今回(2回目)は、両社に関連するPlateSpinという製品を紹介しよう。
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PlateSpin はVMwareの古くからのパートナーで、物理環境と仮想環境を相互移動させる運用管理ツールを開発、2008年2月にNovellが買収。子会社となっ たPlateSpinは、その後、人材の流出などが続いたが、やっとNovellとの調整が軌道に乗り、落ち着きを取り戻しつつある。そして Microsoftとの共同マーケティングを開始した。「Workload Management ;PlateSpin with Hyper-V」だ。
仮想化システムを企業が導入する場合のシナリオは幾つか考えられる。
例えば、利用率がバラバラな既存サーバー群を統合したり、リースアップや老朽化したサーバー、さらにはWindows NTなどの古いシステムを仮想マシンに移行させるなどである。
PlateSpinの主要機能は2つ。
「PlateSpin Recon」と「PlateSpin Migrate」だ。
まずPlateSpin Reconは、仮想化計画(Virtualization Planning)とキャパシティー計画(Capacity Planning)を担当し、データセンター内の仮想化システムを描き出す。PlateSpin Migrateは、これを受けて、任意の環境間のワークロード移動と再配置(Anywhere to Anywhere Workload Migration & Relocation)による運用管理を実行する。
基本的な仕組みは、物理サーバー(Physical Server)と仮想マシン(Virtual Machine)間の移動をイメージアーカイブ(Image Archive)と呼ばれるフォーマットに変換して行われる。これはDMTFによるクラウド運用の標準化-5/7/2009掲載-で述べたOVF(Open Virtualization Format)と同じアイデアだが独自仕様である。
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「PlateSpin with Hyper-V」を前提に、少し、丁寧に見ていこう。
ま ずPlateSpin Reconは、既存のLinuxやWindowsサーバー群のリソース利用状況を測定し、Hyper-Vを用いたWindows Server 2008上で統合するためのデータを供給する。収集データは、カスタマイズやドリルダウンなども可能だ。これらのデータから統合シナリオを作成。それらか ら最適なものを選び出すために、Capacity Planningを用い、Workloadがどのように変化するかを確認しながら作業を進める。最終的にベストなものを見極めるのは、運用管理者の仕事 だ。さらに、実際の移行前に、統合による消費電力の削減予測も確かめることができる。
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次 にPlateSpin Migrateは、最新のHyper-V搭載Windows Server 2008上に32/64bitのWindows NTや2000、XPなどのWorkloadを移して実行させる。これがStep 1だ。Step 2では、移行が期待通りか、本番サーバーへのインパクトに異常はないかを確かめる。さらにStep 3では、旧システムから仮想マシンへの移行やテスト期間中のデータをPlateSpinのServer Sync機能を用いて同期化させる。これで本番開始となる。
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7月14日、Novellから最新版のPlateSpin 8.1がリリースされた。
このバージョンから、LinuxとWindowsに加え、Solaris 10のサポートが開始される。
またPlateSpinには「PlateSpin Protest」と「PlateSpin Orchestrate」もある。
PlateSpin Protestは、PlateSpin Migrateの実行環境のレプリケーションを作成するDisaster Recovery用であり、これがあれば、容易に他の仮想システムで代行することが出来る。PlateSpin OrchestrateはNovellのシステム管理「ZenWorks」を吸収したものだ。クラウドの登場で、これまでのシステム管理製品は何がしかの 対応を迫られている。Novellは自社のZenWorksをPlateSpinに統合させ、一方でMicrosoft System CenterにSUSEを対応させた。そしてMicrosoftもPlateSpinと歩調を合わせ、次の段階に入ろうとしている。