しかし、競争激化と共にフロントエンドの独自性確保は難しく なってきた。そこで今回は、ハードウェアを上手く使った差別化の例を考えて見たい。
-Backblazeが考え出した低価格ストレージ ポッド-
シリコンバレーのスタートアップBackblazeが凄いことを考え出した。
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Backblazeが掲げた勝ち抜くための条件-それは月5㌦の使用料金で容量制限なしにすること-。これでなければ戦いに勝てない。しかし、この目標達成のためにはSunやDellを利用しても届かない。もう自分たちで作るし かない。そして決断した。出来上がったストレージはBackblaze Storage Pod。
全てのコンポーネントを市販製品で調達し、4Uシャー シーにマウントして組み上げた。ディスクドライブはSATA仕様のSeagate製1.5TBを45個搭載し、エンジンはLinuxで稼動するPCマザー ボードにIntel Core 2 Duo(3.33GHz)+4GBメモリー、それにIOカードやパワーサプライなど。ソフトウェアはDebian 4にJFS File Systemを載せ、HTTPSでアクセスする。これで容量は67TB(terabyte)、実費費用は7,867㌦だ。SunやDell比では約1/8、EMCやS3に比べると約1/24となった。これなら勝てる。
Backblazeのバックアップは丸ごとコンピュータで構わない。たったクリック3つで完了だ。これにはOSやアプリケーションなどは含まれないが、USBやFireWrite接続のドライブ、外付けディスクなどもバックアップの対象となる。ひとつのファイルの最大サイズは4GBまでだ。もしWebからのリストア用ダウンロードが面倒なら、全てのバックアップは、DVDかUSBハードドライブをFedExで送ってくれる。同社の狙うマーケットは個人ユーザーからスモールビジネス、さらにIT部門の目の届かない企業内部門だ。何処よりも廉い費用でバックアップを提供する。そのために開発したBackblaze Storage Pod仕様も公開した。興味ある仲間とより廉価で高性能なストレージ開発に繋げたいという。
-ZettaByteのNASゲートウェイ・クラウドストレージ-
ZettaByte Sto
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クラウドストレージの競争は激しい。
大手企業ユーザーの動きは まだまだ鈍いが、一般ユーザー市場には大きなニーズがある。人々は多様なデバイスに囲まれ、それらの同期化やファイル保管に困っているからだ。そして、同 じ現象が小規模ビジネスにも出始めている。クラウドストレージを上手く使いこなし、かつ、コスト削減が出来れば大きなメリットとなる。そのためにはプロバ イダイーによるフロントエンジンの工夫だけでなく、今回、紹介したのようなハードウェアを取り込んだアプローチは見逃せない。考えてみれば、他のIT機器 がこれだけ下がっているのにストレージの価格は異常に高い。構成上の非互換性、ライセンス費用など一昔前のコンピュータのようである。クラウドコンピュー ティングでは、これまでメインストリームにいなかったAmazonなどのプレイヤーが主役になった。同様に、ストレージクラウドでもプロプライエタリーベ ンダーを凌駕するプロバイダーが出て来たことは嬉しい限りだ。