2009年10月20日火曜日

企業向けパブリッククラウド市場予測
-Enterprise Public Cloud Adoption- 

調査会社のIDCから昨年に続き、企業向けPublic Cloudの市場予測が発表された。
対象となったのは、①アプリケーション・ソフトウェア(Application Software)、②アプリケーション開発/適用ソフトウェア(Application Development and Deployment Software)、③システムインフラ・ソフトウェア(Systems Infrastructure Software)、④ディスクストレージ、⑤サーバーの5つのカテゴリーである。

下段の昨年度調査と比べて、大きな変化は見られない。
昨年度(2008年)の全世界のIT総経費$383.274Bに対し、企業利用の外部クラウド(Enterprise Public Cloud Computing)は4%に当たる$16.235Bだった。そして5年後の2012年には総IT経費$493.713Bに対し、9%の$42.270Bと増加する。Enterprise Public CloudのCAGRは27%という見通しだった。

今回の調査では今年度(2009年)の全世界IT総経費が約$376B、対してEnterprise Public Cloudは$17.4Bとなって、昨年調査と同様に4%となる。5年後の2013年には、総IT経費が約$493B、Enterprise Public Cloudは$42Bとなって9%を占め、CAGRでは27%の成長となる。

このように昨年と今年の調査で大きな変化は見られず、依然としてCloud Computingは底堅いというのが結論のようだ。5つのカテゴリーを5年間の推移でみると、数字ではアプリケーションが49%から38%に減って、アプリケーション開発/適用ソフトウェアが10%から13%へと伸びる。この変化で考えられるのは、想像の域を出ないが、Cloud Computingのうち、SaaSが頭打ちとなり、IaaSやPaaSが伸び始めるという予想だ。
次いで、インフラソフトは20%と変わらず、ハードウェアではサーバーがやや増加(12%→15%)、ディスクは大きく増加(9%→14%)する。



以上のように、Enterprise Public Cloud Computingは堅調に推移しそうだが、5年後の10%という数字が大きいか、小さいのかの判断は難しい。何故なら、Enterprise Private Cloud Computingがどうなるのかが気にかかるからだ。


-参考-
最後に、この調査の前提となった『Cloud Serviceとは何か』について、IDCの定義を紹介する。
①Shared Standard Service-1ユーザーではなく公共のマーケットを創造するものであること、②Solution-Packaged-必要なリソースを統合したターンキーとして提供できること、③Self Service-アドミン/プロビジョニングがセルフで出来、オンボードのサポートがあること、④Elastic Scaling-動的な拡張性を持っていること、⑤Use-Based Pricing-メータリングのよる利用量払いであること、⑥Accessible via the Internet/IP-インターネット経由でユビキタス利用が可能なこと、⑦Standard UI Technologies-標準のBrowserやRIA(Rich internet Application)が利用されていること、⑧Polished Service Interface/API-洗練されたインターフェースやAPIがつかわれていること。