=ミニマルOSを目指すRancherOSの試み!=
さて同社が今年7月に発表したRancherOS βは、Dockerを効率よく稼働させるミニマルOSである。この小型OSの市場には既にCoreOSやSnappy Ubuntu Core、さらにRed HatのProject AtomicからはRHELだけでなく、FedoraやCentOSなども出て、ひしめき合っている状態だ。これらに打ち勝つために、RancherOSは、ブートに特別な仕組みを持ち込んだ。通常、Linux機に電源を入れると、ブートローダーがカーネルを呼び込み、次にプロセスID(PID) 1で initプログラムが起動する。しかしRancherOSではここですぐにSystem Dockerが読み込まれ、その上で各種サービスを実行する。これらは初期ルートファイルのinitrd(initial ram disk)に相当し、そのサイズはたったの20MBだ。この仕組みによってRancherOSは5秒以内で起動ずる。CoreOSが100MB以上なので、RancherOSが如何に小さいかが解る。ユーザアプリはというと、System Dockerが持つUser Dockerサービスが作成するコンテナー上で稼働する。
=ストレージ向けConvoy、ELKスタックも!=
Rancher Labsにとって今年の夏は忙しかった。6月中旬にβを発表すると、1か月後、すぐにDockerCon 2015だ。デモ、プレゼンの毎日だ。そして8月に入るとMesos対応、さらに8月12日、Docker 1.8が出た。この1.8では前回のリリースでは試験的なサポート(Experimental Support)となっていたストレージのコンシステンシーを保つVolume Pluginが正式リリースとなった。Rancher Labsだけでなく、このシリーズで既に触れたコンテナー向けSDSのPortworxやClusterHQ(詳細はここ)などがこれを組み込むべく猛烈に働いている。Rancher LabsがRancher Convoyを発表したのは8月19日。これを使えば、コンシステントなボリュームを作成し、例えばAmazonS3のバックアップをそれに採ったり、リストアが可能となる。季節が秋となり、9月17日には、Elasticの開発した検索エンジンElasticsearchとログ収集のLogstash、フィルタリングのKibanaを統合したログ管理システムをELK Stackとしてリリース。同社にとって、今年の秋は実りの多いことが予感される。