2009年7月17日金曜日

Microsoftから Azureの価格とプライベートクラウド計画

MicrosoftはNew Orleansで開催(7/13-16)の「Worldwide Partner Conference 2009 」において、Windows Azure Platformの価格とプライベート化について言及した。周知のようにAzureは昨年11月の「Professional Developer Conference 2008-PDC」で発表され、現在は無償で利用できるCTP(Community Technology Preview)の段階にある。つまりEarly Versionのα版だ。本来なら今後の計画はやはり今年のPDC(11/17~19)で発表が行われるべきだったが、IBMやSunの動きが逼迫し、今回の事前概要説明となった。


まず、11月のPDC 2009でWindwos Azureは正式版(β)となり、有償サービスとして公開される。この説明を正確に理解すると、上図でプラットフォームとなる「Windows Azure」と「SQL Azure」、「.NET Services」の3つが商用の正式版となる模様だ。プラットフォームとなるAzureの基本料金はCompute Serviceが$0.12/時間(Amazon EC2のSmall Instanceは$0.10/時)、Storage Serviceは保存が$0.15/GB/月(Amazon S3は最初の50TBまでが$0.15/GB/月 )となって、Amazonを意識した価格体系となっている。さらにStorage更新などは1万回当たり$0.01となり、バンド幅は30日単位でIn/Outの総量に対して課金される。ただ、今回、詳細な説明はなかったがCompute Serviceでは、開発やテスト段階はInstanceの扱いを変え、料金が最小化されるようだ。このようにAzureではUtility Chargeが基本となるが、企業向けにSubscriptionやVolume Licenseなども発表される見通しである。




次にRelation DBを扱えるSQL Azureは、最大1GBまでを扱うことが出来るWeb Editionが月額$9.99、10GBまでのBusiness Editionが$99.99。.NET ServicesではService Busを流れるメッセージやAccess Contorol Tokenなどを1万回単位でメータリングして$0.15の課金となる。



次にプライベートクラウドに関する言及があった。
MicrosoftはこれまでAzureは同社が運営するパブリッククラウドであり、On-Premiseの運用は出来ないとしていきた。しかし、今回、これを変更した。他社の動きから迫られたものだが、Windows Server 2008、Hyper-V、System Centerなどの最新環境のもとで「Dynamic Data Center Toolkit for Enterprise」をリリース予定だという。これは現在テスト中のホスティングパートナー向け「Dynamic Data Center Toolkit」を転用するように見える。現在、Microsoftはデータセンターを各所に建設中だが、Azureでは間に合わず、世界的にホスティングパートナーを展開し、これらにToolkitを適用して、Windows Azureサービスを計画している。提供されたドキュメントによると企業向けは2010年上期リリース、今のところ無償提供の予定だとしている。問題はサポートパートナーをどう構築するかだが、あと1年しかない。Microsoftにとって、企業ユーザーの手厚いサポートは以前から課題だった。いよいよ本命の大手ITベンダーによる戦いが始まろうとしている。

-Azureの適用地域-
Azureサービスは、今年11月の正式発表に伴い、世界21ヶ国Australia, Austria, Belgium, Canada, Denmark, Finland, France, Germany, Ireland, India, Italy, Japan, Netherlands, New Zealand, Norway, Portugal, Spain, Sweden, Switzerland, UK, United States)でスタートする。その後、2010年3月には16ヵ国(Brazil, Chile, Colombia, Czech Republic, Greece, Hong Kong, Hungary, Israel, South Korea, Malaysia, Mexico, Poland, Puerto Rico, Romania, Singapore, Taiwan)が追加、以降も暫時拡大の予定。