そして、とうとう正確なAWSの財務内容が明らかになった。これは今年1月、昨年度決算発表時のカンファレンスコールで約束したものだ。これまでこのブログでも2011/3、2014/10とAmazonクラウドの売り上げについて言及した。しかし、これまでの数字は、AWSは「その他(other)」の項に含まれ、推測の域を出なかった。そんな中、昨年3Q決算では、Amazon本体がインフラ投資の先行で赤字となって、AWSへの投資なども不安視された。
=昨年度売り上げは$4.6B(約5,500億円超)!
今回、これらの不安を払しょくするかのような数字が出た。
発表されたデータはかなり詳細だ。Q1 2015 Financial Result(Fig.1)を見ると、昨年度の四半期別売り上げと収益が解る。2014年度のAWS売り上げは$4.644B(約5,573億円…120円/$)。そして、今年1Q売り上げは$1,566M(約1,880億円)、年間伸び率は49%となった。
- 1Q=$1,050M(売上)/$245M(収益)
- 2Q=$1,005M/$77M
- 3Q=$1,169M/$98M
- 4Q=$1,420M/$240M
- 1Q/2015=$1,566M/$265%
Fig.1) Q1 2015 Financial Result |
Fig.2) Q4 2014 Financial Result |
=AWSはスピンオフ出来るか?=
決算発表時、CEOのJeff Bezos氏は、今年、AWSは$5B(約6,000億円)ビジネスになり、まだまだ成長すると宣言した。1Qの数字で見る限り、前期より収益は7.5%増加し、営業利益率(Operating Profit Mergin=利益÷売上)も16.9%と好調だった。昨年度を振り返ると、1Qは$245M(利益)/23.3%(売上利益率)、その後はもたつき2Qは$77M/7.7%、3Qは$98M/8.4%、4Qは持ち直して$240M/16.9%となり、昨年度の利益合計は$660M(790億円)、年間営業利益率は14.21%である。
業界筋はスピンオフの準備は整いつつあると見る。
調査会社Synergy Reserchの報告によると、2014年度のクラウドインフラサービス市場は推定で$16B(1兆9200億円)、AWSはその約30%を占めている。もし年内にスピンオフ、そして株式公開となれば、知名度の一段の向上だけでなく、資金調達も楽になり、今後一層の飛躍が期待できる。発表のあった4月23日、木曜日のAmazonの終値は$389.99、市場が閉まった後のAWS財務公表で、その後、7%跳ね上がり$416.50となった。