2016年3月9日水曜日

2016年エンタープライズクラウド調査!

2012年設立の若い.アナリストハウスClutchから興味あるクラウド調査が発表された。2016 Enterprise Cloud Computing Surveyである。回答があったのは従業員100人以上の中規模から大企業までの300社だ。以下、同社の調査とコメントを参考に纏めてみた。

=どのクラウドが良くと使われているか!=
企業は実際のところ、どのクラウドサービスを利用しているのか。今回の調査では、Microsoft Azureがトップの23%、Amazon Web Servicesは22%、Google Cloudが21%、そしてIBM Cloudが17%と続いた。IBMがやや遅れているものの、これらトップ4社で83%を占める状況だ。残りはOracleがERPアプリを中心に6%、VDIを武器とするCitrixが5%、VMwareはvShpereプライベートとハイブリッドとなるvCloud Airで3%となった。

ここで、お馴染みのSynergy Research報告を引用しよう。
昨年7月時点のSynergy Research Report(左下)では、Big Fourプロバイダーは同じだが、順序がが違う。AWSが30%で独走し、Microsoft Azureが10%で追い、そしてIBMは7%、Google5%の順だった。それら4社」の総計は約54%だ。さらにBig Fourの勢いを経年で比べてみると、2013年は41%、2014年が46%と年を経る毎に強くなっていることが解る。しかしClutchとSynergy Research調査の違いは何に起因するのだろうか。多分、母集団の大きさや特性によるものと思われる。つまり、ClutchよりSynergy Researchの調査対象が大きいと推察される。また、Amazonは使い易さや機能面で優れているが、そのこととは別に、自社アプリがMicrosoftやIBM製品との依存度が高ければ、それらを選ぶ傾向にある。

=効率性が最大のベネフィット!= 
さてクラウドに対するユーザ各社のベネフィットとは何か。
各社のトップ3を集計すると、1位となった効率向上(Increased Efficiency)は全体の約半分となる47%だ。次いでセキュリティが45%、3位はデータストレージで41%の順となった。1位となった効率性とは、まさにクラウド特有の拡張性や柔軟性の賜物であり、3位のデータストレージは、比較的重要度の低いものを中心に利用が進んでいることをうかがわせる。しかし2位のセキュリティは意外だった。クラウドに対する精神的なセキュリティ不安が薄れ、一方で中小企業にとっては、オンプレのセキュリティで頭を悩ますより、整備が進んだクラウドの方が総合的に上なのかもしれない。

=クラウドのファイルストレージが人気!=
次は各社がどのような仕事でクラウドを使っているのかだ。
それによると、70%がファイルストレージとダントツとなった。2位はバックアップ/ディズアスターリカバリー62%、3位はアプリ開発で50%、アプリテスト/開発が46%、以下、モビリティー、コラボレーションの順だ。直接のファイル利用だけでなく、バックアップや障害対策(Disaster Recovery)などの利用が圧倒的である。次いでアプリの開発やテスト。こうしてみると、アプリ開発やテストはクラウドだが、本番業務は依然としてオンプレで実行し、ストレージとして利用できるのもはクラウドに出すという状況が見て取れる。

=社内人材によるクラウド適用か外部専門家の利用か!=
さて実際のクラウド適用に当たって、自社IT部門が独自で行うか、 外部コンサルティングなどを使うかを決めなければならない。調査では53%が外部を利用し、自社内は47%となった。まさに賛否両論である。パブリックにしろ、プライベートにしろ、外部企業を利用すれば、程度の差こそあれロックインは避けられない。一方、自社だけでは不安もある。大手コンサルティング会社は費用がかさみ、中小は色が付いているという悩みがある。


=2016年のクラウド費用は!=
費用についてはどうだろうか。今年度のクラウド費用については、90%の企業が前年並みか増加すると回答した。もっとも多かったのは、昨年度より11-30%増加するとした企業で全体の42%、次いで前年並みが27%、31-50%の伸びが予想されるとした企業が14%、50%以上の増加予定は7%となった。前年より低減すると回答した企業も7%あった。