◆ クラウド第1ステップへ(CloudStackの発表)
今年5月4日、Series Bの$11Mの資金(Series Aは$6.6M、これまでの合計$17.6M)を受け、社名もCloud.comに変更。そしてStealth Modeを抜けて、第1ステップへと踏み出した。Cloud


7月21日、Cloud.comは OpenStack initiativeへ参加すると発表した。 OpenStackの発表は7月19日、2日後のことである。CloudStackの目指すオープンソースのIaaSプラットフォームと、 Rackspaceが主導してNASA Ames Reseach Centerと組んだOpenStackは、ある意味では完全な競合関係にある。このプロジェクトではRackspaceのObjectベースのクラウド ストレージCloud FilesとAmes Research Centerが進めているMebulaのクラウドコンピュートNovaの採用が決まっており、9月から10月にかけて初期版がリリースされる。 RackspaceはAmazonに次いでクラウドでは第2位の実績があるし、NASAのNebulaは大掛かりなプロジェクトだ。問題は、 Cloud.comがOpenStackにどのように取り組むかである。同社によると、短期的にはRackspaceのObject StorageをCloudStackに採用し、併せてOpenStack APIも適用する。
◆ クラウド第3ステップへ(サクセスストーリーになれるか)
その後の中長期計画では、Cloud.comの影響力を拡大し、同社のユーザー に代わってOpenStackにコードの貢献をする。つまり、OpenStackにCloudStackのコードを提供して、Rackspaceと NASA Amesだけでなく、Cloud.comもコアメンバーになって、オープンソースIaaSプラットフォームの普及に尽力するというわけである。このストー リーを裏打ちするように、これまでのXen/KVM対応から、8月25日、VMwareのvSphere4のサポートも公表し、さらにAmazon Web ServicesやCitrix Cloud Center(C3)、VMware vCloudの各APIもサポートすると発表した。

デベロッパーの一部は AmazonとRackspaceが対立関係にあることに気付いている。Amazonのサービスは機能的で優れているけれど、基本構造はモジュール型で、 これらは標準仕様ではなく、Proprietaryな感じを受ける。そして利用料金も決して廉くない。翻って、Rackspaceは低価格で仮想マシンを 提供し、その上では何もしない。つまり何の制約もなく、デベロッパーもISVも自由に仮想空間を利用できる。一方でIaaSの基盤となる Rackspace Cloud ServersとFilesのAPIを整備して公開してきた。これによって、iPhoneから仮想マシンを走らせたり、興味あるISVは Rackspace周りの製品整備を始めた。その上でServersとFilesのオープンソース化を実行し、より一層の普及のため、NASA Amesに協力を求めてOpenStackを組織化したという流れである。米国クラウド市場で1番のAmazonと2番のRackspaceの戦いは激し くなってきた。追うRackspaceの錦の御旗はOpenStackだ。現在プロジェクトに参加している30数社の動機はバラバラだが、 Cloud.comのように生き残りを賭けているところもあり、NASAの影響力も大きい。Nebulaプロジェクト独自開発のNovaが上手く動き出せ ば、Eucalyptusも危うくなる。それらを味方につけることが出来れば、状況は動きだす。
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