時期、Microsoftが同社の持つ特許にLinuxが抵触しているとし、かつGPLv3の策定期であったことから、この提携はLinuxを支えてきたオープンソースコミュニティーから大きな反感を買った。これが欧州で人気が高かったSUSEが、米国市場で伸び悩んだ一因である。
◆ 今後はどうなるのか
今回の買収劇には、噂だったVMwareは絡まなかった。
しかし、可能性は残されている。Attachmateの発表によれば、NovellはSUSE部門とそれ以外を扱うNovell部門に分かれる。XimianやSuSE Linux AGからの優秀な人材を抱えて戦った旧Novell、それに対し、AttachmateはLinuxへの求心力も低く、人材もいない。さらに同社自身、Francisco PartnersやGolden Gate Capital、Thoma Bravoなどの投資グループの所有物である。今年3月にはNovell株の約30%を持つヘッジファンドのElliott AssociatesがNovellの全面買収を試みたが株主の反対で不調に終わった。今回の買収はその第2幕だ。そしてAttachmateにはそのElliottが加わった。製品戦略でみれば、Attachemateにとって2006年買収したセキュリティーのNetIQ同様、ネットワーク製品に強みを持つNovell部門の有用性は高い。しかしどこから見ても、SUSE部門が上手くいくとは思い難い。SUSEのためには、いやLinuxの健全な普及のためにも、再度、しっかりした買い手が見つかることを期待したい。
◆ Microsoftとの戦いの歴史
振り返ると同社の系譜には驚かされる。
同社の初期はオフィスバックエンド系のFile ServerやPrint ServerにかかるNetWare製品に注力していた。そして当初の独自開発OSから1991年にはPC OSとしてMicrosoftより技術的に優れていたマルチタスク制御のDigital Researchを買収してNetWareに組み込んだ。後に、このDigital Research部門は子会社のCalderaとなり、SCO Groupに売却することになる。この時期、PCは単体利用から企業内LANによるNetworkへの移行期でNetWareが浸透し、それをMicrosoftが開発したLAN Managerが追う展開となった。1994年、この分野の競争激化に伴いNovellは一転、Unixの権利をAT&Tの子会社Unix System Laboratoriesから買取り、Unixを組み込んだUnixWareを 開発、NetWareと併売体制となった。同年にはまた、MicrosoftのOffice製品に対抗すべく、Word Perfect(後にCorelに売却)を傘下に収めて彼らの製品をUnixに移植し、全方位でMicrosoftに対抗する体制を敷いた。しかしながら、これらの大胆な戦略も功を奏さず、1995年にUnix部門をSCOに売却。その後、この売却時の契約の曖昧さが後にSCOによるLinuxベンダーへの著作権裁判に発展したのは周知の通りである。
このような流れからNovellは一時期、コア製品のNetWare、その延長線上で開発したネッ トワーク上の機器の所在管理をするDirectory Serviceに的を絞った。そのLDAP (Light Weight Directory)は現在でもMicrosoftのActive Directoryと共に広く使われている。
◆ Linux市場への参入
次の転機は2003年だ。
この年8月、Desktop LinuxのXimianを買収、同11月に独SuSE Linux AGを買収して、Linux 市場に打って出た。Ximianにはオープンソース界では有名なファウンダーのMiguel de Lcaza氏とNat Friedman氏がいた。この2人は米系LinuxではほぼデフォルトとなったGUIのGNOMEプロジェクト、さらにMicrosoft .NETをLinuxで稼働させるMono
プロジェクトを創設し、中心となって活動した人物だ。
結果的にはXimianのDesktop Linux事業は育たなかったが、この2つの企業買収は同社事業再編の強烈な戦略だった。Ximianからは優秀なLinuxの人材、SuSEからは現在のサーバー製品を手に入れた。
◆ Microsoftとの 協調路線へ
さらなる転機は2006年の11月2日だった。
Novellは突然のように、Microsoftとの大きな提携を発表した。1983年、CEOに就任したRay Noorda氏が育て上げたNovellは、これまで常にMicrosoftと対決してきた。
しかしNetWare市場はMicrosoftに奪われ、残るはSuSE Liunxだけとなった。そのLinux市場で生き残るにはWindowsとの共存、それしか名案はなかった。この時期、Microsoftが同社の持つ特許にLinuxが抵触しているとし、かつGPLv3の策定期であったことから、この提携はLinuxを支えてきたオープンソースコミュニティーから大きな反感を買った。これが欧州で人気が高かったSUSEが、米国市場で伸び悩んだ一因である。
◆ 今後はどうなるのか
今回の買収劇には、噂だったVMwareは絡まなかった。
しかし、可能性は残されている。Attachmateの発表によれば、NovellはSUSE部門とそれ以外を扱うNovell部門に分かれる。XimianやSuSE Linux AGからの優秀な人材を抱えて戦った旧Novell、それに対し、AttachmateはLinuxへの求心力も低く、人材もいない。さらに同社自身、Francisco PartnersやGolden Gate Capital、Thoma Bravoなどの投資グループの所有物である。今年3月にはNovell株の約30%を持つヘッジファンドのElliott AssociatesがNovellの全面買収を試みたが株主の反対で不調に終わった。今回の買収はその第2幕だ。そしてAttachmateにはそのElliottが加わった。製品戦略でみれば、Attachemateにとって2006年買収したセキュリティーのNetIQ同様、ネットワーク製品に強みを持つNovell部門の有用性は高い。しかしどこから見ても、SUSE部門が上手くいくとは思い難い。SUSEのためには、いやLinuxの健全な普及のためにも、再度、しっかりした買い手が見つかることを期待したい。
2010年11月21日日曜日
Ray Ozzie氏からのメッセージ!
Bill Gate氏からChief Software Architectを引き継いだRay Ozzie氏 のMicrosoft退社(10/18発表)が気にかかる。氏がMicrosoftのクラウドを推進してきた中心人物だからだ。Gates氏がそうだったように、Ozzie氏はMicrosoft製品全域の方向性や基本的な考え方をソフトウェア構造の中に反映して、これまでの流れを牽引してきた。オンラインサービスの “Windows Live”やクラウドの“Windows Azure”などだ。Gates氏の全幅の信頼があった氏の突然の退社、それは氏の社内挫折ではないかと捉えることは自然なことであろう。それを裏付けるように、氏は個人的なブログ(10/28付)の中で以下(要約)のように述べている。
◆ Dawn of New Day(新しい日の夜明け)
5年前(Chief Software Architect就任)、Microsoftに大きな変化を起こさせるために、私は“Internet Services Disruption(インターネットサービスの崩壊)”というメモを書き、その冒頭で5年毎に我われの産業は大きな変化に見舞われるようになるだろうと予測しました。事実、その後の5年間、会社中でこれまでのPC中心からサービス中心にむけた変革に取り組むことになりました。
サービスの中心となった“Seamless-OS(継ぎ目のないOS)”では、オプションでしたがWindowsとOffice Softwareを自然なサービスとして補完すべく、Windows Liveを提供しました。そして“Seamless-Productivity(継ぎ目のない生産性)”では、Office 2010からOffice 365、SharePointからLiveへとWeb連携を推進させました。“Seamless-Entertainment(継ぎ目のないエンターテイ メント)”でもXbox Liveは、Xboxをリアルタイムで、ソシアルで、メディアリッチなTVエクスペリエンスへと変化させました。全てがサービスへの流れです。さらに “Service Platform”の領域では、Windows AzureとSQL Azureがクラウドとなって登場したことを本当に誇り思います。実際のところ、このメモだけでなく、議論や社内リーダーたちによって革新的なサービスが次々に作られ、新しい検索サービス“Bing”はこうして開花しました。我われのサーバー資産は、仮想化とクラウドコンピューティングの登場で際立った移行を可能とするところまで到達しました。私にとってもっとも重要であり、また誇りに思うことは、競争原理の上でインターオペラビリティーとプライバシーの文化を熟成させ、本物の開放性を勝ち得てきたことです。
それでも5年前のメモの幾つかはそのまま手付かずに残っています。我われの競合相手 もインターネット中心の社会的推移の中で、モバイルなど注目に値する開発を行い、ハードウェアとソフトウェアの融合を推進してきました。このように、我われは機敏な開発こそが、背面で起こっている劇的な変化を吸収し得るものだということを見てきました。これらの変化は以前から予測されてきました。しかし、 この5年の変化はWiFi、3G/4Gなど想像を超えるものでした。それらは今、当然のことのように人々に受け止められています。過去を見れば、 “System Board”が四角なPCボックスとなり、今では“Systems on Chip’がピカピカなデザインのデバイスを作り上げ、大きなCRTは軽量薄型のタッチスクリーンに置き換わり、企業内組織や業務の流れはインターネット時代に沿ったものとなりました。このような変化を受け、生産者と消費者の壁も消え、古典的な流通機構は崩壊し、世界中で、あらゆる産業が再構築されてきま した。この再考作業は、もっとも基本的な構造信条を疑うことから始まります。そうすることで、生き残るための知恵ができるのです。過去5年間は息を呑むようでした。次の5年は、もうひとつの変曲点の始まりです。
-Imagining A "Post-PC" World(次世代PCとは)-
2010 年11月20日、それはMicrosoftにとって記念となる日です。Windows 1.0の開始から25年目にあたるからです。我われのこれまでの開発は、「個人的なコンピュータ」という夢のような大胆な概念を支持することから始まりま した。Windowsは初のGUIではなかったかもしれません。しかし、時間の経過と共に世界中で10億人以上が利用し、コンピューティングとコミュニ ケー ションを民主化してきました。そしてWindowsとOffice製品は、PCを規定するほどに成長しました。さらにPCにインストールされたプログラムやファイルなどによって、私たちは“Computing”というものを体感し、ブラウザーやインターネットさえ見分けがつかないほどに成長したのです。しかしこの裏側で、PCクライアントとPCベースのサーバーも25年にわたって成長し続け、結果、巨大な“複雑さ(Complexity)”も生み出してきま した。この複雑さは多面的で、今日では超人的なエンジニアリングとデザイン才能がなければシステム構築ができないまでに膨張しました。複雑さはユーザーやデベロッパー、さらにはITの生命を吸いとります。複雑さはセキュリティー問題や運用管理者の欲求不満を引き起こし、そしてシステムを殺すのです。複雑に なったシステム同士の相互連携によって、複雑さはさらに増長され、我われの持つ全世界のシステムは全体にもろくなってきています。このように見ると、成長 してきたPCの生態系は今や限界に近づきつつあると言っても過言ではありません。我われは新しい道を探らなければなりません。そのための第1歩は恐れずに想像すること、そして夢を追うことです。
-Continuous Service | Connected Devices
(連続したサービス|接続されたデバイ ス)
過去5年を振り返ると、夢を見るような出来事の連続でした。確かに「ネット接続したPCとPCベースのサーバーは素晴らしい IT」を推進してきました。しかし、ゆっくりと確実に次世代が始まっています。特に強力なコミュニケーションとアプリケーション能力を持つモバイルやパッドの出現には目を見張るものがあります。それらはこれまでのPCを遠のけ、より単純な概念を求めています。それによって新しい世界が開けるのです。 Webと接続されたデバイス、それは全ての情報がクラウド上にあることを期待しています。我われは1)全てを繋いだクラウドベースの連続したサービスと、 2)そのサービスとインタラクション(やり取り)が出来るアプライアンスのようなネット接続デバイスの世界に向かっています。
-How It Might Happen(それはどのように起こるのか)
過去25年にわたり開発してきたデバイス中心(Device Centric)のハードウェアとソフトウェアの世界から、この新しい時代を切り開くことは容易ではありません。しかしこれは実現させなくてはなりません。以前、メインフレームやミニコンピュータの代わりとしてPCを登場させたように、劇的な新しい出来事を起こすことは可能です。産業再生の次の波が あるならば、「インターネットに接続した連続サービスとデバイス」という関係が新しいシンプルな概念のもとで実現されるでしょう。しばらく時間がかかるかも知れません。
しかし私はそれを信じています。
-Realizing a Dream(夢を実現する)
1939年、ニューヨーク、古今でもっとも素晴らしいとされた万博がありました。
失業率が17%を上回る大恐慌で疲れた人々を、この万博は勇気づけてくれました。
世界中の国々や産業界のパビリオンは夢にあふれ、明日への世界、将来のイメージを演出しました。その万博のテーマは、そう「Dawn of New Day(新しい日の夜明け)」です。この夢の万博のお陰で、ハイウェイの建設や郊外住宅などへの希望が湧き上がり、翌年の製造業は50%と驚異的な成長を実現しました。期待を持って望めば、何事も成し遂げられ るのです。
今日、私自身の夢は、我われの産業のため、そしてMicrosoftのために広がっています。それは驚くべき将来、クラウド中心 (Cloud Centric)の世界です。疑いなく1939年と同じような、不確実な状況が私たちを、今日、包み込んでいます。仕事、住宅、健康、教育、治安、環境など。我が社についても同様です。だから、厳しく、俊敏に、夢を持って、
そして、希望と楽観主義で望むべきなのです。我われの状況を打破する全ての回答は
“クラウド(Cloud Computing)”にあります。ネットに接続された全てのデバイスは、クラウド上の連続したサービスと連携し、限りなく展開されることになります。クラウドは世界中の主要組織の基盤となり、ITシステムはもちろん、ビジネスプロセスをも進化させる触媒となります。それによって、新しいサービスは想像も出来ないほど魅力的な姿となるはずです。モバイルやパッドはほんの手始めです。次の5年、それは「新しい日の夜明け」です。太陽はクラウドによって提供される連続したサービスとネット接続されたデバイスの上に輝きます。Microsoftはこの歴史的なコースに上手く乗り始めました。恐れずに挑戦 し、次の5年のマイルストーンを祝いましょう。
我われのために、産業のために、そして顧客のために。。。。
-Ray Ozzie氏の退社の意味するもの
このブログの内容は、挿入画 面にあるように宛先が「Executive Staff」と「Direct Reports」となっている。つまり、私的ブログと同じ内容がMicsoftの経営幹部に流されているのだろう。これは氏の葛藤の末の惜別のメッセージである。これを読むと、氏のクラウドに賭けた熱い思いが伝わってくる。氏が心血を注いだWindows AzureとSQL Azure。Windows Azure、それはVisual Studioで開発したアプリケーションをオンプレミスでもクラウドでも自在に稼働させることができるプラットフォームであり、SQL Azureは初の本格的なDaaS(Database as a Service)として、どのようなデータもクラウド上に蓄えることができる。この2つを基本にMicrosoftが持つこれまでの製品や資産を、段階的にクラウドと連携させていく。これが氏が描いていたストーリーだ。これによって絶え間ない連続したサービスとネット接続デバイスの未来が開けてくる筈だった。しかし、一方で企業は常に利益を追供する。特に米国企業の場合は厳しい。次の5年の波に乗り換える時でさえも、片時の猶予も与えてくれ ない。夢と現実の狭間(ハザマ)で氏の立場は揺れ動いたに違いない。
願わくば、Microsoftのクラウド戦略に今後大きな変化がないことを祈るばかりである。
(この翻訳が文意を優先したこと、一部、詳細を割愛したことを陳謝します)
◆ Dawn of New Day(新しい日の夜明け)
5年前(Chief Software Architect就任)、Microsoftに大きな変化を起こさせるために、私は“Internet Services Disruption(インターネットサービスの崩壊)”というメモを書き、その冒頭で5年毎に我われの産業は大きな変化に見舞われるようになるだろうと予測しました。事実、その後の5年間、会社中でこれまでのPC中心からサービス中心にむけた変革に取り組むことになりました。
サービスの中心となった“Seamless-OS(継ぎ目のないOS)”では、オプションでしたがWindowsとOffice Softwareを自然なサービスとして補完すべく、Windows Liveを提供しました。そして“Seamless-Productivity(継ぎ目のない生産性)”では、Office 2010からOffice 365、SharePointからLiveへとWeb連携を推進させました。“Seamless-Entertainment(継ぎ目のないエンターテイ メント)”でもXbox Liveは、Xboxをリアルタイムで、ソシアルで、メディアリッチなTVエクスペリエンスへと変化させました。全てがサービスへの流れです。さらに “Service Platform”の領域では、Windows AzureとSQL Azureがクラウドとなって登場したことを本当に誇り思います。実際のところ、このメモだけでなく、議論や社内リーダーたちによって革新的なサービスが次々に作られ、新しい検索サービス“Bing”はこうして開花しました。我われのサーバー資産は、仮想化とクラウドコンピューティングの登場で際立った移行を可能とするところまで到達しました。私にとってもっとも重要であり、また誇りに思うことは、競争原理の上でインターオペラビリティーとプライバシーの文化を熟成させ、本物の開放性を勝ち得てきたことです。
それでも5年前のメモの幾つかはそのまま手付かずに残っています。我われの競合相手 もインターネット中心の社会的推移の中で、モバイルなど注目に値する開発を行い、ハードウェアとソフトウェアの融合を推進してきました。このように、我われは機敏な開発こそが、背面で起こっている劇的な変化を吸収し得るものだということを見てきました。これらの変化は以前から予測されてきました。しかし、 この5年の変化はWiFi、3G/4Gなど想像を超えるものでした。それらは今、当然のことのように人々に受け止められています。過去を見れば、 “System Board”が四角なPCボックスとなり、今では“Systems on Chip’がピカピカなデザインのデバイスを作り上げ、大きなCRTは軽量薄型のタッチスクリーンに置き換わり、企業内組織や業務の流れはインターネット時代に沿ったものとなりました。このような変化を受け、生産者と消費者の壁も消え、古典的な流通機構は崩壊し、世界中で、あらゆる産業が再構築されてきま した。この再考作業は、もっとも基本的な構造信条を疑うことから始まります。そうすることで、生き残るための知恵ができるのです。過去5年間は息を呑むようでした。次の5年は、もうひとつの変曲点の始まりです。
-Imagining A "Post-PC" World(次世代PCとは)-
2010 年11月20日、それはMicrosoftにとって記念となる日です。Windows 1.0の開始から25年目にあたるからです。我われのこれまでの開発は、「個人的なコンピュータ」という夢のような大胆な概念を支持することから始まりま した。Windowsは初のGUIではなかったかもしれません。しかし、時間の経過と共に世界中で10億人以上が利用し、コンピューティングとコミュニ ケー ションを民主化してきました。そしてWindowsとOffice製品は、PCを規定するほどに成長しました。さらにPCにインストールされたプログラムやファイルなどによって、私たちは“Computing”というものを体感し、ブラウザーやインターネットさえ見分けがつかないほどに成長したのです。しかしこの裏側で、PCクライアントとPCベースのサーバーも25年にわたって成長し続け、結果、巨大な“複雑さ(Complexity)”も生み出してきま した。この複雑さは多面的で、今日では超人的なエンジニアリングとデザイン才能がなければシステム構築ができないまでに膨張しました。複雑さはユーザーやデベロッパー、さらにはITの生命を吸いとります。複雑さはセキュリティー問題や運用管理者の欲求不満を引き起こし、そしてシステムを殺すのです。複雑に なったシステム同士の相互連携によって、複雑さはさらに増長され、我われの持つ全世界のシステムは全体にもろくなってきています。このように見ると、成長 してきたPCの生態系は今や限界に近づきつつあると言っても過言ではありません。我われは新しい道を探らなければなりません。そのための第1歩は恐れずに想像すること、そして夢を追うことです。
-Continuous Service | Connected Devices
(連続したサービス|接続されたデバイ ス)
過去5年を振り返ると、夢を見るような出来事の連続でした。確かに「ネット接続したPCとPCベースのサーバーは素晴らしい IT」を推進してきました。しかし、ゆっくりと確実に次世代が始まっています。特に強力なコミュニケーションとアプリケーション能力を持つモバイルやパッドの出現には目を見張るものがあります。それらはこれまでのPCを遠のけ、より単純な概念を求めています。それによって新しい世界が開けるのです。 Webと接続されたデバイス、それは全ての情報がクラウド上にあることを期待しています。我われは1)全てを繋いだクラウドベースの連続したサービスと、 2)そのサービスとインタラクション(やり取り)が出来るアプライアンスのようなネット接続デバイスの世界に向かっています。
-How It Might Happen(それはどのように起こるのか)
過去25年にわたり開発してきたデバイス中心(Device Centric)のハードウェアとソフトウェアの世界から、この新しい時代を切り開くことは容易ではありません。しかしこれは実現させなくてはなりません。以前、メインフレームやミニコンピュータの代わりとしてPCを登場させたように、劇的な新しい出来事を起こすことは可能です。産業再生の次の波が あるならば、「インターネットに接続した連続サービスとデバイス」という関係が新しいシンプルな概念のもとで実現されるでしょう。しばらく時間がかかるかも知れません。
しかし私はそれを信じています。
-Realizing a Dream(夢を実現する)
1939年、ニューヨーク、古今でもっとも素晴らしいとされた万博がありました。
失業率が17%を上回る大恐慌で疲れた人々を、この万博は勇気づけてくれました。
世界中の国々や産業界のパビリオンは夢にあふれ、明日への世界、将来のイメージを演出しました。その万博のテーマは、そう「Dawn of New Day(新しい日の夜明け)」です。この夢の万博のお陰で、ハイウェイの建設や郊外住宅などへの希望が湧き上がり、翌年の製造業は50%と驚異的な成長を実現しました。期待を持って望めば、何事も成し遂げられ るのです。
今日、私自身の夢は、我われの産業のため、そしてMicrosoftのために広がっています。それは驚くべき将来、クラウド中心 (Cloud Centric)の世界です。疑いなく1939年と同じような、不確実な状況が私たちを、今日、包み込んでいます。仕事、住宅、健康、教育、治安、環境など。我が社についても同様です。だから、厳しく、俊敏に、夢を持って、
そして、希望と楽観主義で望むべきなのです。我われの状況を打破する全ての回答は
“クラウド(Cloud Computing)”にあります。ネットに接続された全てのデバイスは、クラウド上の連続したサービスと連携し、限りなく展開されることになります。クラウドは世界中の主要組織の基盤となり、ITシステムはもちろん、ビジネスプロセスをも進化させる触媒となります。それによって、新しいサービスは想像も出来ないほど魅力的な姿となるはずです。モバイルやパッドはほんの手始めです。次の5年、それは「新しい日の夜明け」です。太陽はクラウドによって提供される連続したサービスとネット接続されたデバイスの上に輝きます。Microsoftはこの歴史的なコースに上手く乗り始めました。恐れずに挑戦 し、次の5年のマイルストーンを祝いましょう。
我われのために、産業のために、そして顧客のために。。。。
-Ray Ozzie氏の退社の意味するもの
このブログの内容は、挿入画 面にあるように宛先が「Executive Staff」と「Direct Reports」となっている。つまり、私的ブログと同じ内容がMicsoftの経営幹部に流されているのだろう。これは氏の葛藤の末の惜別のメッセージである。これを読むと、氏のクラウドに賭けた熱い思いが伝わってくる。氏が心血を注いだWindows AzureとSQL Azure。Windows Azure、それはVisual Studioで開発したアプリケーションをオンプレミスでもクラウドでも自在に稼働させることができるプラットフォームであり、SQL Azureは初の本格的なDaaS(Database as a Service)として、どのようなデータもクラウド上に蓄えることができる。この2つを基本にMicrosoftが持つこれまでの製品や資産を、段階的にクラウドと連携させていく。これが氏が描いていたストーリーだ。これによって絶え間ない連続したサービスとネット接続デバイスの未来が開けてくる筈だった。しかし、一方で企業は常に利益を追供する。特に米国企業の場合は厳しい。次の5年の波に乗り換える時でさえも、片時の猶予も与えてくれ ない。夢と現実の狭間(ハザマ)で氏の立場は揺れ動いたに違いない。
願わくば、Microsoftのクラウド戦略に今後大きな変化がないことを祈るばかりである。
(この翻訳が文意を優先したこと、一部、詳細を割愛したことを陳謝します)
2010年11月7日日曜日
MicrosoftとGoogleのクラウドバトル!
MicrosoftとGoogleのクラウドバトルが激しくなってきた。
両社共にクラウド型のオフィスサービス、Microsoft Office 365とGoogle Apps for Businessを武器に、米国内の州政府や大規模地方自治体に売り込みを強 化してきた。
◆ Office 365で巻き返しを図るMicrosoft
Microsoftの場合、米国市場ではこれまで企業向け生産性向上オンラインサービス -BPOS(Business Productivity Online Services)-を提供してきたが、先月、10月中旬、サービス強化に伴い、Office 365とリブランドした。このOffice 365(現在はβ版)は先行するGoogleへの対抗である。Office 365は、全てがクラウドベースで、ユーザーが使い慣れたMS Office Suiteに加え、Exchange Online、SharePoint Online、Lync Onlineが含まれている。ここでExchange OnlineとはExchangeメールサーバーのホスティングサービスであり、コラボ用のSharePoint Onlineも同様、Lync OnlineはIMやAudio/Videoを統合したSocial Networkingのホスティングである。そして、Office 365にはSmall Business向け、Enterprise向け、Education向けの3つがある。
Microsoft はこれを武器に積極的に公的機関の攻略を開始した。
New York市やCalifornia州、Minnesota州などだ。10月末に発表されたNew York市の場合は、これまで市がOffice SuiteやExchangeなどでMicrosoftに払っていたライセンス料を、クラウドオンラインを利用することで最大$50M(1㌦100円換算で50億円)削減することが可能だという。California州でもMicrosoftと の調整が進み、最大関連職員20万人の利用が見込 まれる。これより先、Minnesota州がMicrosoftとの長期間取引を発表したのは9月末のことである。見込まれる職員は33,000人だ。し かし、これら3つの契約に共通することは、州や市の財政難からのWebサービス採用であり、実際の移行には、職員の新しいサービスの習得や反応、外部の市民や企業との関連などがあって容易ではない。当面、すぐに手が付けられるのはメールサーバーの切り替えだけのようである。
このような州政 府や市の費用削減対策は、Microsoftにとっても、これまでのライセンス収入が大きく落ち込む。しかしGoogle Appsとの対抗上、手をこまねいて入られない。損を承知の取引である。そして3つのディールでMicrosoftが勝ち得たのは、慣れ親しんだOffice SuiteのWeb版というだけでなく、“Single Tenant”サービスにあるようだ。
つまり、Googleのように相乗りの“Multi Tenant”ではなく、企業単位に囲われた安全なサービスが好感を持って受け止められた模様である。
◆ Googleの場合
一方のGoogleは、オフィス分野のオンラインサー ビスで先行し、教育関係で多くの実績をあげてきた。アリゾナ州立大学、南カリフォルニア大学、ジョージワシントン大学、ミネソタ大学、ブラウン大学、ノーザンウェスタン大学、サンノゼ・シティーカレッジ、バージニ ア・コミュニティーカレッジなどだ。さらに2008年には、首都Washington DCでMicrosoftの牙城からGoogle Appsの導入に成功した。これに尽力したのは当時、Washington DCのCTOだったVivek Kundra氏で、彼はこの実績から昨年3月、連邦政府のCIOに抜擢され、 USA.govやData.gov、そして、連邦政府の“総合クラウドポータル-Apps.gov”の構築に手腕を振るってきた。Washington DCの場合、まだMicrosoft ExchangeからGmailには全面切り替えに至っていないが多くの 職員が活発に利用している。
次にGoogleが手がけたのは米西海岸最大の都市Los Angels市だ。
このシステムは職員や関連の人 たち3万人が利用するGoogle Apps最大規模となった。これらの契約には、住民情報の厳格な管理のための工夫や障害対策などが細かに記載されている。
◆ Web時代の到来
いずれにしても、オフィス業務はいよいよWeb時代に 突入したようだ。
これにはユーザーの再教育や慣れの問題がつきまとうが、企業や団体にとってはコスト削減に大きく寄与する。クラウドがこのような 形で日常業務に定着し、一方でデータセンター内の複雑な業務がクラウドで動き出せば、大きな経済効果となる。目下の不況打開策のひとつに、クラウドが大き な位置を占めていることは間違いないだろう。
両社共にクラウド型のオフィスサービス、Microsoft Office 365とGoogle Apps for Businessを武器に、米国内の州政府や大規模地方自治体に売り込みを強 化してきた。
◆ Office 365で巻き返しを図るMicrosoft
Microsoftの場合、米国市場ではこれまで企業向け生産性向上オンラインサービス -BPOS(Business Productivity Online Services)-を提供してきたが、先月、10月中旬、サービス強化に伴い、Office 365とリブランドした。このOffice 365(現在はβ版)は先行するGoogleへの対抗である。Office 365は、全てがクラウドベースで、ユーザーが使い慣れたMS Office Suiteに加え、Exchange Online、SharePoint Online、Lync Onlineが含まれている。ここでExchange OnlineとはExchangeメールサーバーのホスティングサービスであり、コラボ用のSharePoint Onlineも同様、Lync OnlineはIMやAudio/Videoを統合したSocial Networkingのホスティングである。そして、Office 365にはSmall Business向け、Enterprise向け、Education向けの3つがある。
Microsoft はこれを武器に積極的に公的機関の攻略を開始した。
New York市やCalifornia州、Minnesota州などだ。10月末に発表されたNew York市の場合は、これまで市がOffice SuiteやExchangeなどでMicrosoftに払っていたライセンス料を、クラウドオンラインを利用することで最大$50M(1㌦100円換算で50億円)削減することが可能だという。California州でもMicrosoftと の調整が進み、最大関連職員20万人の利用が見込 まれる。これより先、Minnesota州がMicrosoftとの長期間取引を発表したのは9月末のことである。見込まれる職員は33,000人だ。し かし、これら3つの契約に共通することは、州や市の財政難からのWebサービス採用であり、実際の移行には、職員の新しいサービスの習得や反応、外部の市民や企業との関連などがあって容易ではない。当面、すぐに手が付けられるのはメールサーバーの切り替えだけのようである。
このような州政 府や市の費用削減対策は、Microsoftにとっても、これまでのライセンス収入が大きく落ち込む。しかしGoogle Appsとの対抗上、手をこまねいて入られない。損を承知の取引である。そして3つのディールでMicrosoftが勝ち得たのは、慣れ親しんだOffice SuiteのWeb版というだけでなく、“Single Tenant”サービスにあるようだ。
つまり、Googleのように相乗りの“Multi Tenant”ではなく、企業単位に囲われた安全なサービスが好感を持って受け止められた模様である。
◆ Googleの場合
一方のGoogleは、オフィス分野のオンラインサー ビスで先行し、教育関係で多くの実績をあげてきた。アリゾナ州立大学、南カリフォルニア大学、ジョージワシントン大学、ミネソタ大学、ブラウン大学、ノーザンウェスタン大学、サンノゼ・シティーカレッジ、バージニ ア・コミュニティーカレッジなどだ。さらに2008年には、首都Washington DCでMicrosoftの牙城からGoogle Appsの導入に成功した。これに尽力したのは当時、Washington DCのCTOだったVivek Kundra氏で、彼はこの実績から昨年3月、連邦政府のCIOに抜擢され、 USA.govやData.gov、そして、連邦政府の“総合クラウドポータル-Apps.gov”の構築に手腕を振るってきた。Washington DCの場合、まだMicrosoft ExchangeからGmailには全面切り替えに至っていないが多くの 職員が活発に利用している。
次にGoogleが手がけたのは米西海岸最大の都市Los Angels市だ。
このシステムは職員や関連の人 たち3万人が利用するGoogle Apps最大規模となった。これらの契約には、住民情報の厳格な管理のための工夫や障害対策などが細かに記載されている。
◆ Web時代の到来
いずれにしても、オフィス業務はいよいよWeb時代に 突入したようだ。
これにはユーザーの再教育や慣れの問題がつきまとうが、企業や団体にとってはコスト削減に大きく寄与する。クラウドがこのような 形で日常業務に定着し、一方でデータセンター内の複雑な業務がクラウドで動き出せば、大きな経済効果となる。目下の不況打開策のひとつに、クラウドが大き な位置を占めていることは間違いないだろう。
2010年11月3日水曜日
成功するかマルチハイパーバイザー管理!
-クラウドの今後はどうなる(3)-
このシリーズは活発なマルチハイパーバイザー市場を背景に始まった。
製品群の狙いはハイパーバーザーの抽象化にある。ユーザー企業はOSと仮想化 技術の一体化に伴って、好むと好まざるとに係わらず、複数のハイパーバーザーを使わなければならない時代に向かっている。この煩わしさを解決するのがマル チハイパーバーザー管理ツールのクラウドマネージメントソリューションだ。しかし成功するだろうか。
◆ 矛盾する戦略
問題の起点は仮想化ベンダーの戦略にある。
彼らは 基本的にベンダーロックインによる市場拡大を目指してきた。OSは持たないが、仮想化技術で先行したVMwareは運用管理をセットにした差別化を推進 し、MicrosoftはWindowsとHyper-Vの親和性を強調してきた。後発のKVMもRed Hatに組み込まれて、処理効率の良さをアピールした。その上でさらに彼らはクラウド基盤の整備に向かい出した。VMwareのvCloud、Red HatのCloud Foundation、Citrix/XenのXen Cloud Platformなどだ。つまり、下位の仮想化技術から上位のクラウド構築ツールまで完全な縦割り構造のベンダーロックインとなってきた。
これには彼ら自 身も当惑気味だ。当初は、基本技術の差別化のためのロックインだった筈が、それが拡大して、気がついたら全面戦争の様相となった。これまで牽制し合いなが らも共存してきたOSベンダーはこのような状況をユーザ企業が望まないことは知っている。一方VMwareは先行メリットを最大限に活かすべく、がむしゃ らに進んできたが、状況が複雑になり過ぎてしまった。
◆ クラウド 管理ツールの役割
そして割って入ったのがクラウド管理ツール(Cloud Management Solution)である。
こ の分野の製品には、①マルチハイパーバーザー管理にウェートを置いたものと、②クラウドインフラにウェートがあるものがあり、重複部分も多い。今回は前者 を報告し、次回は後者について言及する。また、製品の多くはオープンソース物で、下から上まで、全てが縦割りのベンダー戦略への対抗策となっている。これ らの製品がユーザー企業の支持を受けるか、今後の動きに要注意だ。
現在、市場に出始めたソリューションは前述のように必ずしも統一された機能では ない。概ね下図のように考えることができる。これらの技術が確立できればユーザー企業は固有の仮想化から解放され、真にユーザーフレンドリーなクラウド時 代に一歩進むことができる。しかし、仮想化技術を抽象化する仮想マシン管理には、基本となるマシンイメージ形式が各社ばらばらであることなど、まだまだ、 障害が多い。DMTF(Distributed Management Task Force)が定めた期待のOVF(Open Virtual Format )も標準フォーマット仕様ではなく、各社固有のフォーマットをラッピングした域を出ていない。
◆ 各社製品の特徴
以上の状況の中で開発の進むクラウド管理製品の特徴を見 てみよう。
AbiquoはHyper- V、KVM、VMware、Xenなどをカバーすることを目指し、①マルチハイパーバイザー管理エンジン“Abiquo Server”、②マシンイメージ変換“OVF Repository Space”、③運用管理“Abiquo Portal”からなる。製品はオープンソースを基本に商用版もある。
Convirtureの 最新版ConVirt 2.0はXenとKVMに対応し、それらを共通のダイナミック・リソースアロケーションとすべくプロビジョニングにはテンプレートを提供、認証は LDAP。製品としては仮想マシンや物理マシンのフェールオーバーなどリカバリーに力点があり、オープンソースと商用版がある。
Enomalyの ECP(Elastic Computing Platform)はXenやKVM、VMware(計画)に も対応する。ECPは複数データセンター対応でユーザーPortalなどを揃えたService Provider向けを中心に、企業向けも整備中だ。同 社の初期製品はオープンソースだったが、現在の商用製品は別物と言ってよい。
Red Hatが始め、その後、Apacheに寄贈されたDeltacloudは、著名なクラウドサービスや仮想化などのインフラが提供するAPIを用いてクラウド管 理(インスタンス作成、開始、停止など)を実行する。このツールにはComputeとStorageがあり、ComputeではAmazon EC2、GoGrid、OpenNebula、Rackspace、Terremark、RHEV-M、vCloudなどが該当。Storageでは当 面、Amazon S3とRackspace CloudFilesに対応。
Novell Cloud Managerは Xen、 VMware、 Hyper-Vに対応、KVMについては来年上期の予定。利用にあたってはテンプレート化が進み、インスタンス作成やプロビジョニングに効果的だ。この製 品はクラウドのライフサイクルを扱う同社Workload IQのポートフォリオとなっていることから今後の発展が注目される。
製品群の狙いはハイパーバーザーの抽象化にある。ユーザー企業はOSと仮想化 技術の一体化に伴って、好むと好まざるとに係わらず、複数のハイパーバーザーを使わなければならない時代に向かっている。この煩わしさを解決するのがマル チハイパーバーザー管理ツールのクラウドマネージメントソリューションだ。しかし成功するだろうか。
◆ 矛盾する戦略
問題の起点は仮想化ベンダーの戦略にある。
彼らは 基本的にベンダーロックインによる市場拡大を目指してきた。OSは持たないが、仮想化技術で先行したVMwareは運用管理をセットにした差別化を推進 し、MicrosoftはWindowsとHyper-Vの親和性を強調してきた。後発のKVMもRed Hatに組み込まれて、処理効率の良さをアピールした。その上でさらに彼らはクラウド基盤の整備に向かい出した。VMwareのvCloud、Red HatのCloud Foundation、Citrix/XenのXen Cloud Platformなどだ。つまり、下位の仮想化技術から上位のクラウド構築ツールまで完全な縦割り構造のベンダーロックインとなってきた。
これには彼ら自 身も当惑気味だ。当初は、基本技術の差別化のためのロックインだった筈が、それが拡大して、気がついたら全面戦争の様相となった。これまで牽制し合いなが らも共存してきたOSベンダーはこのような状況をユーザ企業が望まないことは知っている。一方VMwareは先行メリットを最大限に活かすべく、がむしゃ らに進んできたが、状況が複雑になり過ぎてしまった。
◆ クラウド 管理ツールの役割
そして割って入ったのがクラウド管理ツール(Cloud Management Solution)である。
こ の分野の製品には、①マルチハイパーバーザー管理にウェートを置いたものと、②クラウドインフラにウェートがあるものがあり、重複部分も多い。今回は前者 を報告し、次回は後者について言及する。また、製品の多くはオープンソース物で、下から上まで、全てが縦割りのベンダー戦略への対抗策となっている。これ らの製品がユーザー企業の支持を受けるか、今後の動きに要注意だ。
現在、市場に出始めたソリューションは前述のように必ずしも統一された機能では ない。概ね下図のように考えることができる。これらの技術が確立できればユーザー企業は固有の仮想化から解放され、真にユーザーフレンドリーなクラウド時 代に一歩進むことができる。しかし、仮想化技術を抽象化する仮想マシン管理には、基本となるマシンイメージ形式が各社ばらばらであることなど、まだまだ、 障害が多い。DMTF(Distributed Management Task Force)が定めた期待のOVF(Open Virtual Format )も標準フォーマット仕様ではなく、各社固有のフォーマットをラッピングした域を出ていない。
◆ 各社製品の特徴
以上の状況の中で開発の進むクラウド管理製品の特徴を見 てみよう。
AbiquoはHyper- V、KVM、VMware、Xenなどをカバーすることを目指し、①マルチハイパーバイザー管理エンジン“Abiquo Server”、②マシンイメージ変換“OVF Repository Space”、③運用管理“Abiquo Portal”からなる。製品はオープンソースを基本に商用版もある。
Convirtureの 最新版ConVirt 2.0はXenとKVMに対応し、それらを共通のダイナミック・リソースアロケーションとすべくプロビジョニングにはテンプレートを提供、認証は LDAP。製品としては仮想マシンや物理マシンのフェールオーバーなどリカバリーに力点があり、オープンソースと商用版がある。
Enomalyの ECP(Elastic Computing Platform)はXenやKVM、VMware(計画)に も対応する。ECPは複数データセンター対応でユーザーPortalなどを揃えたService Provider向けを中心に、企業向けも整備中だ。同 社の初期製品はオープンソースだったが、現在の商用製品は別物と言ってよい。
Red Hatが始め、その後、Apacheに寄贈されたDeltacloudは、著名なクラウドサービスや仮想化などのインフラが提供するAPIを用いてクラウド管 理(インスタンス作成、開始、停止など)を実行する。このツールにはComputeとStorageがあり、ComputeではAmazon EC2、GoGrid、OpenNebula、Rackspace、Terremark、RHEV-M、vCloudなどが該当。Storageでは当 面、Amazon S3とRackspace CloudFilesに対応。
Novell Cloud Manager
2010年10月25日月曜日
連邦政府のクラウドITサービスに選ばれた11社
-Apps.gov IaaS-
懸案だった連邦政府のクラウドITサービス(以下、クラウドIT)が動き始めた。
昨年9月15日、FCCI(Federal Cloud Computing Initiative)に沿った連邦政府の
クラウドポータルApps.govがスタートしたが、この中にクラウドITは含まれなかった。
◆ Apps.govの目標
Apps.govの狙いは2つ。
ひ とつは連邦政府下の省庁職員向けで、多様なアプリケーションを揃えたStoreFrontとしての顔、これにはBusiness Apps、Productivity Apps、Social Appsの3分類がある。内容は外部企業が提供するWebアプリケーションやSaaSアプリケーションを集 めたもので、サイトを運営するGSA(general Service Administration)が契約条件などを統一化、利用する職員は同一の方法で支払いなどができるように工夫されている。
もうひとつは省庁 の持つデータセンターのクラウド化だ。これが今回動き始めたクラウドITでIaaSに相当する。提供するサービスは、①仮想マシン、②クラウドストレー ジ、③Webホスティングの3つ。当初計画は昨年度から本番であったが、RFQ(Request for Quotation)が上手く機能せず、今年5月、再提示となっていた。
(現在、上図のように3つのサービスはComing Soonとなっている)
このクラウドITが動き出せば、各省庁が持つデータセンター 機能の一部が移行するはずだ。昨年3月、オバマ大統領のもとで連邦政府CIOとなったVivek kundra氏は、現在、連邦政府の総IT予算は$7.5B(1㌦100円換算で7,500億円)、うちインフラ部が$1.9B (同1,900億円)だとし、この部分の大幅な削減をクラウド化で期待すると宣言した。
◆ 選ばれた11社
今回、Apps.govのIaaS(クラウドIT)に GSA(General Service Administration-一般調達局)から選ばれたのは以下の11社だ。これら殆どは長年連邦政府系システムを手がけてきたコントラクターだ。大手 企業系では、AT&T、General Dynamicsの情報処理子会社General Dynamics Information Technology、データセンターSavvisの 連邦政府担当Savvis Federal、キャリアVerizonの連邦政府担当Verizon Federalが入っている。また独立系ではApptisやAutonomic Resourcesの2社がシステムインテグレーター、CGIの連邦政府部門CGI FederalやComputer Literacy World、Eyak Tek、Insight Public SectorはITサービス、Computer Technologies Consultantsはコンサルテーションである。
こう してみると、一般には知られていない小企業が大手と伍して参加していることに驚かされる。つまり、連邦政府系の仕事にはそれだけ専門性や繋がりが重要だと いうことだ。これは大手も同様で連邦政府向け子会社を持っていることからも解る。そしてAmazonはApptisと組んでAWS (Amazon Web Service)提供を計画し、Microsoftも Insight Public Sectorを前面に立てた。
◆ 注目される2社
この中で注目はCarpathia とSoftLayerの2社だ。
中堅ながら両社ともホスティングとクラウドを手がけ、Carpathia は昨年10月、Federal Cloud Initiativeを自ら立ち上げ、連邦政府のセキュリティー要件FISMA(Federal Information Security Management Act)や国防総省のDITSCAP(Defense Information Technology Security Certification & Accreditation Process)に積極的に取り組んできた。両社は今回、5年契約となるBPA(Blanket Purchase Agreement)を取得した選定企業経由でIaaSクラウドサービスを提供する。2つのパートナーを持ったCarpathiaで想定されるのは、 Autonomic Resourcesの支援を受けて現行クラウドを整備し、General Dynamics Information Technologyの携わったシステム案件をIaaSに置き換える作戦だ。Softlayerの場合も連邦政府に実績のあるComputer Technologies Consultants(CTC)経由でIaaSを提供する。CTCは小柄ながらも連邦政府での実績は十分だ。これまでの経験を活かして、出先省庁と協力 してクラウド上に業務を移行させるつもりであろう。
今回選定された11社は、今後、FISMAなどの2次審査を受け、その後、実際のサー ビス形態が明らかになる予定である。
昨年9月15日、FCCI(Federal Cloud Computing Initiative)に沿った連邦政府の
クラウドポータルApps.govがスタートしたが、この中にクラウドITは含まれなかった。
◆ Apps.govの目標
Apps.govの狙いは2つ。
ひ とつは連邦政府下の省庁職員向けで、多様なアプリケーションを揃えたStoreFrontとしての顔、これにはBusiness Apps、Productivity Apps、Social Appsの3分類がある。内容は外部企業が提供するWebアプリケーションやSaaSアプリケーションを集 めたもので、サイトを運営するGSA(general Service Administration)が契約条件などを統一化、利用する職員は同一の方法で支払いなどができるように工夫されている。
もうひとつは省庁 の持つデータセンターのクラウド化だ。これが今回動き始めたクラウドITでIaaSに相当する。提供するサービスは、①仮想マシン、②クラウドストレー ジ、③Webホスティングの3つ。当初計画は昨年度から本番であったが、RFQ(Request for Quotation)が上手く機能せず、今年5月、再提示となっていた。
(現在、上図のように3つのサービスはComing Soonとなっている)
このクラウドITが動き出せば、各省庁が持つデータセンター 機能の一部が移行するはずだ。昨年3月、オバマ大統領のもとで連邦政府CIOとなったVivek kundra氏は、現在、連邦政府の総IT予算は$7.5B(1㌦100円換算で7,500億円)、うちインフラ部が$1.9B (同1,900億円)だとし、この部分の大幅な削減をクラウド化で期待すると宣言した。
◆ 選ばれた11社
今回、Apps.govのIaaS(クラウドIT)に GSA(General Service Administration-一般調達局)から選ばれたのは以下の11社だ。これら殆どは長年連邦政府系システムを手がけてきたコントラクターだ。大手 企業系では、AT&T、General Dynamicsの情報処理子会社General Dynamics Information Technology、データセンターSavvisの 連邦政府担当Savvis Federal、キャリアVerizonの連邦政府担当Verizon Federalが入っている。また独立系ではApptisやAutonomic Resourcesの2社がシステムインテグレーター、CGIの連邦政府部門CGI FederalやComputer Literacy World、Eyak Tek、Insight Public SectorはITサービス、Computer Technologies Consultantsはコンサルテーションである。
- Apptis Inc. partnered with Amazon Web Services
- AT&T
- Autonomic Resources partnered with Carpathia, Enomaly, and Dell
- CGI Federal Inc.
- Computer Literacy World partnered with Electrosoft,
XO Communications and Secure Networks - Computer Technologies Consultants, Inc.,
partnered with Softlayer, Inc. - Eyak Tech LLC
- General Dynamics Information Technology
partnered with Carpathia - Insight Public Sector partnered with Microsoft
- Savvis Federal Systems
- Verizon Federal Inc.
こう してみると、一般には知られていない小企業が大手と伍して参加していることに驚かされる。つまり、連邦政府系の仕事にはそれだけ専門性や繋がりが重要だと いうことだ。これは大手も同様で連邦政府向け子会社を持っていることからも解る。そしてAmazonはApptisと組んでAWS (Amazon Web Service)提供を計画し、Microsoftも Insight Public Sectorを前面に立てた。
◆ 注目される2社
この中で注目はCarpathia とSoftLayerの2社だ。
中堅ながら両社ともホスティングとクラウドを手がけ、Carpathia は昨年10月、Federal Cloud Initiativeを自ら立ち上げ、連邦政府のセキュリティー要件FISMA(Federal Information Security Management Act)や国防総省のDITSCAP(Defense Information Technology Security Certification & Accreditation Process)に積極的に取り組んできた。両社は今回、5年契約となるBPA(Blanket Purchase Agreement)を取得した選定企業経由でIaaSクラウドサービスを提供する。2つのパートナーを持ったCarpathiaで想定されるのは、 Autonomic Resourcesの支援を受けて現行クラウドを整備し、General Dynamics Information Technologyの携わったシステム案件をIaaSに置き換える作戦だ。Softlayerの場合も連邦政府に実績のあるComputer Technologies Consultants(CTC)経由でIaaSを提供する。CTCは小柄ながらも連邦政府での実績は十分だ。これまでの経験を活かして、出先省庁と協力 してクラウド上に業務を移行させるつもりであろう。
今回選定された11社は、今後、FISMAなどの2次審査を受け、その後、実際のサー ビス形態が明らかになる予定である。
2010年10月22日金曜日
運用管理領域の改善は進むか!
-クラウドの今後はどうなる(2)-
さて前回のハイパーバイザーと仮想OSに続き、運用管理領域について考えてみよう。
この分野でもOSと仮想化ベンダーが統合すれば、動きがあるか もしれない。
◆ 二分化された現在の状況
運 用管理システムは現在、新旧、2つの勢力がある。ひとつは、IBM Tivoliを筆頭にHPやCA、BMCなど、メインフレーム時代からの流れを引き継ぐ勢力だ。この勢力の特徴は物理的な管理にウエイトがあり、そして中 央のデータセンター機器からネットワーク機器へと範囲を広げてきた。対象となる機器はメインフレームからLinux、PCなどだ。もうひとつは、仮想化ベ ンダーが開発提供してきた製品群で、論理的な仮想マシンの作成・実行などの運用に焦点が当てられている。
問題はこの2つ の流れが今後、統合に向かうかどうかである。
メインフレームから続くプロプライエタリーな流れは、多くの経験に裏打ちされた機能を持っているが、 仮想化領域は不得手で、かつ価格が高いという弱点がある。他方、仮想ベンダーの提供するVMware vCenterやCitrix XenCenter、Red HatのEnterprise Virtualization Manager for Serversは仮想化処理は強いが、システム全体には、必ずしも頭が回っていない。これらの現実を直視すると、できることなら、ユーザーの希望は両者の 統合である。
た だ、この2つの流れは、企業買収や勢力バランスの不均衡などが起きない限り、対 峙することはあっても協調することは難しい。となると、一番期待されるのは、OSと仮想化ベンダーの一体化による新興勢力のガンバリがあるかだ。
◆ オープンソース製品の世界
そこで注目されるのが、オープン ソース製品である。この分野にはNagios、openNMS、Zenoss、GroundWork Open Sourceなどがある。
中 でもNagiosはプロジェクトの歴史も長く、多くのユーザーに単体や他製品に組み込まれて利用されている。これらの製品はSMTPやSNMP、 NNTP、POP3、HTTP、FTPなどを用いて、サーバー負荷やディスク利用状況、そしてネットワーク監視などが出来る。問題は、これらの製品と仮想 化ベンダーの提供する運用管理システムの関係だ。これらオープンソース製品は物理的な監視が主目的であり、仮想化ベンダー製品は仮想環境の整備・運用に対 応している。つまり、補完関係にある。この両者が結びつけば、強力な製品となる。現在、ZenossからはCloud Monitoringが出ているし、GroundWorkはEucalyptusとパートナリングして、クラウド上のApplication Monitoringを提供、老舗のNagiosはAmazonクラウド(AWS)が提供するモニタリングのCloudWatchのプラグインを開発、こ れを使えばNagios上でAWS のモニタリングが可能となる。このようにオープンソースコミュニティは、ユーザーの使い勝手向上に向け、クラウド対応を進めてきた。次は一体化が進む仮想 化ベンダーがどう対応するかだ。
◆ VMware/SUSE連合が動けばどうなるか
そ こでVMwareとSUSEの場合を考えてみよう。
現時点でVMwareの戦略を予測するには未知数が多すぎる。しかし、動けば多くのことが考え られる。まずNovell側にはPlateSpinがあり、さらにZENworks、そしてCloud Managerがある。PlateSpinは2008年にNovellに買収されるまではVMwareのパートナーとして、主に移行ツール分野で活躍して いた会社だ。Novell ZENworksはネットワークに繋がるサーバーやPC、モバイルなどのソフトウェアライフサイクル管理であり、Novell Cloud Managerはマルチハイパーバイザーの管理が可能だ。さらにVMwareが昨年夏に買収したSpringSourceの傘下(2009年4月に買収) にはオープンソースの監視システムHypericがある。これを使えば、ハードウェアだけでなく、AIXやHP/UX、Linux、Solaris、 Windows、Mac、FreeBSDなど多様なOSから、Web Server、Application Server、Databaseなど殆どのミドルウェアがモニタリングの対象となる。vCenterにはWorkflowエンジンが組み込まれ、ジョブス ケジュールのOrchestration機能、そしてData Recoveryも始まった。
以 上、全体的にクラウド運用管理領域をみてきた。
今後、どのように進むのかはまだ不透明だが、環境は整ってきた。仮想化とOSベンダーの一体化が弾 みとなって、次なる段階に進むことを望む。特にVMwareの周りには色々な材料が揃っている。他方、プロプライエタリーな運用管理ベンダーは、今後の死 活問題として、状況打開を期待したい。
この分野でもOSと仮想化ベンダーが統合すれば、動きがあるか もしれない。
◆ 二分化された現在の状況
運 用管理システムは現在、新旧、2つの勢力がある。ひとつは、IBM Tivoliを筆頭にHPやCA、BMCなど、メインフレーム時代からの流れを引き継ぐ勢力だ。この勢力の特徴は物理的な管理にウエイトがあり、そして中 央のデータセンター機器からネットワーク機器へと範囲を広げてきた。対象となる機器はメインフレームからLinux、PCなどだ。もうひとつは、仮想化ベ ンダーが開発提供してきた製品群で、論理的な仮想マシンの作成・実行などの運用に焦点が当てられている。
問題はこの2つ の流れが今後、統合に向かうかどうかである。
メインフレームから続くプロプライエタリーな流れは、多くの経験に裏打ちされた機能を持っているが、 仮想化領域は不得手で、かつ価格が高いという弱点がある。他方、仮想ベンダーの提供するVMware vCenterやCitrix XenCenter、Red HatのEnterprise Virtualization Manager for Serversは仮想化処理は強いが、システム全体には、必ずしも頭が回っていない。これらの現実を直視すると、できることなら、ユーザーの希望は両者の 統合である。
た だ、この2つの流れは、企業買収や勢力バランスの不均衡などが起きない限り、対 峙することはあっても協調することは難しい。となると、一番期待されるのは、OSと仮想化ベンダーの一体化による新興勢力のガンバリがあるかだ。
◆ オープンソース製品の世界
そこで注目されるのが、オープン ソース製品である。この分野にはNagios、openNMS、Zenoss、GroundWork Open Sourceなどがある。
中 でもNagiosはプロジェクトの歴史も長く、多くのユーザーに単体や他製品に組み込まれて利用されている。これらの製品はSMTPやSNMP、 NNTP、POP3、HTTP、FTPなどを用いて、サーバー負荷やディスク利用状況、そしてネットワーク監視などが出来る。問題は、これらの製品と仮想 化ベンダーの提供する運用管理システムの関係だ。これらオープンソース製品は物理的な監視が主目的であり、仮想化ベンダー製品は仮想環境の整備・運用に対 応している。つまり、補完関係にある。この両者が結びつけば、強力な製品となる。現在、ZenossからはCloud Monitoringが出ているし、GroundWorkはEucalyptusとパートナリングして、クラウド上のApplication Monitoringを提供、老舗のNagiosはAmazonクラウド(AWS)が提供するモニタリングのCloudWatchのプラグインを開発、こ れを使えばNagios上でAWS のモニタリングが可能となる。このようにオープンソースコミュニティは、ユーザーの使い勝手向上に向け、クラウド対応を進めてきた。次は一体化が進む仮想 化ベンダーがどう対応するかだ。
◆ VMware/SUSE連合が動けばどうなるか
そ こでVMwareとSUSEの場合を考えてみよう。
現時点でVMwareの戦略を予測するには未知数が多すぎる。しかし、動けば多くのことが考え られる。まずNovell側にはPlateSpinがあり、さらにZENworks、そしてCloud Managerがある。PlateSpinは2008年にNovellに買収されるまではVMwareのパートナーとして、主に移行ツール分野で活躍して いた会社だ。Novell ZENworksはネットワークに繋がるサーバーやPC、モバイルなどのソフトウェアライフサイクル管理であり、Novell Cloud Managerはマルチハイパーバイザーの管理が可能だ。さらにVMwareが昨年夏に買収したSpringSourceの傘下(2009年4月に買収) にはオープンソースの監視システムHypericがある。これを使えば、ハードウェアだけでなく、AIXやHP/UX、Linux、Solaris、 Windows、Mac、FreeBSDなど多様なOSから、Web Server、Application Server、Databaseなど殆どのミドルウェアがモニタリングの対象となる。vCenterにはWorkflowエンジンが組み込まれ、ジョブス ケジュールのOrchestration機能、そしてData Recoveryも始まった。
以 上、全体的にクラウド運用管理領域をみてきた。
今後、どのように進むのかはまだ不透明だが、環境は整ってきた。仮想化とOSベンダーの一体化が弾 みとなって、次なる段階に進むことを望む。特にVMwareの周りには色々な材料が揃っている。他方、プロプライエタリーな運用管理ベンダーは、今後の死 活問題として、状況打開を期待したい。
2010年10月18日月曜日
仮想化ベンダーの守備範囲はどこまでか!
-クラウドの今後はどうなる(1)-
シリーズでマルチハイパーバイザー管理のクラウドマネージメントについて述べてきた。
そこでホットになりつつあるクラウドマネージメントソリューション市場を起点に、今後、クラウドがどのような方向に向かうのか、そのポイントについて纏めてみようと思う。クラウドマネージメント市場の形成には幾つかの背景がある。まず、①ユーザー企業の環境を見ると、仮想化でVMwareが絶対優位とは言っても、Xen、Hyper-V、そしてKVMの登場で、複数のハイパーバイザーを利用する時代になってきた。そして、必然的な結果として、②ユーザー企業は仮想化ベンダー固有の技術に縛られることを好まず、仮想化技術を抽象化したいと考えは始めた。これが“Cloud Management Solution”開発が活発になってきた理由である。
◆ 仮想化ベ ンダーはハイパーバイザーに留まるべきだ
つまり、仮想化はハイパーバイザーとしてOSに含まれる機能だが、上位のミドルウェアやアプリケーション領域とは関係がない。これがユーザー企業の声になりつつある。MicrosoftのWindowsにHyper-V、Red HatのKVM、そしてまだ噂の域を出ないが、VMwareによるNovellのSUSE部門買収が現実になれば、SUSEにVMwareとなる。
実際のところ、今年6月中、VMwareはNovellと提携し、7月中旬からリリースの始まったvSphere4.1からSUSE Linux Enterprise Server(SLES)が同梱されている。そして、8月30日からのVMWorld 2010では“Novell SUSE Linux Enterprise Server for VMware”の提供を開始すると宣言した。これはVMware用にチューニングしたSUSE Linuxを出荷し、合わせてSUSEのサポートもユーザーに提供するというものだ。ここまでくると、買収が不首尾に終わっても実質的には同じだ。このように仮想化とOSのタイトな関係が深まれば、次の問題として、それらを抽象化するクラウドマネージメントの必要論が出てきておかしくない。
今、我われはこの時点にいる。
◆ 仮想マシンOSとアプライアンス
またハイパーバイザーと関連して、仮想マシンOSとアプライアンスの関係も重要だ。
現在、アプライアンス用の軽量化されたOS-JeOS(Just enough OS)には、rPath、Ubuntu JeOS、Red Hat Appliance OS、SUSE JeOS、LimeJeos、Oracle Enterprise Linux JeOSなどがある。初期のJeOSはソフトウェア・アプライアンスの作成が主目的だったが、現在では仮想マシン上で容易にソフトウェアを扱う方法と して成長してきた。これに伴いISVが適用するソフトウェアも、これまでのライセンス付きインストールものから、マシンイメージものが増えてきた。 Microsoftは今のところ沈黙だが、改良版Windows Starterがこの範疇として登場するか、一時噂だったMidoriなどが登場する可能性も否定できない。
アプライアンスの作成ツールでは、こ れまでrPathのrBulderが市場をリードしてきた。
そしてNovellやVMwareも熱心だ。VMwareはVM Studioを提供してvAppsライブラリーの整備を進め、NovellもSUSE StudioでSUSE Appliance Programを推進してきた。しかし事情が変わり、VMwareではvAppに最適なものとしてSUSE JeOSを採用することが既定路線となったらしい。
◆ OSと仮想 化ベンダーの一体化
こう見ると、期待されていることは、OSと仮想化ベンダーのより一層の一体化である。
特にVMwareとNovellの関係が要注意だ。この買収が成功すれば、エンタープライズ領域のOSベンダーの一体化が完了する。その結果、データセンター側ではハイパーバイザー、仮想マシン上ではJeOSとアプライアンスの整備が進む。さらにハイパーバイザーと仮想マシンOS間の機能連携強化の可能性も出てくる。現在の仮想マシンOSは、スタンドアローンOSの転用で本格的なクラウド時代にはややそぐわない。同様にJeOSもアプライアンスの転用である。大事なことは、開発自体はほぼオンプレミスで行い、実行の多くが仮想環境となる点だ。勿論、実行環境では、オンプレミスと仮想マシンの完全な互換性は必須である。このような視点から、仮想マシンOSの整備が進めばユーザーは、大きなメリットを享受できる。
◆ 現実はどうか?
ベンダー競争の現実は厳しい。理想的な機能よりも、売上げが先だ。
特に仮想化市場を牽引するVMwareは、これまでの実績をベースに、より上位領域に手を広げてきた。クラウドインフラとなるvCloudやSaaS領域のSpringなどだ。この動きはCitrixやRed Hatも同様である。しかし、ここに来て、ハイパーバイザーを抽象化するクラウドマネージメント製品やクラウドインフラなどが複数のベンダーから登場し、 軌道修正が必要な時期に来ている。クラウド市場は、第2ラウンドに入り始めた。彼らがどう動くのか注目である。
そこでホットになりつつあるクラウドマネージメントソリューション市場を起点に、今後、クラウドがどのような方向に向かうのか、そのポイントについて纏めてみようと思う。クラウドマネージメント市場の形成には幾つかの背景がある。まず、①ユーザー企業の環境を見ると、仮想化でVMwareが絶対優位とは言っても、Xen、Hyper-V、そしてKVMの登場で、複数のハイパーバイザーを利用する時代になってきた。そして、必然的な結果として、②ユーザー企業は仮想化ベンダー固有の技術に縛られることを好まず、仮想化技術を抽象化したいと考えは始めた。これが“Cloud Management Solution”開発が活発になってきた理由である。
◆ 仮想化ベ ンダーはハイパーバイザーに留まるべきだ
つまり、仮想化はハイパーバイザーとしてOSに含まれる機能だが、上位のミドルウェアやアプリケーション領域とは関係がない。これがユーザー企業の声になりつつある。MicrosoftのWindowsにHyper-V、Red HatのKVM、そしてまだ噂の域を出ないが、VMwareによるNovellのSUSE部門買収が現実になれば、SUSEにVMwareとなる。
実際のところ、今年6月中、VMwareはNovellと提携し、7月中旬からリリースの始まったvSphere4.1からSUSE Linux Enterprise Server(SLES)が同梱されている。そして、8月30日からのVMWorld 2010では“Novell SUSE Linux Enterprise Server for VMware”の提供を開始すると宣言した。これはVMware用にチューニングしたSUSE Linuxを出荷し、合わせてSUSEのサポートもユーザーに提供するというものだ。ここまでくると、買収が不首尾に終わっても実質的には同じだ。このように仮想化とOSのタイトな関係が深まれば、次の問題として、それらを抽象化するクラウドマネージメントの必要論が出てきておかしくない。
今、我われはこの時点にいる。
◆ 仮想マシンOSとアプライアンス
またハイパーバイザーと関連して、仮想マシンOSとアプライアンスの関係も重要だ。
現在、アプライアンス用の軽量化されたOS-JeOS(Just enough OS)には、rPath、Ubuntu JeOS、Red Hat Appliance OS、SUSE JeOS、LimeJeos、Oracle Enterprise Linux JeOSなどがある。初期のJeOSはソフトウェア・アプライアンスの作成が主目的だったが、現在では仮想マシン上で容易にソフトウェアを扱う方法と して成長してきた。これに伴いISVが適用するソフトウェアも、これまでのライセンス付きインストールものから、マシンイメージものが増えてきた。 Microsoftは今のところ沈黙だが、改良版Windows Starterがこの範疇として登場するか、一時噂だったMidoriなどが登場する可能性も否定できない。
アプライアンスの作成ツールでは、こ れまでrPathのrBulderが市場をリードしてきた。
そしてNovellやVMwareも熱心だ。VMwareはVM Studioを提供してvAppsライブラリーの整備を進め、NovellもSUSE StudioでSUSE Appliance Programを推進してきた。しかし事情が変わり、VMwareではvAppに最適なものとしてSUSE JeOSを採用することが既定路線となったらしい。
◆ OSと仮想 化ベンダーの一体化
こう見ると、期待されていることは、OSと仮想化ベンダーのより一層の一体化である。
特にVMwareとNovellの関係が要注意だ。この買収が成功すれば、エンタープライズ領域のOSベンダーの一体化が完了する。その結果、データセンター側ではハイパーバイザー、仮想マシン上ではJeOSとアプライアンスの整備が進む。さらにハイパーバイザーと仮想マシンOS間の機能連携強化の可能性も出てくる。現在の仮想マシンOSは、スタンドアローンOSの転用で本格的なクラウド時代にはややそぐわない。同様にJeOSもアプライアンスの転用である。大事なことは、開発自体はほぼオンプレミスで行い、実行の多くが仮想環境となる点だ。勿論、実行環境では、オンプレミスと仮想マシンの完全な互換性は必須である。このような視点から、仮想マシンOSの整備が進めばユーザーは、大きなメリットを享受できる。
◆ 現実はどうか?
ベンダー競争の現実は厳しい。理想的な機能よりも、売上げが先だ。
特に仮想化市場を牽引するVMwareは、これまでの実績をベースに、より上位領域に手を広げてきた。クラウドインフラとなるvCloudやSaaS領域のSpringなどだ。この動きはCitrixやRed Hatも同様である。しかし、ここに来て、ハイパーバイザーを抽象化するクラウドマネージメント製品やクラウドインフラなどが複数のベンダーから登場し、 軌道修正が必要な時期に来ている。クラウド市場は、第2ラウンドに入り始めた。彼らがどう動くのか注目である。
2010年10月6日水曜日
スペインからやってきたAbiquo
-クラウドマネージメント(4)-
Abiquoのデモを始めて見たのは3年も前だ。
当時のデモは画面上で機器構成を描き出すツールのようだった。同社はもともとスペインが本社。スペインと言えば、クラウド構築ツールOpenNebulaのようにクラウドが盛んなところである。当時はスペインから米国にカンファレンスのたびに出向いていた。その時のプロトタイプと現在の製品は殆ど別物だが、技術は継承されて部分的に組み込まれているようだ。その後、クラウドの波に乗り、2009年にクラウド管理ツールのα版、2010年2月、オープンソースのCommunity Editionをリリース、そして3月、Redwood Cityに米国本社を開いてシリコンバレーにやってきた。
◆ Abiquoとは
Abiquoの製品には前述のオープンソース版(Community Edition)とEnterprise Editionの2つがあり、共に以下のマルチハイパーバイザーを管理する。この分野にはこれまで報告してきたように色々な製品が登場してきたが、Abiquoの特徴は、実存する殆どの仮想化技術をサポートしていることである。実際には、以下のような製品が提供するAPIを利用し、異なる仮想化技術が搭載されたサーバーのプロビジョニングを実行する。
Abiquoのコンポーネントは下図のように大きく分けて3つ。
①マルチハイパーバイザー管理の“Abiquo Server”、②マシンイメージを変換する“OVF Repository Space”、そして③運用管理用の“Abiquo Portal”だ。
要となるAbiquo Serverは、異なる仮想化技術が適用され、実際にはバラバラに設置されている物理サーバーを論理的に管理する。ユーザーはこのAbiquo Serverを介して仮想マシンのCPUやメモリー、ストレージなどの容量を決める。
次にOVF Repository Spaceでは、DMTFが定めたOVF(Open Virtual Format)を用いて、各社固有のマシンイメージをDrag & Dropで変換することができる。実際の処理は、OVFはラッパーなので、変換にはこのラッパーを解いて、各社が用意している変換ツールが内部的に実行されている。
システム管理のAbiquo Portalを見ると、同社が初期に開発していたビジュアル機器構成管理ツールが進化したことがわかる。これが同社のウリのひとつである。機能的には、①物理構成を管理する“Infrastructure”、②複数台の仮想マシンをデータセンターに見立てる“Virtual Datacenter”、
③アプライアンスなどのアプリケーション管理“App Library”、その他“Users”や“Events”などの管理ツールが用意されている。
◆ ユーザー調査に見るIT部門とユーザーの意識差
次にAbiquoの特徴を伺い知るために、同社がDownloadユーザー2万社に行ったユーザー調査(8月末)を見てみよう。それによると、今日のクラウド利用には以下のような5つの課題がある。まず、1)のSecurityやComplianceについては、他の調査でもほとんど同様の指摘があるので割愛するが、5)は、仮想化やクラウド技術による囲い込みが進み、ユーザーにとっては大きな懸念材料となっている。
さらに2)~4)は、仮想化されたクラウド環境を提供するIT部門と利用ユーザー間にかなりの意識差があることがわかる。2)は、現在の不況下のコスト削減から、仮想化によるサーバー統合やクラウド利用は進むが、IT部門には大きな負担となり、負担軽減の効果的なツールが求められている。さらに3)では、仮想環境の透明性が低く、4)利用率向上が進んでいない。その結果、一度使った仮想マシンやストレージがそのまま放置されており、ここでも有益なツールが必要となっている。
つまりこれらの課題を解決するのがAbiquoだということで、我田引水の感は否めない。しかし、それはそれとして、クラウドが動き出した後のこのような問題指摘は謙虚に受け止めるべきだろう。このブログで、数回にわたって紹介しているクラウドマネージメント製品が活況なのは、このような理由だからだ。
当時のデモは画面上で機器構成を描き出すツールのようだった。同社はもともとスペインが本社。スペインと言えば、クラウド構築ツールOpenNebulaのようにクラウドが盛んなところである。当時はスペインから米国にカンファレンスのたびに出向いていた。その時のプロトタイプと現在の製品は殆ど別物だが、技術は継承されて部分的に組み込まれているようだ。その後、クラウドの波に乗り、2009年にクラウド管理ツールのα版、2010年2月、オープンソースのCommunity Editionをリリース、そして3月、Redwood Cityに米国本社を開いてシリコンバレーにやってきた。
◆ Abiquoとは
Abiquoの製品には前述のオープンソース版(Community Edition)とEnterprise Editionの2つがあり、共に以下のマルチハイパーバイザーを管理する。この分野にはこれまで報告してきたように色々な製品が登場してきたが、Abiquoの特徴は、実存する殆どの仮想化技術をサポートしていることである。実際には、以下のような製品が提供するAPIを利用し、異なる仮想化技術が搭載されたサーバーのプロビジョニングを実行する。
- VMware ESX and ESXi
- Microsoft Hyper-V
- Citrix XenServer
- Virtual Box
- Xen
- KVM
Abiquoのコンポーネントは下図のように大きく分けて3つ。
①マルチハイパーバイザー管理の“Abiquo Server”、②マシンイメージを変換する“OVF Repository Space”、そして③運用管理用の“Abiquo Portal”だ。
要となるAbiquo Serverは、異なる仮想化技術が適用され、実際にはバラバラに設置されている物理サーバーを論理的に管理する。ユーザーはこのAbiquo Serverを介して仮想マシンのCPUやメモリー、ストレージなどの容量を決める。
次にOVF Repository Spaceでは、DMTFが定めたOVF(Open Virtual Format)を用いて、各社固有のマシンイメージをDrag & Dropで変換することができる。実際の処理は、OVFはラッパーなので、変換にはこのラッパーを解いて、各社が用意している変換ツールが内部的に実行されている。
システム管理のAbiquo Portalを見ると、同社が初期に開発していたビジュアル機器構成管理ツールが進化したことがわかる。これが同社のウリのひとつである。機能的には、①物理構成を管理する“Infrastructure”
③アプライアンスなどのアプリケーション管理“App Library”
◆ ユーザー調査に見るIT部門とユーザーの意識差
次にAbiquoの特徴を伺い知るために、同社がDownloadユーザー2万社に行ったユーザー調査(8月末)を見てみよう。それによると、今日のクラウド利用には以下のような5つの課題がある。まず、1)のSecurityやComplianceについては、他の調査でもほとんど同様の指摘があるので割愛するが、5)は、仮想化やクラウド技術による囲い込みが進み、ユーザーにとっては大きな懸念材料となっている。
1) Security and Compliance |
2) IT Organization Overload |
3) Lack of Visibility into Virtual Environments |
4) Unrealized Utilization Improvements |
5) Vendor Lock-in |
さらに2)~4)は、仮想化されたクラウド環境を提供するIT部門と利用ユーザー間にかなりの意識差があることがわかる。2)は、現在の不況下のコスト削減から、仮想化によるサーバー統合やクラウド利用は進むが、IT部門には大きな負担となり、負担軽減の効果的なツールが求められている。さらに3)では、仮想環境の透明性が低く、4)利用率向上が進んでいない。その結果、一度使った仮想マシンやストレージがそのまま放置されており、ここでも有益なツールが必要となっている。
つまりこれらの課題を解決するのがAbiquoだということで、我田引水の感は否めない。しかし、それはそれとして、クラウドが動き出した後のこのような問題指摘は謙虚に受け止めるべきだろう。このブログで、数回にわたって紹介しているクラウドマネージメント製品が活況なのは、このような理由だからだ。
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