=Amazon独走鮮明に!=
Synergy Resarchから1Qのクラウド各社の決算が出揃ったのを受け、分析結果が発表された。この分析はIaaSとPaaSに限られるが、Publicだけでなく、PrivateやHybridも含まれている。1Qの結果(下図-上)を見るとAmazonの売り上げが他の4社(Salesforce、Microsoft、IBM、Google)合計よりも大きく、その強さが際立った。過去と対比すればさらに良く解る。(下図-下)では、Iaas/Paasのクラウド市場は2013年から2014年にかけて世界で45%成長したが、 Amazonの成長率はそれより大きく49%だった。2014年2Q時の市場規模は推定で$3.7B(4,440億円-120円/㌦)、これを年間に引き延ばすと$13B(1兆5,600億円)となる。この時点でAmazonの売り上げは四半期当たり$1B(1,200億円)を超えているとみられた。そして、当ブログでも既報のように、Amazonは今年1Q決算からAWSの詳細なデータを公表した。それによると、昨年度売り上げは各期とも確かに$1Bを超えており、Synergy Resarchの調査が正確だったことが解る。そしてAWSの昨年度売り上げ合計は$4.6B(約5,500億円超)、営業利益は$660M(792億円)となった。今年度は$5B(6,000億円)が目標だ。
=価格競争の激化!=
もうひとつ参考になる報告がある。ITcadorからのものだ。このグラフは各期のデコボコを平準化するために四半期ローリングを施したもので解り易い。結果、Amazonの売り上げは順調に伸びているが、利益は昨年度初めを頂点に下降線をたどり、このところは横ばいであることが解る。この落ち込みは価格競争だった。その引き金を引いたのは、昨年3月、Googleによる30~85%という大幅な値引きアナウンスだ。これには直ぐにAmazonもMicrosoftも追従し、価格競争が激化した。
=IBMは売り上げ$7.7B、Microsoftは$6.3Bと主張!=
IBMやMicrosoftはどうなったか。
4月20日のIBMの発表によれば、IBM全体の売り上げは12%減であったが、クラウド売り上げは何と$7.7B(9,240億円)、前年比75%アップだという。 Amazonの昨年度売り上げが$4.6Bだからとんでもなく大きい。しかし、これにはソフト/ハード/サービスが含まれているので、このままの比較は禁物だ。IBMはまたカンファレンスコールの中でSoftLayerについては2桁の成長だったと触れただけだった。Microsoftの場合は年度決算が6月末なので発表された3Q Resultによると、(これも計上方法が異なるので直接の比較はできないが)SaaSに該当するOffice 356が1,240万人のサブスクライバ-となって35%増、さらにDynamics CRMが続き、そして本命のAzureを加えた総売り上げは$6.3B(7,560億円)となり、106%のアップだという。
=Rackspaceの売却再燃か!=
ところでRackspaceの売却問題が再燃しそうな気配である。
1Q決算があまり良くなかったことに加え、市場環境が変わってきたからだ。この問題については、昨年、ホワイトナイト探しとして何度か報告(報告1、報告2 報告3)したが、9月17日以降は沙汰やみとなっていた。同社1Q決算は、売り上げ$480M(576億円)となり、前年同期比14.1%のアップ、利益は$28M(33.6億円)で前年同期比マイナス6.0%となった。この利益幅の減少は強いドルによる海外売り上げの為替が作用したもので、内容はそれほど酷いものではなかった。
問題は今後の見通しである。決算発表後のカンファレンスコールで、同社幹部が2Qの利益予想は1.5-2.5%程度だと言及した。売り上げや利益が伸びても、為替の影響でドル建て決算が厳しくなる現象は、IBMやMicrosoftでも表れている。特にRackspaceのようなサービスのみを扱う中堅企業にとっては緩和策が見当たらず、頭の痛い問題だ。他方、クラウド市場に目を転じると、この半年で市場環境は大分変ってきた。独走するAWSのIPOを睨んだスピンオフが見え始め、Microsoftもエンタープライズ市場が好調だ。一方でHPがPublic Cloudから離脱( 記事1、 記事2 )するのではないかという噂が流れたり、IBM SoftLayerやGoogle Cloud Platformは伸び悩んでいるように見える。業界筋は、これらの企業がRackspaceを傘下に置けば、彼らの立場は大きく変わるだろうという。勿論、彼らだけでなく、米キャリアの再挑戦があるかもしれないし、Microsoftにだって十分に可能性がある。Rackspaceにとっては、直ぐではないかも知れないが、これは独立独歩路線を変える最後のチャンスかもしれない。同社のマーケットキャップは、5月15日現在、$6.32B(7,584億円)だ。
Synergy Resarchから1Qのクラウド各社の決算が出揃ったのを受け、分析結果が発表された。この分析はIaaSとPaaSに限られるが、Publicだけでなく、PrivateやHybridも含まれている。1Qの結果(下図-上)を見るとAmazonの売り上げが他の4社(Salesforce、Microsoft、IBM、Google)合計よりも大きく、その強さが際立った。過去と対比すればさらに良く解る。(下図-下)では、Iaas/Paasのクラウド市場は2013年から2014年にかけて世界で45%成長したが、 Amazonの成長率はそれより大きく49%だった。2014年2Q時の市場規模は推定で$3.7B(4,440億円-120円/㌦)、これを年間に引き延ばすと$13B(1兆5,600億円)となる。この時点でAmazonの売り上げは四半期当たり$1B(1,200億円)を超えているとみられた。そして、当ブログでも既報のように、Amazonは今年1Q決算からAWSの詳細なデータを公表した。それによると、昨年度売り上げは各期とも確かに$1Bを超えており、Synergy Resarchの調査が正確だったことが解る。そしてAWSの昨年度売り上げ合計は$4.6B(約5,500億円超)、営業利益は$660M(792億円)となった。今年度は$5B(6,000億円)が目標だ。
もうひとつ参考になる報告がある。ITcadorからのものだ。このグラフは各期のデコボコを平準化するために四半期ローリングを施したもので解り易い。結果、Amazonの売り上げは順調に伸びているが、利益は昨年度初めを頂点に下降線をたどり、このところは横ばいであることが解る。この落ち込みは価格競争だった。その引き金を引いたのは、昨年3月、Googleによる30~85%という大幅な値引きアナウンスだ。これには直ぐにAmazonもMicrosoftも追従し、価格競争が激化した。
=IBMは売り上げ$7.7B、Microsoftは$6.3Bと主張!=
IBMやMicrosoftはどうなったか。
4月20日のIBMの発表によれば、IBM全体の売り上げは12%減であったが、クラウド売り上げは何と$7.7B(9,240億円)、前年比75%アップだという。 Amazonの昨年度売り上げが$4.6Bだからとんでもなく大きい。しかし、これにはソフト/ハード/サービスが含まれているので、このままの比較は禁物だ。IBMはまたカンファレンスコールの中でSoftLayerについては2桁の成長だったと触れただけだった。Microsoftの場合は年度決算が6月末なので発表された3Q Resultによると、(これも計上方法が異なるので直接の比較はできないが)SaaSに該当するOffice 356が1,240万人のサブスクライバ-となって35%増、さらにDynamics CRMが続き、そして本命のAzureを加えた総売り上げは$6.3B(7,560億円)となり、106%のアップだという。
=Rackspaceの売却再燃か!=
ところでRackspaceの売却問題が再燃しそうな気配である。
1Q決算があまり良くなかったことに加え、市場環境が変わってきたからだ。この問題については、昨年、ホワイトナイト探しとして何度か報告(報告1、報告2 報告3)したが、9月17日以降は沙汰やみとなっていた。同社1Q決算は、売り上げ$480M(576億円)となり、前年同期比14.1%のアップ、利益は$28M(33.6億円)で前年同期比マイナス6.0%となった。この利益幅の減少は強いドルによる海外売り上げの為替が作用したもので、内容はそれほど酷いものではなかった。
問題は今後の見通しである。決算発表後のカンファレンスコールで、同社幹部が2Qの利益予想は1.5-2.5%程度だと言及した。売り上げや利益が伸びても、為替の影響でドル建て決算が厳しくなる現象は、IBMやMicrosoftでも表れている。特にRackspaceのようなサービスのみを扱う中堅企業にとっては緩和策が見当たらず、頭の痛い問題だ。他方、クラウド市場に目を転じると、この半年で市場環境は大分変ってきた。独走するAWSのIPOを睨んだスピンオフが見え始め、Microsoftもエンタープライズ市場が好調だ。一方でHPがPublic Cloudから離脱( 記事1、 記事2 )するのではないかという噂が流れたり、IBM SoftLayerやGoogle Cloud Platformは伸び悩んでいるように見える。業界筋は、これらの企業がRackspaceを傘下に置けば、彼らの立場は大きく変わるだろうという。勿論、彼らだけでなく、米キャリアの再挑戦があるかもしれないし、Microsoftにだって十分に可能性がある。Rackspaceにとっては、直ぐではないかも知れないが、これは独立独歩路線を変える最後のチャンスかもしれない。同社のマーケットキャップは、5月15日現在、$6.32B(7,584億円)だ。