
ここで基本となる技術はOVF(Open Virtualization Format)。
OVFは仮想化マシンの可搬性を高めるためにパッケージングの方法を標準化したものだ。この仕様を使用して仮想マシンをパッケージングすれば、OVFをサポートする他の仮想プラットフォーム上で動かすことが出来る。

OVFは、2007年秋、DMTFのプロジェクトVirtualization Management Initiativeに参加していたDell、HP、IBM、Microsoft、VMware、XenSource(現Citrix)によって共同提案、承認されたものである。このOVFを利用すれば、Package→Distribute→Installまでの流れを統一することが可能だ。技術的にはこれまでのパッケージングツールを使い、生成される各種の情報やファイルをOVFに準拠させ、TAR形式に纏め上げる。このOVFよって、異なるプラットフォーム間で共通化された情報を可搬させるわけである。DMTFではまた、同団体が規定したCIM(Common Information Model)ベースの仮想サーバー管理標準プロファイルも規定しており、今回のOpen Cloud Standards Incubatorプロジェクトでは、このようなプロファイルとOVFを利用し、これまでの適用範囲を運用管理(Manage)まで広げる計画である。
さて、今回のDMTFの発表には、今やCitrixとなったXenとの係わりがある。
OVFが提案された2007年、それは提案メンバーの1社であったXenSourceにとっては激動の年だった。オープンソースのXenはLinuxとの親和性が高いことで知られ、XenSourceの願いは、Linuxの標準となることだった。しかしながら、Linus Torvalds氏は、Linuxカーネルの仮想化技術にKVM(Kernel-based Virtual Machine)を採用、XenとLinuxとの統合は無くなった。そして失意のXenSourceは2007年夏、シンクライアントのSaver-Based Computingからの脱皮を目指すCitrixに買収されることが決まった。

このオープンソースのKenshoこそが、今回、DMTFから発表されたOpen Cloud Standards Incubatorの核となるものとみられる。XenがOVFベースで取り組んでいた相互運用のプロジェクトをCitrixが引き継いだものだ。Kenshoでは、XenServerとVMware ESX、さらにMicrosoftのWindows Server 2008 Hyper-Vの3つをXMLのラッパーで包んでOVFとして扱い、各社のハイパーバイザーに依存しない仮想マシンイメージを作ることが出来る。これによって、異なるクラウド間でのワークロード・シェアやアプリケーションのプロビジョニングなども可能となり、マルチハイパーバイザーの相互運用管理が見えてくる。