2010年9月1日水曜日

Private CloudのAmazonを狙うNimbula
                 -クラウドマネージメント(1)-

設立以来、ステルスモードだったNimbulaが動き出した。
この会社がどのような製品を出すのかずっと見守ってきた。というのは、この会社の創業者で現CEOのChris Pinkham氏と仲間のWillen van Biljon氏(現VPプロダクト担当)に注目していたからである。

◆ Amazonクラウドを考え出した男たちのStart-up!
今日のクラウドは、2006年、Amazonが発表したS3(2006/3)とEC2(2008/8)で始まった。そのクラウドを考え出したのはPinkham氏だ。氏は当時、AmazonのVPでGlobal IT Infrastructureの責任者だった。自分の担当する世界中のデータセンターのインフラを利用して新しいビジネスを提案したのがAWSである。Pinkham氏がEC2のグランドデザインをし、もうひとりのCristopher Brown氏が補佐、Willen van Biljon氏がプロダクト開発の責任者だった。しかし、Pinkhan氏とBiljon氏はAmazonを退社して、シリコンバレーにやってきた。そして2009年始め、2人がFounderとなってNimbulaを立ち上げた。最初の資金$5.75MはSequoia CapitalとVMwareから出た。その後、Accel Partnerも参加、現在のBoard Memberはこの2人とVC2社、そして何と元VMware CEOだったDiane Green女史である。設立以来、NimbulaはまったくのStealth Modeが続いた。突然の発表は6月23日、出てきた製品はProvate Cloudインフラを制御するNimbula Director(以下、Nimbula)”だ。

◆ Cloud OSとなるか、Nimbula Director
大手企業では、クラウドが費用削減などで効果があることは解っているが、運用管理の難しさが壁となってなかなか進まない。Nimbulaは、このような状況を解決し、Amazonのようなクラウドをプライベートとして容易に管理することを目指している。そのため、Nimbulaでは、固有の仮想化技術や物理的な構造(Physical View)を抽象化(Abstract View)し、その上で、それらを管理する手段として、APIやWeb Interface、Command Line Interfaceを提供している。これによって、AdminやUserはWeb Interface/Command Lineのどちらでも利用ができるし、さらにSoftwareへの組込みも可能となっている。現在のβ版では仮想化のXenとKVM対応し(VMwareは未定)、Nimbulaがこれらの総合的にリソースを管理する。将来的にはNimbulaの用意するFederation経由で外部EC2などもリソース管理の対象となる模様だ。仮想マシンの扱いは、PolicyベースのWorkload Managementが担当し、マシンイメージは基本的にOVFとなる。


このようにNimbula Directorを調べてみると、そのポジションが気にかかる。
この分野には、以前、このブログで紹介した「管理コンソール」のEnomalyのようなものから、vSphere4やWindows Azure Platform などの「Cloud OS」がある。個人的な見解だが、2つの違いは、後者が自社製品のみ(VMwareやMicrosoft)を適用対象とするのに対して、前者はそうでなく並列に扱い、かつ、彼らが提供するシステム運用部分を補完している。その意味では、NimbulaもEnomalyの管理コンソールに近い製品だ。ただ、Cloud OSの定義も定かではないし、同社がNimbula DirectorをCloud OSを目指すと主張していることから、ともあれ、今後の動きに要注意だ。現在、全世界で6社がβ版のテスト中、正式出荷は今年下期が予定である。

参考記事:マルチハイパーバイザー管理コンソールのEnomaly