しかし、忙しい氏とスケジュールが合わず、止む無くメールでのインタビューとなった。氏はCloudscalingの共同設立者であり、現在CEOだ。その一方で、多くの人がBias氏をOpenStackのEvengelistだと考えている。それは彼の永年のオープンソースへの貢献、そして到来したクラウド時代の主唱者としての活動が素晴らしかったからだ。勿論、氏はOpenStack Foundationのボードメンバーでもあるし、プロジェクト発足時からの関わりは深い。氏は以前、同社と同じサンフランシスコが本拠のクラウドプロバイダGoGridの技術戦略担当VPをしていたことがある。この時代の彼の仕事を覚えている人は多い。彼はGoGridをよりオープンなクラウドにするため、全APIをOpen Licenseとして公開した。その後、RackspaceやVMware、Sunなどが同じ流れに続いたのは有名な話である。そして2006年、Cloudscalingが動き出した。
=Cloudscalingの生い立ち=
同社の初期について、氏はこう語った。会社設立後、しばらくは模索し、そして大企業やクラウドプロバイダ向けのプロフェッショナルサービスを手掛けた。その中にはクラウドプロバイダのEngine Yardや仮想化技術のVMwareも含まれていた。特に記憶に残っているのは、2010年末から始まった韓国初のパブリッククラウドKT uCloudだという。このシステムはCloudStackベースとして日本では知られているが、実際には2010年から始まったOpenStackのSwiftも持ち込まれている。コンピュートはCloudStackだが、ストレージはOpenStackという構造だ。これは時間的な流れから生じたものである。さらに翌2011年初めには、米国内でRackspace以外で初めてOpenStack Swiftを採用したInternapのストレージクラウドを手掛け、同9月にはコンピュートNovaも適用した。そして同じ2011年にはAT&Tのクラウドも動き出した。まさにOpenStackのプロフェッショナル軍団である。
=エラスティックなOpenStackクラウドが必要だ!=
こうしてCloudscalingの初期ビジネスは成功した。2012年からは、それまでの経験を活かしたOpenStackのプロダクトビジネスへと進展。氏はクラウドには2つのタイプがあるという。“Enterprise Virtulization Cloud”と“Elastic Cloud”だ。簡単に言えば、下図から解るようにEnterprise Virtulization Cloudはこれまでの企業アプリを単に仮想化されたクラウドに乗せるだけのもの。一方、Elastic Cloudは水平にスケールアウトするクラウド向けに開発されたアプリ用のものである。具体的な対応クラウドは、前者はVMware vCloud Hybrid Serviceであり、後者はAmazon Web ServiceやGoogle Compute Platform(GCP)、Microsoft Azureなどだ。この新クラウドアプリにとって、「障害対策とスケールアウト」は命である。レンタルビデオからオンライン配信に転身した米最大手のNetflixは、このクラウドネイティブアプリの代表だ。彼らはアップタイム99.95%のAmazonを利用しているが、エラスティック型アプリの作り込みによって、99.99にも99.999%にもすることが出来る。エラスティックなアプリは障害に即座に反応し、生きているプラットフォームで業務を継続する。つまり、スケールアウトの拡張性と障害対策は表裏一体の関係にある。これこそOpenStackベースの彼らの製品目標だ。
=オープンクラウドシステム(OCS)とは!=
Bias氏のOpenStackに賭ける情熱は凄い。
氏はターゲット顧客をFortuneリスト企業に定めた。これらの顧客は既にAmazonやGoogleなどのパブリッククラウドを利用している。このためOpenStackを売り込むにはハイブリッド化が必要だ。クラウドアプリのためのスケールアウトとフェールオーバー、さらにハイブリッド化を成し遂げなければならない。沢山の作業が必要となった。氏の開発部隊が手掛けたのは、Bin Packing Scheduler、CinderベースのAmazon EBSやS3/Swift対応、EC2のClassic Networking ModelをエミュレートしたNova Layer 3プラグイン、Amazon VPC(Virtual Private Cloud)をエミュレートしたNeutronのVPCやSDNプラグイン、さらにAWSやGCPの設定などだ。
この基本となる新しいアーキテクチャはOCS(Open Cloud System)という。
OCSは勿論100% OpenStack API準拠だ。そして、RightscaleやSCALR、Dell Cloud Managerを利用して、AWSやGCE(Google Compute Engine)とハイブリッド化を可能とする。氏はハイブリッドクラウドの実現にはAPIだけでなく、他の要素の整合性も重要だとし、このようなプロバイダ交渉もOCSを使うことで有利に進めること出来ると説明する。氏はまた、プライベートハイブリッドOCSの導入費用は、初期を除いた2年目以降のTCOで、パブリッククラウドの約半分程度だと推測する。これらOpenStackを用いたOCSへのアプローチ、OCSの技術、その効果などについては以下のビデオを参照されたい。
氏はターゲット顧客をFortuneリスト企業に定めた。これらの顧客は既にAmazonやGoogleなどのパブリッククラウドを利用している。このためOpenStackを売り込むにはハイブリッド化が必要だ。クラウドアプリのためのスケールアウトとフェールオーバー、さらにハイブリッド化を成し遂げなければならない。沢山の作業が必要となった。氏の開発部隊が手掛けたのは、Bin Packing Scheduler、CinderベースのAmazon EBSやS3/Swift対応、EC2のClassic Networking ModelをエミュレートしたNova Layer 3プラグイン、Amazon VPC(Virtual Private Cloud)をエミュレートしたNeutronのVPCやSDNプラグイン、さらにAWSやGCPの設定などだ。
この基本となる新しいアーキテクチャはOCS(Open Cloud System)という。
OCSは勿論100% OpenStack API準拠だ。そして、RightscaleやSCALR、Dell Cloud Managerを利用して、AWSやGCE(Google Compute Engine)とハイブリッド化を可能とする。氏はハイブリッドクラウドの実現にはAPIだけでなく、他の要素の整合性も重要だとし、このようなプロバイダ交渉もOCSを使うことで有利に進めること出来ると説明する。氏はまた、プライベートハイブリッドOCSの導入費用は、初期を除いた2年目以降のTCOで、パブリッククラウドの約半分程度だと推測する。これらOpenStackを用いたOCSへのアプローチ、OCSの技術、その効果などについては以下のビデオを参照されたい。
Cloudscalingのこれまでのクラウドユーザは、10社。内2社はFortune15以内の大企業である。実システムとして見ると、それらは600台以上のサーバ(8,000コア+)で9PBのストレージという大型のものだ。そして、現在さらに、同社が手掛けているのは2社、これもFortune 15の顧客だ。それら新OCS適用システムが動き出すのも遠くない。