この数年の間にクラウド市場では多くの会社が統合され、市場から消えていった。
これら多くの買収劇は市場が草創期から成長期に移る際に見られるいつもの現象だ。初期には沢山のスタートアップが登場し、次に、それらの統合が起こり、新たな段階に進む。買収する側はどうやって自社技術を本流にするのかを模索し、される側はまさに投資対効果のExit Storyとなる。ここでは便宜上、分野別に分けて、さらに主なベンダーのクラウドに関してコメントを試みる。
<ハードウェアベンダー>
ハードウェアベンダーによる関連技術の買収は、概ね妥当なように見える。
HPによる3Par買収やHDSのParascale、NetAppのBycastなどだ。
-HP-

このクラウドは現在、北米データセンターのみのに適用されているが、日本からもアクセスが出来る。近々リリースされる版は最新のGrizzlyとなり、部分的なSDN(Software Defined Network)も含まれる予定だ。買収案件で見るとVertica(2012/2)はクラウド・ビッグデータ分析向けであり、Hiflex(2011/12)はプリンター部門向けだ。
-Dell-

- NetAppが分散型ストレージGRIDのBycastを買収(2010/4)
- クラウドストレージParascaleはHDSに吸収(2010/8)
- HPが仮想ストレージベンダー3Par買収(2010/9)
- HPがビッグデータ分析のVertica買収(2011/2)
- HPがウェブプリントの独Hiflexを買収(2011/12)
- DellがインテグレーションクラウドのBoomiを買収(2010/11)
- Delllがクラウド管理ツールのEnstratius買収(2013/5)
ソフトウェアベンダーの買収は評価が分かれる。

-Citrix-

-Red Hat-
一方、Linuxで勝ち残ったRed Hatもクラウドでは苦しんでいる。
CitrixによるXenの買収後(2007/8)、追うようにKVMのQumranetを買収(2008/9)し、Red Hat標準のHypervisorとした。そしてVMwareがvCloudの整備に取り掛かると、CitrixもXen Cloud Platform開発をスタートさせ、Red HatはCloud Foundationの検討を開始した。

-VMware-

-Microsoft-

- CAによるグリッドOS 3Tera買収(2010/2)
- NovellがSuSEをAttachmateに売却(2011/4)
- CitrixがCloudStackのCloud.comを買収(2011/7)
- VMwareがネットワーク仮想化のNicira買収(2012/7)
- VMwareがクラウド自動化ソリューションのDynamicOpsを買収(2012/7)
- VMwareはストレージ仮想化のVirstoを買収(2013/2)
- Citrixがモバイルデバイス管理Zenpriseを買収(2012/12)
- MicrosoftがクラウドストレーレジベンダーStorSimpleを買収(2012/10)
- Microsoftがクラウドパフォーマンス管理MetricsHub買収(2013/3)
ここではクラウドだけでなく、SIerもサービスプロバイダーとして扱う。
金額的にも、規模的にも我々に衝撃を与えた米キャリアによる計算センターの買収は前回述べた。次に、クラウド関連ではCarboniteによるZamanda、RightScaleのPlanForCloudなど、事情を知った同業の買収は良好だった。またGoogleのQuickoffice、傘下のMotorola MobilityによるZumoDriveの買収は、Googleのモバイル重視を反映したものである。

-Salesforce-
SalesforceはCRM事業の浸透と共に、次なる事業領域を求め、2007年9月、force.comをスタートさせた。このPaaSプラットフォームは、登録されたアプリ群の利用だけでなく、個別開発も可能である。このための買収がRubyベースのHerokuやJavaのSpringSourceだ。Salesforceの子会社となったSpringSourceはさらにライフサイクル管理のHypericを買収強化。しかし、CRMのSaaSからPaaSへの道のりは半ばである。
-IBM-
-Salesforce-
SalesforceはCRM事業の浸透と共に、次なる事業領域を求め、2007年9月、force.comをスタートさせた。このPaaSプラットフォームは、登録されたアプリ群の利用だけでなく、個別開発も可能である。このための買収がRubyベースのHerokuやJavaのSpringSourceだ。Salesforceの子会社となったSpringSourceはさらにライフサイクル管理のHypericを買収強化。しかし、CRMのSaaSからPaaSへの道のりは半ばである。

- SalesforceがRubyクラウドのHerokuを買収(2010/12)
- Dimension DataがクラウドプロバイダーOpSource買収(2011/6)
- GoogleがクラウドオフィスツールQuickoffice買収(2011/6)
- ストレージクラウドZumoDriveをMotorola Mobilityが買収(2010/12)
- GoogleがWebアップサーバーのTalaria買収(2013/3)
- RightScaleがクラウドコスト分析のPlanForCloudを買収(2012/7)
- バックアップCarboniteがオープンソース同業Zamanda買収(2012/12)
- EAIツールCast IronをIBMがインテグツールとして買収(2010/5)
- IBMがクラウドプロバイダーSoftLayer買収(2013/6)
- 全米5位の通信事業者CenturyLinkが3位のQwestを買収(2010/4)
- VerizonがクラウドプロバイダーTerramarkを買収(2011/1)
- CenturyLinkがSAVVIS買収(2011/4)