McKinseyの報告ではIoTの経済効果は$6.2T、そしてConnected Devicesは推定で20-30B Unitsに達するという。今回は最近発表されたスタートアップの製品とHP Enterprise(HPE)のIoT製品を見てみよう。
=Dojo-Labs=
11月19日、イスラエルのスターアップ、とは言っても現在は本社がサンフランシスコのDojo-Labsがステルスモードから抜け出た。そして、コネクテッドホームセキュリティーデバイス(Connected Home Security Device)を発表。しかしこれはホームセキュリティー市場の主力である監視カメラではない。ホームネットワーク上にあるPCやスマホ、スマートTVなどの異常なふるまいを見つけて、ネットワークレイヤーで防止するものである。販売される製品はボックス型の制御装置とブックウェイトのようなこぶし大の卵型のデバイス。対象となる予防機器には何もインストールする必要が無い。
Dojoボックスをまず既存のWiFiルータに接続。これでホームネットワーク上の全てのトラフィックはDojoを経由する。Dojoボックスはこれらのトラフィック監視やネットワーク上の機器をスキャンし、もし問題が見つかると卵型デバイスのライトが点滅して知らせてくれる。後はスマホでDojoとチャットすれば何が起きたのかが解るという仕組みだ。このようにDojoは家庭向け警備保障システムをITネットワークに適用した形態で、ユーザに設置されたDojoボックスは同社のDojo Cloudに接続され、絶えず新しいセキュリティー情報を取り込んで自己学習しながらホームネットワークを守る。現在は事前登録販売予約の段階で出荷は2016年3月の予定だ。
HPE Edgeline System 10/20 |
=IoTとはEC/CEとエンタープライズの融合!=
さて、IoTについて思うことがある。我々はIoTというと、とかく末端(エッジ)となるデバイスに目が向けられがちだ。しかし、エッジの多様化も大事だが、本当に重要なことは膨大なエッジから吐き出される情報をどのように加工して利用するかということである。この辺りの整理ために、まずはエッジの進化について見てみよう。ひとつは今回のHPE製品のように産業機械をエッジとする場合。これは、既設機器に情報発信機能がなければセンサーやアクチュエータを付加して利用する。このタイプの対象は、タクシーや宅配などの車両、ブルドーザなどの土木機械、工場の各種工作機械や製造装置、物流システムなど挙げたら切りがない。これらは本来スタンドアローンである。これら末端をコンピュータ化したものをEdge Computerization(EC)と呼ぼう。もうひとつは新しいタイプのCE(Consumer Electronics)だ。最近のウェアラブル端末や各種ロボットのように、既存製品がなく、新たに生まれ出たものである。これらECやCEタイプをIoTのフロントとすると、次にネットワークを介したバックエンドがある。この分野はこれまであまり議論がなかった。新たに生まれ出たCEタイプのエッジは当然のことながら、ネットワークやバックエンドを初めから考えている。しかしECタイプはそうではない。これをどのように効率的にバックエンドと融合させるか、簡単なようで意外と複雑だ。CEタイプには市場開発の大きな夢があるが、ECタイプこそ実効果の高いIoTの本命である。その意味でHPEの発表したEdgelineはひとつの回答だと思う。よりエッジに近いところで前処理をし、それらがネットワーク化を構成してバックエンドのITシステムと融合する。そのためにはエッジに付随するセンサーやアクチュエータとのインターフェース、各工場や物流拠点に設置するエッジ用ミニサーバー仕様、それらを結ぶネットワークとのプロトコルなどを配慮しなければならない。勿論、End to Endのセキュリティーは必須となる。始まったばかりのこの分野の動きを注視したい。
International or Nation-wide IoT Network |