=地図情報の戦い!Google Maps .vs. HERE=
オートノマスビークルにとって地図情報は命綱と言っても良い。
地図がカーナビ(英語ではHead Unit、以下HU)のナビゲーションに重要なのは言うまでもないが、地図上には建造物やショップ、ガソリンスタンドなど多様な情報が示されて便利このうえない。イスラエルのスタートアップで人気のコミュニティー交通情報サイトWazeもGoogle Mapsに組み込まれた。これを使えば、取締り情報や道路の込み具合などコミュニティーメンバーが提供した情報をもとにベストなルート選択が出来る。そして地図情報のもうひとつの重要な役割が自動運転だ。地図は今や3Dマップとなり、HD(High Definition)の航空写真やストリートビューを付帯する。LiDARで得た認識情報を高度な3Dマップに重ね合わせれば、どの道路のどのレーンを走っているのか、さらにその先のレーン状態も分かる。オートノマスビークルは、夜間でも、雨や雪などの悪天候でも自分の位置を正確に見極めなくてはいけない。そのための重要な道しるべが進化した3Dマップだ。Googleはこの地図分野のトップランナーである。つまり各社がオートノマスビークルを開発しても、このままではGoogleに牛耳られてしまう。対抗策として、昨年8月、Nokiaの地図情報部門HEREをDimlar、BMW、Audiの3社が$3B(約3,000億円)で買収して、独立会社として運営し、均等に情報提供を行うことが発表された。日経の報道ではToyotaにも出資の打診があったが断った模様である。
=Android Autoはカーナビ(HU)の標準を目指す!=
GoogleはこのGoogle Mapsを強力な武器に仕上げようと考えている。
核となるのはAndroid Autoだ。流れを追ってみよう。2014年1月、Googleの主導で、Audi、GM、Honda、Hyundaiの自動車メーカー4社、そしてGPUのNVIDIAが賛同してOpen Automotive Allianceが動き出した。目的はAndroidスマホの成功モデルを自動車にも持ち込み、車にもAndroidプラットフォームを適用しようというものである。同年3月、Appleからまず車載InfotainmentのCarPlayが登場し、5月のGoogle I/O 2014では、アライアンスの成果としてAndroid Autoが姿を現した。CarPlayはiPhoneを使い、Android AutoはAndroid、共にスマホとHU(カーナビ)を連携させるテレマティックスである。この2つが発表されると、HU各社は、これらに淘汰され、彼等自身は単なるハードウェアの提供屋になるのではないかと危惧した。それから2年、それは現実のものになりつつある。今年のGoogle I/OでAndroid Autoは強化された。狙いは、優位に立つMapsを使い、より完全で標準なナビゲーションシステムに仕立てることである。以下のビデオを見ると、操作性の向上や3rdパーティーアプリの統合、各種のカスタマイズ方法などが解る。実際の画面(下)の下段には、左から、Maps、TEL、インフォメーション、ミュージック、ダイアグノスティックの5つのボタンがある。Mapsは勿論、ナビゲーション用だ。表示は運転の安全性を考慮してスマホより簡素化された。表示マップ上の建物などをタップすれば、詳しい情報を知ったり、電話もかけられる。インフォメーションボタンは現在聞いている音楽や家までの距離、天気予報などをタイル表示し、次のステップへタップもできる。音楽を聞くアプリやインターネットラジオを選び、プレイさせるにはミュージックボタン。ダイアグノスティックボタンはメーカー対応だが、タイヤの空気圧などの診断のためだ。
=カーナビ(HU)はガラパゴス携帯と同じだ!=
国によってHUの事情は異なる。まず、Android Autoが狙うのは米国市場の標準となることだ。これが出来れば、主導権を奪うことが出来る。現在のHUの仕様を見ると、OSはLinuxやQNX、Windows Embedded、Androidなど多様だ。アプリも独自のものや3rdパーティーものが彼らの判断で組み込まれ、ナビゲーションに至っては、そのインプリも様々である。しかも、車の純正品では、全ての仕様の決定権は自動車メーカーが持ち、市販品(英語ではAfter Market)ではHU各社が持っている。まさに携帯メーカーと大手のキャリアが共同で作り上げてきた日本のガラパゴス携帯と同じ構図だ。Googleの戦略が功を奏し、Android Autoが標準プラットフォームとなれば、その上でメーカーの独自アプリや3rdパーティーアプリが統合される。こうなれば、Androidスマホと同様、そのメリットは計り知れない。そして、HUメーカー各社はAndroid Auto仕様のハードウェアの進化にのみ、しのぎを削ることになる。
=ToyotaとBMWは積極的ではない?=
この流れを作り出したOpen Automotive Alliance(OAA)は、Androidスマホを成功させたOpen Handset Allianceがモデルである。OAAは2014年始めGoogleを入れてたった6社でスタートした。それから半年後のGoogle I/O 2014で29パートナー(ブランド)となり、現在は66パートナーと急増している。
◆ カーナビ(HU)メーカーは殆どが参加
HUを主体としたテクノロジーパートナーはGoogleを含めて以下の20社。この中で日本のHUメーカーは7社。他はHarman(米)、LG(韓)、Parott(仏)の3社だけ。現在のところ、市場では日本勢に圧倒的な存在感がある。課題は今後Android Autoを全面的に採用するかである。そうなれば市場構造が大きく変わる公算が大だ。
Alpine、Clarion、Cloudcar(Self Driving Solution)、Continental(Tire)、Delphi(Parts)、Denso(HU & Parts)、Freescale(Semiconductors)、Fujitsu Ten、Harman、JVCKenwood、LG、MediaTek(Semiconductors)、Magneti Marelli(Parts)、NVIDIA(Semiconductors)、Panasonic、Parott、Pioneer、RENESAS(Semiconductors)、Visteon(Parts)
()内は当該企業の製品分野を示す。()無しはHU専業企業。
◆ 自動車メーカーも勢ぞろい
自動車メーカーもOAAの参加には積極的だ。
現時点でメーカーの参加を車のブランドでカウントすると46となる。実際には1社で複数ブランドを持つので、社数はこれよりも少ない。世界の殆どの自動車がOAAに名を連ねている。ここに名前がないのはToyota(Toyota、Lexus)とBMW(BMW、Mini)だけだ。BMWがAppleと特別な関係にあることは知っている。OAAには加盟していないものの、BMWは対外的に、Apple CarPlayが先(今年後半出荷)で、次にAndroid Autoをサポートすると報道されている。しかし、OAAには直系のDensoが参加しているけれど、気になるのはToyotaだ。Goolgeによれば、Android Autoは、7月13日から日本にも投入され、当初はAudi、Honda、Nissan、Maserati、Panasonic、VWが対応するという。
Abarth、Acura、Alfaromeo、Audi、Bentley、Buick、Cadillac、Chevrolet、Chrysler、Citroen、Dodge、Driveds、Fiat、Ford、Genesis、GMC、Holden、Honda、Hyundai、Infiniti、Jaguar、Jeep、KIA、Lamborghini、Landrover、Lincoln、Mahindra、Maserati、Mazda、Mersedes-Benz、Mitsubishi、Nissan、Opel、Peugeot、Ramtrucks、Renault、Renaultsamsungm、SEAT、Skoda、SsangYong、Subaru、Suzuki、Tata、Vauxhall、Volkswagen、Volvo。
以上は冒頭お断りしたようにあくまでも私見である。
昨年、Android Autoには、送信されるデータにプライバシーの不安があるという声があった。Googleはこれに関して公式に否定しているが、他にも課題があるのかもしれない。HUの主導権を得たいGoogle。鍵を握るのは純正品の仕様決定権を持つ自動車メーカーがどう動くかである。
国によってHUの事情は異なる。まず、Android Autoが狙うのは米国市場の標準となることだ。これが出来れば、主導権を奪うことが出来る。現在のHUの仕様を見ると、OSはLinuxやQNX、Windows Embedded、Androidなど多様だ。アプリも独自のものや3rdパーティーものが彼らの判断で組み込まれ、ナビゲーションに至っては、そのインプリも様々である。しかも、車の純正品では、全ての仕様の決定権は自動車メーカーが持ち、市販品(英語ではAfter Market)ではHU各社が持っている。まさに携帯メーカーと大手のキャリアが共同で作り上げてきた日本のガラパゴス携帯と同じ構図だ。Googleの戦略が功を奏し、Android Autoが標準プラットフォームとなれば、その上でメーカーの独自アプリや3rdパーティーアプリが統合される。こうなれば、Androidスマホと同様、そのメリットは計り知れない。そして、HUメーカー各社はAndroid Auto仕様のハードウェアの進化にのみ、しのぎを削ることになる。
=ToyotaとBMWは積極的ではない?=
この流れを作り出したOpen Automotive Alliance(OAA)は、Androidスマホを成功させたOpen Handset Allianceがモデルである。OAAは2014年始めGoogleを入れてたった6社でスタートした。それから半年後のGoogle I/O 2014で29パートナー(ブランド)となり、現在は66パートナーと急増している。
◆ カーナビ(HU)メーカーは殆どが参加
HUを主体としたテクノロジーパートナーはGoogleを含めて以下の20社。この中で日本のHUメーカーは7社。他はHarman(米)、LG(韓)、Parott(仏)の3社だけ。現在のところ、市場では日本勢に圧倒的な存在感がある。課題は今後Android Autoを全面的に採用するかである。そうなれば市場構造が大きく変わる公算が大だ。
Alpine、Clarion、Cloudcar(Self Driving Solution)、Continental(Tire)、Delphi(Parts)、Denso(HU & Parts)、Freescale(Semiconductors)、Fujitsu Ten、Harman、JVCKenwood、LG、MediaTek(Semiconductors)、Magneti Marelli(Parts)、NVIDIA(Semiconductors)、Panasonic、Parott、Pioneer、RENESAS(Semiconductors)、Visteon(Parts)
()内は当該企業の製品分野を示す。()無しはHU専業企業。
◆ 自動車メーカーも勢ぞろい
自動車メーカーもOAAの参加には積極的だ。
現時点でメーカーの参加を車のブランドでカウントすると46となる。実際には1社で複数ブランドを持つので、社数はこれよりも少ない。世界の殆どの自動車がOAAに名を連ねている。ここに名前がないのはToyota(Toyota、Lexus)とBMW(BMW、Mini)だけだ。BMWがAppleと特別な関係にあることは知っている。OAAには加盟していないものの、BMWは対外的に、Apple CarPlayが先(今年後半出荷)で、次にAndroid Autoをサポートすると報道されている。しかし、OAAには直系のDensoが参加しているけれど、気になるのはToyotaだ。Goolgeによれば、Android Autoは、7月13日から日本にも投入され、当初はAudi、Honda、Nissan、Maserati、Panasonic、VWが対応するという。
Abarth、Acura、Alfaromeo、Audi、Bentley、Buick、Cadillac、Chevrolet、Chrysler、Citroen、Dodge、Driveds、Fiat、Ford、Genesis、GMC、Holden、Honda、Hyundai、Infiniti、Jaguar、Jeep、KIA、Lamborghini、Landrover、Lincoln、Mahindra、Maserati、Mazda、Mersedes-Benz、Mitsubishi、Nissan、Opel、Peugeot、Ramtrucks、Renault、Renaultsamsungm、SEAT、Skoda、SsangYong、Subaru、Suzuki、Tata、Vauxhall、Volkswagen、Volvo。
以上は冒頭お断りしたようにあくまでも私見である。
昨年、Android Autoには、送信されるデータにプライバシーの不安があるという声があった。Googleはこれに関して公式に否定しているが、他にも課題があるのかもしれない。HUの主導権を得たいGoogle。鍵を握るのは純正品の仕様決定権を持つ自動車メーカーがどう動くかである。