=時代の要請を受けたOpenZFS=
=LunixにもAppleにもZFSを!=
Matt Ahrens氏はカンファレンスで、「爆発的に増え続けるデータ保管のためにZFSは時代の要請を受けており、そのためにユーザーはどのOSにもZFSが搭載されることを望んでいる」と説明して、大きな拍手を受けた。この意味はZFSのこれまでの流れを追うと良く解る。2001年、氏ともうひとりのエンジニアによってSunのZFS開発は立ち上がり、Solarisと共に2005年、オープンソースとしてコードが公開された。翌年すぐにLinuxへの移植プロジェクトが動き出した。初期のFUSEプロジェクトである。その後、2008年、本格的なLinuxへの移植プロジェクトがスタートしたが、なかなか進まず、今年8月、最初の安定版がリリースされた。AppleによるZFS移植プロジェクトも2007年に開始。しかしこのプロジェクトは2年で中断、その後、コミュニティーがMacZFS開発を継続した。さらにLinuxで開発したコードを採用したZFS-OSXの整備が進み、次世代MacZFSに搭載すべく作業が進んでいる。
- 2001 – Sunで2人のエンジニアによりZFS開発開始
- 2005 – OpenSolarisの一部としてソースコードが開示
- 2006 – Linux向けFUSE portの開発開始
- 2007 – AppleがMac OS XにZFSの移植を開始
- 2008 – FreeBSD 7.0の一部としてリリース
- 2008 – Native Linux Portの開発開始
- 2009 – AppleのZFSプロジェクト閉鎖、しかしMacZFSプロジェクトがコード開発を継続
- 2010 – OpenSolarisが終了、その後Solaris用ZFSはオープンソースではなくなった
- 2010 – illumosがOpenSolarisの後継として組織化、ZFSも継続、他OSはこのコードを利用
- 2012 – 新機能サーポートのためZFS On-Disk Formatを導入
- 2013 – MacZFSの安定化と平行し、次世代向けZFS-OSXではLinuxコードを採用
- 2013 – Linux向けZFSの最初の安定版リリース
- 2013 – OpenZFSの正式発足アナウンス
=OpenZFS Developer Summit 2013開催=
ZFSは新たな時代を迎え、再度、脚光を浴び始めた。
今やるべきことは、①Linux向けZFSの安定化と普及、②Mac/OSXへの適用促進だ。そのためには、もっとエンジニアを集めなければならない。議論の末、11月18-19日、San FranciscoでOpenZFS Developer Summitの開催が決まった。どの位、デベロッパーが集まるのだろうか。カンファレンスの進め方はハッカソン(Hackathon-HackerとMarathonを合わせた合成語)方式だ。日本語風に言えば、プレゼンテーター付きわいがやミーティングである。スピーカーは、各々、ZFSに関する得意分野をしゃべり、参加者はプレゼンを聞きながら、わいがやをして理解を深めていく。シリコンバレー流トレーニング術である。
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ZFSが如何に優れていても、勿論、万能薬ではない。
本来のデザインがSolaris標準のFile Systemであったように、高性能OSが持つ機能である。そして中小規模のストレージシステムである。しかし、近未来、Linuxの標準として整備される日、いや、どこか大手のLinux DistributionがEnterprise向けに実装する日がくれば、ユーザーの利益は計り知れない。File構造の簡単なMacユーザーにとってはなおさらのことである。