これまで見てきたように、仮想化には2つの領域がある。
ひとつは通常の仮想化などに見られるもので大型サーバーを分割して、論理的に複数台に見せる方式だ。これはAmazonなど、今日的なCloud Computingの基本となっている。一方、ハイエンドの領域では、複数台のサーバーを統合して論理的に1台として利用する。つまり、Grid Computingの世界だ。この後者を実現する手っ取り早い方法に、完全に分散されたGrid Computingより、HPCやSMP(Symmetric Multiple Computer)-対称型マルチプロセッサ-の利用があるが、しかし、これでもその特殊性からコスト高だ。そこで通常のサーバーを使ってSMPに見せかける企業ScaleMPが現れた。
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vSMP Foundationのポートフォリオは3つ。
① vSMP Foundation for Cluster-前述のようなクラスタリングへの適用、②vSMP Foundation for SMP-市販のSMPへ適用して効率をあげることも可能だ。③vSMP Foundation for Cloud-さらにクラウドのために、オンデマンドでSMPシステムを提供することも出来る。
◆ Shared Systemサービス(R-Systems)
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R Systemsは、若きMarc Andreessen氏があのモザイク(Mosaic)を開発していたイリノイ大学NCSA(National Center for Supercomputing Applications)からスピンアウト、以来、研究者向けのLinuxベースHPCビジネスを手掛けてきた。同社の子会社R Poepleでは、同社ファシリティーを使ったコンサルテーションやオペレーションなどのサービスを提供。今年7月、同社はWindows HPC Server 2008の適用を発表した。これによって、同社のファシリティー(564ノードと288ノードの大型クラスター)はデュアルブート環境となりLinuxとWindowsのスイッチバックが可能となった。さらに小型のクラスターが数台Windows HPC Serverで稼動しており、これらを動員して、コマーシャルビジネスの開拓に乗り出した。ただ、同社サービスは一般のクラウドとは異なり、基本的にカスタムサービスである。サービスメニューの ①Dedicated Hostingとは顧客の特別要求仕様に従ったもので、物理的にも独立なマシンが適用可能となって、特別なOSなどでも構わない。
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実際のところ、Windows HPC Serverを使用したサービスはIBMからもComputing on Demandとして提供されてい
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◆ UniCloud 2.0 (Univa UD)
一般にクラスターシステムには、3つのタイプがある。
まず、かなり普及しているのが ①HA(High Availability)クラスターだ。このタイプは処理系とバックアップ系を切り替えて高可用性を実現する。次に、②分散クラスターがある。この場合は、処理量の多いWebやデータベース関連の処理をロードバランサーによって振り分けて負荷分散処理を可能とする。そして、③HPCクラスターでは、グ リッドなどの技術を用い、複数の計算ノードを集めてより高い計算能力を提供する。このように、HAでシステム切り替え、分散ではロードバランサー、HPCではグリッドエ ンジンなど核となるコンポーネントがあり、クラスターのソフトウェアスタックには、核コンポーネント、関連ライブラリー/ツール、実行環境ソフト、運用関連ソフトなど関連ソフトウェアが含まれ、パッケージとして提供されることが多い。さら に、これらの提供には、導入時のチューニングサービスやソフトウェア更新など、ライフサイクル管理も提供される。
ここで紹介するUniva UDは、元々、Sunの開発したN1 Grid EngineをHPCクラスター(以下、クラスター)上に適用してチューニングすることから始まった。その後、クラスターのソフトウェアスタックを整備して、ライフサイクル管理のUniClusterをオープンソースとして開発、現在はコンサルテーションなどのサービスをビジネスの主体としている。同社がサポートするオープンソースサイトGrid.orgからは、クラスターのモニタリン
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そして、同社が7月にアナウンスしたUniCloud 2.0とは、UniClusterを核にクラウドに適用したものである。UniCloudではプロビジョニングやコンフィギュレーション、さらに仮想化など を全てRESTfulウェブサービスフレームワークで対応する。これによって
リソースやポリシー管理は簡略化され、ノードは物理的
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以上見てきたように、クラウドは進化し続けている。
今や仮想マシンを束ねたGrid Computingは一般化が進み、Amazon EC2上でも、より大型のアプリケーションを実行させるためにHigh CPUやHigh Memory Instanceのサービスを開始した。ここベイエリアではバイオ系のスタートアップが
こぞって、これらを使い始めている。