=これまでに集めた資金は30億円超!=
同社の創業は2003年8月。iTunesが流行り出した頃だった。開発には紆余曲折があった。そして辿り着いたのがOpenStackによるPrivate Cloudだ。2012年1月のSeries-Aは$4.3M(5.16億円)。2013年10月にもSeries-Aで$1.5M(1.8億円)。2014年3月にはDebt Fainancingで$3,3M(3.96億円)。Sries-Bは昨年10月に$10M(12億円)、続いて今年1月に$4M(4.8億円)が追加され、総計$26.6M(約32億円)となった。中堅他社が資金繰りから買収される中で、昨年秋から年初めにかけて$14M(16.8億円)を集めたのだ。(1㌦=120円換算)
=Blue Box Cloudとは何か!=
ではBlue Boxの戦略はどうなっているのか。左図のように彼らのポジションはPublic CloudとPrivate Cloudの中間だ。Public Cloudは周知のように、①弾性(Elasticity)があり、②経済的(Open Economics)で、③使い易く(Easy of Use)、④適用が短時間(Time to Implement)で済む。一方、Private Cloudはこれらの要素には難があるが、自営センター内であるため、①データの主権(Data Sovereignty)や、②システムの環境制御(Environmental Control)は十分であり、③コストの予測性(Cost Predictability)があること、さらに、④センター内のLAN速度並みのハイブリッド化(Hybrid Capabilities with LAN Latency)が出来る。つまり、Blue Box Cloudは、Public CloudとPrivate Cloudの難点を補うクラウドサービスを目指している。キャッチフレーズは‐Private Cloud as a Service(PCaaS)‐、狙いはPrivte Cloudをサービス提供しようというものである。
=Blue Boxの仕組み!=
次にBlue Box Cloudの仕組みについて見てみよう。
Blue BoxはPublic Cloud as a Seriveのために、①OpenStackをインフラとし、②専用ハードウェア-Dedicated Hardware上で、③シングルテナント-Single Tenantとして提供される。ユーザは自社のアプリケーションを開発するだけ、後は彼らがこのクラウド上に展開してくれる。Blue Boxのサービスはオーケストレーション技術を使い、ネットワークもデータベースも注文通り、仮想化だってKVMでも人気のDockerだって構わない。個々のユーザニーズに応じたオーダーメイドで、Public Cloudのセルフサービスとは大違いだ。つまり自社センタのクラウドがBlue Boxに移動したような気になる。昨年11月のOpenStack Summit Parisでは、①SwiftベースのObject Storage、②Nimble StorageによるCinderのBlock Storage、③Tesoraの技術によるOpenStack TroveのDBaaS(DataBase as a Service)、④Juniper NetworksのFirewallなどが追加された。
=この路線を突っ走れるか!=
Blue Boxは本社のあるシアトル(西海岸)とアシュバーン(東海岸)、チューリッヒ(欧州)の3センターで現在、PCaaSを運営する。この2月には米大手SIerのAlliance Technology Ggroupと提携し、ターンキーのソリューション提供も開始した。しかしこの分野はDatapipeやVirtustreamなどが先行している。Blue Boxの強みは、このところPrivte Cloudで人気のOpenStackだ。 先月の25日には、HPのOpenStackクラウドHelionにとって初の大型取引がドイツ銀行との間で決まった(プレス発表)。独自OpenStackディストリビューションでSIビジネスを走るMirantisは、何と$100M(120億円)という投資をSeries-Bで集めた(プレス発表)。Blou Boxがこの流れに上手く乗ることが出来ればレースから抜け出せる。