Mirantis、日本では馴染みがないがOpenStackの最強SI軍団である。
久しぶりに車を走らせMountain Viewに向かう。該社の道の向かいはHonda Research Instituteだ。Mirantisは社員数約520名、ほとんどがエンジニア。ここシリコンバレーには顧客対応のフロントエンジニアが多く、エンジニアリングのバックオフィスはロシアとウクライナにある。彼らのOpenStackに賭ける意気込みは大したものだ。
=Mirantis OpenStackの強み!=
ともかく、同社は徹底したOpenStack企業だ。その力はOpenStackのコンサルから教育・構築支援までをフルカバーする。企業がOpenStackを導入しようとする際、躊躇する点は2つ。ひとつはこれまでのエンタープライズシステム同様の開発運用が出来るかという不安。もうひとつはバージョンアップだ。OpenStackは成長途上にあり、さらにコンポーネントが多岐にわたるため、一般企業のIT部門には負担が大きい。ここにSuSEやUbuntu、Red Hat、HPがディストリビューションを手掛ける理由がある。しかしそれだけでは十分ではない。実はデプロイメントが厄介なのだ。同社はOpenStackをコアに独自開発のFuelを用意し、さらに3rdパーティなどのドライバやプラグインを加えたディストリビューションMirantis OpenStack(最新版5.0)を整備。これを顧客にコンサルティングと共に提供している。OpenStackには運用管理のダッシュボードHorizonがあるが、FuelはOpenStackの各種設定などのデプロイメントを自動化する。これを利用すれば初期設定はあっという間に終わり、しかも内部的に自動チェックが行われて正確に出来てしまう。またFuelにはOpenStackデプロイ後や運用時にも使うことのできるHealth Check機能も備えている。
ともかく、同社は徹底したOpenStack企業だ。その力はOpenStackのコンサルから教育・構築支援までをフルカバーする。企業がOpenStackを導入しようとする際、躊躇する点は2つ。ひとつはこれまでのエンタープライズシステム同様の開発運用が出来るかという不安。もうひとつはバージョンアップだ。OpenStackは成長途上にあり、さらにコンポーネントが多岐にわたるため、一般企業のIT部門には負担が大きい。ここにSuSEやUbuntu、Red Hat、HPがディストリビューションを手掛ける理由がある。しかしそれだけでは十分ではない。実はデプロイメントが厄介なのだ。同社はOpenStackをコアに独自開発のFuelを用意し、さらに3rdパーティなどのドライバやプラグインを加えたディストリビューションMirantis OpenStack(最新版5.0)を整備。これを顧客にコンサルティングと共に提供している。OpenStackには運用管理のダッシュボードHorizonがあるが、FuelはOpenStackの各種設定などのデプロイメントを自動化する。これを利用すれば初期設定はあっという間に終わり、しかも内部的に自動チェックが行われて正確に出来てしまう。またFuelにはOpenStackデプロイ後や運用時にも使うことのできるHealth Check機能も備えている。
=Ciscoの考え方とWebEx Cloudの事例=
Renski氏は同社がこれまで手掛けてきたOpenStack関連作業は100社に近いと言う。中でも特筆はCiscoとの協調関係だ。Cisco傘下のWebExの切り替えは勿論彼らの仕事。Webカンファレンスシステムは今でこそ多様化されたが、WebExこそ市場を切り開いてきた元祖である。このムーブメントを仕切ったのはCiscoクラウド部門CTOのLew Tucker氏だ。氏はクラウドの世界では有名な人物だ。Sunから当時まだASPと呼ばれていたSalesforceに移り、衰退気味の同社CRMにアプリケーションのマーケットプレイスAppExchangeを考え出して見事に復活させた。その後、Sunに戻りSun OpenCloudを指揮。SunのOracle買収後、しばらくしてCiscoのクラウド責任者として迎えられた。また現在、Tucker氏はOpenStack FoundationのボードVice Chairとしても活動し、Mirantisの2人とは昵懇の仲である。この活動を通して、CiscoがMirantisとの関係を築いてきたことは想像に難くない。個人的なことだが、以前からTucker氏のことは好きだった。カンファレンスで何度も彼の話を聞く度に、彼が見ている技術の先、そして広さに関心した。特にSunのOpenCloud時代の彼のビジョンと今のOpenStackが重なって見えるから不思議だ。以下のビデオではCisco ONEの考え方、そのベースとなるOpenStack、さらにWebExの適用事例を見ることが出来る。
=PayPal、そしてeBayの場合=
OpenStackに乗り換えた企業の中でPayPalの場合も参考になる。PayPalは知っての通り、TeslaとSpaceXを興したElon Musk氏が仲間と興した会社だ。その後、2002年、eBayに買収されて子会社となった。eBayの狙いはオークション取引の決済をPayPalで行うもので、この目論見は見事に成功。このため、2つはシステムとしても密接な関係にある。実際のところ、OpenStackプロジェクトがスタートしたのはPayPalが先だった。その後、両社のPlatform Operationが統合されて、共にOpenStack化に向かった。PayPalによるOpenStackプロジェクトの試行は2012年秋。限定されたアプリで6週間テストが行われ、その後パイロットシステムが動き出した。昨年4月からは複数センターへの展開、さらに開発やQA、管理用などのサブシステムをOpenStackに移行。現在、PayPalの全ワークロードの20%近くが新たなOpenStackプラットフォームで稼働しており、当面、80%まで引き上げる予定だ。
=成功の秘訣!=
OpenStackコミュニティは急拡大し、現在、約16,200人、世界138ヶ国から382社が参加している。これはLinux Foundationの 185社と比べ2倍に近い規模だ。Renski氏によると、ここベイエリアにはMirantis主導でOpenStackのトレーニングなどを行う約 2,000名のユーザグループもある。OpenStackビジネスの成功は人材だ。そのための人材育成には努力を惜しまない。そして自社エンジニアによるOpenStackプロジェクトへのコントリ ビューション。これらが上手く回りだせばユーザもついてくる。その経験から生み出されたFuelやコンサルティングサービス。これらはまさに理想的なeCo Systemとなった。これこそOpenStackビジネス成功の秘訣である。日本市場の開発も動き出した。