2014年7月22日火曜日

コグニティブコンピューティングを追うIBM!
         Googleはクォンタム(量子)コンピュータか!

=Watsonの登場=
IBMのWatsonを核に、その後を展望した本「スマートマシンがやってくる(原版-Smart Machines)」が出た。その出版記念で共著者のIBM Steve Hammと同東京基礎研究所所長の森本氏から話を聞くことが出来た。この本は実際にはIBMの研究部門を担当するSenior VP John E. Kelly Ⅲ氏がスケルトンを描き、ライターのHamm氏が多くの関連者をインタビューして書きあげたもののようである。Hamm氏によるとプロジェクトの名前はIBMの初代社長Thomas John Watson, Sr.氏にちなんだものだ。それだけIBMの賭ける思いは強い。氏はコンピュータの変遷の初期は簡単な計算機、第2期は現在広く使われているプログラマブルなコンピュータ(Von Neumann)だ。しかしこの方式は次第に行き詰まりを見せ始め、これからは認知・認識や推論ができるコグニティブコンピューティング‐Cognitive Computing(CC)へと進展していくとし、世界中の同社研究所で研究中だと力説した。IBMはこのCC技術をリードし、業界の主導権をかつてのように取り戻したいように見える。初のWatsonは全米で人気のクイズ番組Jeopardy!に挑戦するために開発したもので、IBM Power 750のラック10本分に15TBのメモリーと2880個のPOWERプロセッサを搭載したLinuxのHPCである。処理性能は80TFLOPS、インターネットには非接続でWikipediaなど2億ページ分のスキャンデータを抱えてい た。IBMではこのような社内の技術的士気を鼓舞する取組みをGrand Challengeという。チェスの世界チャンピオンを破ったDeep Blueが前例だ。そして2011年1月14日、IBM Researchのホールでデモを披露し、2月の本対戦(15‐16日)では元グランドチャンピオンのBrad Rutter氏とKen Jennings氏を相手に初日は引き分け、翌日を合わせた総合でWatsonが勝って賞金100万ドル($1M)を獲得した。

=スマートマシンがやってくる!=
この成果を受け、IBMは多面的に動き始めた。クイズ番組でのWatsonに次いで、医療やコールセンタなど様々な分野の専門家の協力を得てソリューション開発を進めた。これらのソリューションは、人間にとって替わるのではなく、医師や専門要員の補助をするコグニティブアシスタントを目指している。 Jeopardy!では自然語処理と検索技術や推論が主だったが、今度はBigDataの対応がポイントとなった。森本氏によれば、我々の周りでは日々5 億枚の写真が世界でシェアリングされているし、日本だけ見てもコールセンターの累積記録は70万時間/日、さらにセンサーによるデータの機械作成が進んで2020年には全体の40%強を占めるようになるという。この本では、このような膨大なBigDataの対応には4つのV(Volume、 Variety、Velocity、Veracity)を越えなければならないと説いている。そのためには新たな分析技術であるEntity AnalysisやPervasive Analysisの確立、またVon Neumannコンピュータとは異なるデータを基本とした処理体系への変更が重要だとして、Data Centricな処理DC²(Data Centric Deep Computing)の開発にも着手。さらにハードウェア分野では脳の神経細胞のニューロンとそれらを連携させるシナプスをチップ化し、人間の五感を感じ取る新しいコンピュータの開発も始まった。

=GoogleはNASAと共同でクォンタム(量子)AIラボを開設=
CC対応ではMicrosoftなども動き出したが、要注意はAppleと共に音声認識に力を入れているGoogleだ。Googleの場合、一般に知られているこの分野のプロジェクトにGoogle Self-Driving Carある。これこそCognitive Assistantの進化形といっても良い。これとは別にGoolgeは今年に入って興味ある関連企業を幾つか買収した。圧巻はチェスの天才少年だったDemis Hassabis氏創業のDeepMind Technologies (推定$625M-625億円)だ。この会社はニューロサイエンスを利用したAIを手掛けており、画像などのイメージ検索に使うのではないかとの噂が高い。そして今年5月16日、GoogleはQuantum Artificial Intelligence LabをシリコンバレーのNASA Ames研究所と共同で開設すると発表した。プレスによると、このラボではクォンタムコンピュータ(Quantum Computer‐QC‐量子コンピュータ)を開発するカナダのスタートアップD-Wave Systemsのマシンを使い、全体をNASA Amesがリード、宇宙関連研究組織USRAを通して世界中の研究者を招待し、医療や検索などのより良いモデルを開発する予定だ。



=どちらが勝つのか=
Googleの
アプローチはマシンこそQCだが基本は機械学習のAIのようだ。そのために
DeepMindを用意した。これらを素材として世界中の研究者に色々弄ってもらい、QCの実用化の可能性や新たなモデル開発を目指している。
これに対して、 Hamm氏は、CCはAI(Artificial Intelligence-人口知能)の一種ではなく、それを超えたIA(Intelligence Augment-知性増加)だと説明する。つまりAIには静的(機械的)なものと動的なものがあるが、CCはそれらを凌駕するとIBMは期待している。しかし初代のWatsonはLinux上で動くプログラムとしてJavaとC++で作られている。即ちWatsonは多分マシンラーニングの静的AI段階のApplication Architectureであって、まだComputer Architectureを変更する域には達していない。勿論、近未来にCCが確立されればVon Neumannを超えるものになるかもしれない。はっきりしていることはBigData時代のコンピューティングは変わらなければいけないということだ。現IBM CEOのロメッティ女史(Ginni (Verginia) Rometty)は、BigData時代はゴールドラッシュのように数年で終わるものではなく、これこそ現代の天然資源でどうやって掘り起こすか、その回答がWatsonへの期待だという。IBMは既にWatson APIをデベロッパに公開し、SoftLayer上への展開を決めている。一方、GoogleはGoogle I/O 2014でこれまでのMapReduceを止め、新たにストリーミング分析にも対応できるCloud DataFlowを発表した。ともあれ、CCやQCの開発は簡単な道のりではない。かつてTim  Berners-Lee氏が提唱したセマンティックWebは上手くいかなかったし、6月中旬のGoogleのテストでD-Wave Twoは期待するスピードが出なかった。今後は、東海岸のストライプタイ派が総合力を発揮するのか、西海岸のジーンズ組が実利を手に入れるのか、彼らの健闘を注視したい。


2014年7月8日火曜日

OpenStackはクラウドのAndriodになれるか!

AWSiOSOpenStackAndroidのようだ」と言う人がいる。
上手い表現だ。考えてみればAmazonは多くのサービスを独自開発してきた。一方、OpenStackはオープンソースの徹底した公共プラットフォーム化を目指す。Amazon Web Serviceがクラウド市場をリードするiPhoneのようだとすると、果たしてOpenStackはクラウドのAndroidになれるだろうか。
  
=企業貢献度にみる各社の戦略=
年2回OpenStackのアップデートを行うメンバー各社の熱い思いは変わらない。2012年、OpenStack Foundationが設立され、より民主的な組織運営が進んだ。作業のコントリビュータには沢山の個人デベロッパー、企業メンバーにはBrocade、Cisco、Dell、 EMC、HP、IBM、Intel、Juniper、NetAppなどのメーカーを始め、Canonical、Red Hat、SuSEなどのLinuxディストリビュータ、IT企業からはYahoo、VMware、PayPalなど、さらにRackspaceを筆頭にVirtrustream、Mirantisなどの関連スタートアップが集まっている。現在は次期版Junoに向けた開発が急ピッチだ。図はJuno/OpenStackに関する各社の貢献度を示す。どの会社(さらにはどのエンジニア)がどの分野でどの程度貢献しているかはStackalyticsで全てが公開されている。ここを見れば各社の戦略もある程度想像できる。例えばOpenStackの4番目のリリースだったDiabloではRackspaceの貢献度は約3/4(78%)、つまり彼らの仕事が殆どだった。しかし5番目のEssexでは半分(51%)になり、次のFolsomでは1/4(25%)に、さらにGrezzlyでは1/5(20%)と同社の比重は下がってきた。これは言い出しっぺの企業が頑張らなくても、参加各社が各々の戦略に沿って開発を支援しながら製品化を進めているからだ。現在、Junoで最も貢献度が高い会社はHP。彼らは5月にHP Helion発表した。これはOpenStackベースの同社クラウドのリブランドとして$1B(約1,000億円)を投入するプロジェクトである。その前はRed Hatだった。同社は昨年夏、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform発表。この発表を受けて、昨年10月にリリースしたHavanaではRed Hatが最大のコントリビュータだった。 IBMについてもしかりだ。同社の貢献度はGrizzlyでの15%からHavanaでは13%となり、Icehouseでは10%、現在開発中のJunoでは7%と減少している。これは従来のOpenStack重視からSoftLayerへの路線変更と見事に一致している。

=エンタープライズへの普及が始まる=
ともあれ、OpenStackの開発は順調だ。これからの課題はエンタープライズ市場への浸透である。ベンダーからはOpenStackディストリビューションも始まった。今年4月にリリースしたIcehouseは9番目のメジャーバージョンとして本格的な普及を目指している。そんな矢先、今年4月2日、Wall Street Journalからビッグニュースが流れた。報道によると、OpenStackベースのCloud OS MirantisとスエーデンのEricssonとの間で5年間総額$30M(約30億円)の契約がなされたのだ。勿論、これはOpenStack関連では過去最高の取引金額だろう。この契約でEricssonは携帯電話ネットワークのバックエンドインフラを構築する。これより早くOpenStackを用いてプライベートク ラウドを手がけた企業も沢山ある。その中のひとつがサンフランシスコを本拠とする大手銀行のWells Fargoだ。 日本はもとより米国ではIT部門のコスト管理は厳しく、仕事の多くは外注化の方向だ。それでも尚多くの銀行はIT業務を自営したがる傾向にある。勿論、マ ネージドホスティングによる外部委託の方が廉価であることは解っている。この課題への回答がプライベートクラウドだ。リーマンショック後、米金融界の混乱の中、Wells FargoはWachoviaを救済合併。そして3年がかりでシステムを統合した。この中でOpenStackベースのクラウドを採用。サポートに役立ったのはHP Cloud Servicesだ。HPもこの仕事で力をつけた。つまりこれまでのHPクラウドはWells Fargoと共に歩んできたといっても過言ではない。他にも直近ではWalt Disneyのパイロットプロジェクトが動き出している。このDisneyのコンテンツ保管用プロジェクトではオブジェクトストレージのOpenStack Swiftを使い、たった3ヶ月でシステムを立ち上げた。

=普及前夜となるか=
5月13日、OpenStack FoundationはOpenStack Summit 2014(Atlanta)で、OpenStack導入に関するトレーニングやコンサルテーション、プロバイダ、各種ディストリビューションなどを纏めたOpenStack Marketplaceの運用開始を発表。いよいよこれからがOpenStackにとって正念場である。しかし、状況は良い。幾つかのプロバイダからOpenStackベースのクラウドが提供され、各種ディストリビューションの配布も始まった。2012年、最初に登場したのはUbuntu OpenStackSuSE Cloudだ。次がRed Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHEL OPS)、リリースは昨年7月だった。最新版はIcehouse対応のRHL OPS5、次期JunoはRHL OPS6となる予定だ。年間サブスクリプションは無制限利用のGuest OSを含む場合と含まない場合、さらにサポート種別により「Standard(ビジネスアワー)」と「Premium(24H)」がある。価格はGuest OSなしのStandardサポートでは$2,149/socket-pair/year、Guest OSありのPremiumサポートでは$4,499/socket-pair/yearとなる。これに対して後発のHP Helionは現在無償Community版のみが利用可能だが有償の商用版は8月中にリリースが予定されている。さて価格はどうか。RHL OPSは”socket-pair”が単位、しかしHP Helionでは物理サーバが単位となり、$1,400/year/serverだ。これには「Foundation Care Support(ビジネスアワーサポート)」が含まれる。24Hサポートへのアップグレードオプション有。さらに複数年利用割引やボリュームディスカウントがある。Guest OSは別途。また商用版にはHPが開発したSDN Controllerと分散ストレージStoreVirtual VSAが含まれる予定だ。
時はまさにOpenStackの普及前夜である。

2014年7月2日水曜日

価格破壊が始まった! -Googleはクラウドで勝ち残る-

Google I/O 2014(6/25-26)が終わった。
 思い起こせばGoogle Cpmpute Engine(GCE)が登場したのはGoogle I/O 2012だった。GCEはすぐに限定リリースが始まったが、一時期、社内基準をクリア出来ずサービスを停止。そして20134月正式リリースとなった。このGCEサービスはGoogleが満を持して投入したIaaSだ。そして前回レポートGartner Magic Quardrant分析でもはっきり頭角を現して来た。しかしAmazon EC2が登場して7年以上が経つ。完璧な周回遅れだ。果たしてGoogleはこの劣勢を挽回できるだろうか。答えはYESだ!彼らには秘策がある。思い出してほしい。あの一世を風靡したBlackberryApple iPhoneの登場と共に首位の座を奪われると、すぐにGoogleからAndroidが出た。これによって市場は再度シャッフルされてAndroidが首位に立ったことを。

=Googleはどのくらい劣勢なのか=
ともあれ、Googleはどれくらい劣勢なのだろう。
Synergy Research Groupの報告によると、昨年度、MicrosoftとIBM、Googleの3社の売り上げはほぼ倍増したが、この間Iaas/Paas市場は世界で46%成長し、 Amazonはシェアを55%伸ばしたと言う。下図で見ると、3社合計にSalesforceのPaaSを加えてもAWSに15%程度足らない。つまり、現時点では、Amazonが独り勝ちの状況なのだ。

これほど離されると挽回は不可能なのか。いやそうではない。前回触れたようにクラウド市場はやっと裂け目を超えて、本格市場の開拓に入ったところだ。これまでの市場はAmazonが作り出し、そのレールを突っ走ってきた。つまりEarly Adopterが対象だった。これからの本格市場の中心はエンタープライズだ。ここでは大きな実績を持つIBMやMicrosoftが有利だし、さらにはVMwareだってかなりの実績がある。Googleの場合は、大企業は多くはないがスタートアップなど中小企業を中心としたシェアを持っている。それにデベロッパがGoogleに寄せる信頼は絶大だ。シリコンバレーでは有償のGmailに企業ドメインを使い、Google Documentでドキュメントやスプレッドシート、プレゼン資料を作成するのは当たり前のことである。
=秘められた作戦=
口の悪いアナリストは、「今は絶好調だがAmazonは所詮はインターネットの本屋。それに比べてGoogleはインターネットのオールラウンドプレイヤだ。彼らが本気になれば、その実力と総合戦略には歯が立たない」と主張する。GCEが発表された次のGoogle I/O 2013Goolge Cloud Platformが登場した。このプラットフォームは、GCEをIaaS、App EngineをPaaS、それにCloud Storageを加えて体系化したものだ。そして今年2月のGoldman Sachs Technology and Internet ConferenceでGoogle CFOのPatrick Pichette氏がGoogle Fiberの世界展開について言及した。Google Fiberとは2011年からKansas Cityで始まった高速インターネットプロジェクトのことだ。氏は現在の1GBから10倍の10GBに上げ、ここ3年で世界展開を目指すと説明した。これこそが市場奪還の起爆剤なのだ。知っての通り、Googleのデータセンタ群は専用の高速ネットワークで繋がれ、検索やMapsなどあらゆる地域に住む我々の要求を瞬時に満たしてくれる。彼らのデータセンタはひとつのセンタがひとつのコンピュータに見える設計だ。このようなセンタを超高速で結合することにより、全てのリソースは論理的にひとつとなって、世界最大のクラウドとなる(詳細はここ)。Google Cloud Platformはこの超高速ネットワークの中に他のサービスと共存する。勿論、Google Fiberの目的は、先週のGoogle I/OでAndroid関連の話題(Android LWearAutoTVOne)が賑やかだったように、テキスト/画像から動画/音楽などのストリーミングに向かうユーザ/デバイス性向を満足させるためのものである。しかし、これはGoogleクラウドにとっても最高のプレゼントだ。これが出来れば、まさに在りし日のSunが社是とした「The Network is the Computer」そのものとなる。こうなればGoogleのクラウドは、①もうリージョンやコンテンツ配置はあまり気にならないし、②クラウドアプリはMapsやBigQueryなどのサービスとバックエンドで高速連携ができる。そして、近い将来デベロッパはGoogleサービスの全てを利用することが出来るだろう。③幾つかのベンチマークによる結果(例1例2)はGCEの圧倒的な高速性を示している。特にPersistent Diskの効用やI/Oの高速性は素晴らしい。④さらにオープンソースのDockerFluentdなどの整備も進んでいる。念のため、DockerはUnixやSolarisでは一般的だった軽量のコンテナ型仮想化技術、Fluentdはログ収集管理に威力を発揮するシステムだ。そしてクラウド戦略で、⑤もっとも重要なのは費用だ。Amazonに比べ、課金時間単位(Amazonは1時間、Googleは10分)やその利用料でもGCEは絶対優位にあるし、メータリングの観点からみてもVMのBootやRestartはGCEが圧倒的に早い。

 

=Amazonの戦略=
Googleが勝ち残るには何としてもAmazonの上を行かなくてはいけない。
Source: SiliconANGLE
Amazonのこれまでの成長過程を見ると、まずインフラを整備し、低価格でユーザを呼び込み、便利な機能を提供して利用を促進させ、さらにインフラを増強する。そして設備の効率化を図り、さらにコストを下げる。Amazonはこれまで価格改定を42回行ってきた。ということは、このサイクルをそれだけ回したということだろう。Googleがこの戦略に打ち勝つには決定的なアドバンテージがいる。ひとつはGoogle FiberやPersistent Diskに代表される高速性。もうひとつは徹底した低価格化だ。
  
 =価格破壊が始まった!=
今年3月25日、Google Cloud Platform Liveで30~85%という大幅なPrice Cutが断行された。これに即応し、翌日、Amazonからも新価格が出た。まさに価格戦争の始まりである。Googleの発表内容は、通常利用の値下げ(On Demand Price Reduction)と継続利用時の割引(Sustained Use Discount)の2つだ。まず前者(On Demand Price Reduction)を個別にみると、①Compute Engineの全インスタンスで32%値下げ、②App Engineは料金体系を簡素化し、インスタンスあたり37.5%、Dedicated Memcacheは50%、Datastore Writeは33%の各値下げ、さらにSNI SSLやPageSpeedなどの機能は無償。③Cloud Storageは¢2.6/GBとなり平均ユーザでは約68%の値下げとなる。④ビッグデータ解析で有効なGoogle BigQueryは85%カットだ。後者は、⑤継続利用割引プログラム(Sustained Use Discounts)となって、1ヵ月の25%以上の期間でVMを使用すると自動的に同割引プログラムが適用される。もし1ヵ月間使用し続けるとさらに新価格より30%の値引きだ。これは旧価格に対し合計で53%の値引きである。つまり、Webアプリなどの常時アップしている業務では半値となったのだ。完全にAmazonに対する挑発である。このGoogleの値下げは今回だけにとどまらない。先週、MapReuce後継と目されるCloud DataFlowを発表したクラウド担当Senior VPのUrs Hölzle氏は言う。「クラウドは、本来、前金なしで使用料だけ払えばVMを使えるシンプルなものであるべきだ。ハードウェアはここ数年で20~30%下落している。しかしPublic Cloudは6~8%程度しか下がっていない。つまり、普通で考えてももっとカットすべきである。」
そして、「クラウドの機能を複雑にするのはデベロッパを縛ることになる。それより重要なのは、CPUやディスク、ネットワークの早さや革新的技術の提供、そしてユーザ本位の課金だ」と暗に指摘する。
Googleが仕掛ける価格戦争にAmazonがどう対応するのか。
エンタープライズを得意とするプロバイダはどのように市場開発を進めるのか。
いよいよ本格的な第2ラウンドが始まった。