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IaaS プロバイダを見ると、Facebookがクラウドに参入するのではないかという噂もあるが、市場には大方のプレイヤが出揃った。そしてはっきりしていることは、現在、核となるプレイヤを中心に統廃合が進んでいる。彼らをどう区分するかは異論のあるところだが、ここでは便宜上、①メーカ系としてIBM、HP、Dell、Ciscoなど、②キャリア系はAT&T、Verizon、CenturyLinkなど、③独立系のプロバイダやデータセンタはGoGrid、Rackspace、Terremark、Joyent、Tir3、Dimension Data、CSC、SAVVIS、SunGrid、SoftLayer、Virtustreamなど、④インターネットやIT系ではVMware、 Amazon、Google、Microsoftなどに分けて説明を加えた。
=第1ステージ:Rackspaceなど新興勢力がリード 2009~2010=
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- Amazonは良いポジションにいなかった。
- 個性ある新興勢力のプロバイダが市場をリード。
- RackspaceがNASAとOpenStackを始動。
- AT&TとVerizonが既存顧客を引き連れて参入。
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- 米キャリアの草刈場となったデータセンタ業界。
- Amazonがクラウドのリーダに。
昨年から今年にかけて市場のプレイヤはさらに整理され、一段と状況が鮮明になった。その中で特筆はAmazonだ。断然トップ、それも独走態勢に近い勢いである。次にMicrosoftの躍進がある。同社は2012年12月AzureのIaaSを発表、トライアルを経て昨年4月に正式にリリース(米国)した。この流れが効果的だった。さらにIBMも動き出した。IBMは昨年3月のPulse 2013カンファレンスでOpenStackが同社のクラウド戦略の中心になると発言。しかしその後、態度を変えて、同6月にはSoftlayerを買収。そして全面的に乗り換えると発表した。この買収による相乗効果はまだ軟弱だが、今年はどうなるのか要注意だ。前述のCenturyLinkのフットワークは依然として良い。傘下のSAVVISが2013年6月、PaaS/SaaSプロバイダのAppFogを買収、さらに同11月、CenturyLinkはTier3も買収して猛チャージ中だ。もう2つ要注意企業がある。ひとつはVMware、そしてGoogleだ。VMwareは昨年5月、 一般企業がvShereで構築したプライベートクラウドとハイブリッド接続が出来る同社のパブリッククラウドvCloud Hybrid Serviceを発表。また、GoogleはこれまでのPaaS対応のApp Engineに加え、昨年4月、IaaSのGoogle Compute Engineを正式リリース、共に追撃体制に入った。
- Amazonが断然市場をリード。
- IBM/SoftLayer連合が巻き返しへ。
- CenturyLinkが依然買収攻勢。
- OpenStack普及に賭けるRackspace。
- VMwareがIaaS市場に参入、Googleも追撃へ。
こうしてみると、クラウド各社は第1ラウンド最後の生き残りを賭けた戦いの最中にある。或る報告では2015年までにプレイヤの1/5が姿を消す。先頭を走るAmazon、それを各社が追う展開だ。メーカ系ではSoftLayer買収で新しく生まれ変わったIBMがどれ位善戦するのか。Windowsサーバで実績のあるMicrosoftがどこまで伸びるのか。キャリア系ではVerizon/Terremark組よりCenturyLinkに勢いがある。Rackspaceは多くの支援企業を集めたOpenStackを普及させることが出来るのか。そしてIT系では共に実力のあるVMwareとGoogleが周回遅れで参入してきた。特にGoogleの追撃がどうなるのか目が離せない。これから始まる本格市場開発の第2ラウンドでは熾烈な価格競争が待っている。