2010年2月22日月曜日

使い道、様々なクラウドストレージ
                        ・・・Cloud Storage(3)

前回はビジネスマンに人気のDropboxと若者向けZumoDriveを紹介した。
そのZumoDriveはHPと提携、その技術をHPに提供することになった。こうして現れたのが今年1月から始まったHP製Netbook搭載のHP CloudDriveである。Dellの場合はずっと早く2008年秋からBox.net(後述)と提携してBox.net Dellを提供している。ともあれ、人々は色々なインターネット接続デバイスを持ち歩く時代となった。それは便利ではあるが、一方で不便さもある。クラウドはそれらを統合して、様々な使い方を提供してくれる。今回はさらに特徴あるクラウドストレージを紹介しよう。


-大きなファイルをeメールで簡単に送れる2Large2Email-

ラージファイルの送信に困ったことがあるなら2Large2Emailが便利だ。自分のeメールアドレスとパスワードでログイン、後はeメールを書く要領で、相手先eメールアドレス、サブジェクト、本文、そして自分のPC内にあるファイルを指定すればOKだ。相手先にはダウンロードするURLが届く。サインアップすれば最大200MBまで無償、しかも7日間はクラウドに保管され、100回のダウンロードが可能だ。100MB以内、送信先が1人、7回のダウンロードまでならノーサインアップでも出来る。有償なら最大は20GBまで、クラウドストレージは50GBまでだ。同様のサービスにはMailBigFileyousenditなどがある。


-親しみやすいインターフェースのBox.net-

2005年の設立以来、多くのユーザーを掴んでいるのはBox.netだ。
Box.netの最大の特徴は解り易いユーザーインターフェースと親しみ易さ。ホルダーやファイル管理、ファイルの操作はドラッグ&ドロップ、お馴染みのものばかりだ。しかし、慣れてくると、複数ファイルを同時にアップしたり、ファイルのタグ付け、iGoogleのガジェットがあったり、Zohoと連動が出来たり、なかなか気が利いている。グループ内のファイルシェアも簡単、そのままリンクをeメールできる。それに公開APIを使えば、Box.netストレージをバックエンドにしたSalesforce.comのアプリケーションもできる。Box.netの設計コンセプトはCCM-Cloud Content Management 。ビジネスファイルやホビーファイルの自由なアップ&ダウン、編集/コメント付け、コンテンツと他ビジネスサイトの連携、仲間だけでなく、社内ネットワークやパートナーのPCやモバイルからのアクセスもできる。Box.netは親しみ易いが奥が深い。どこまでやるかはユーザー次第だ。JungleDiskADriveも同じようなサービスを提供している。


-リアルタイムなファイルシェアリングでコラボが出来るDrop.io-

Drop.ioはコラボレーション用ファイルシェアリングサービスだ。だからリアルタイムである。無償版の利用にはユーザー登録は無く、drop.ioにアクセスしてユーザーに与えられるURLからユニークなものを作る。これがコラボ用の
クラウドストレージの場所だ。仲間にこのURLを知らせ、相手もdrop.ioに同一のURLでアクセスすればコラボの始まりだ。1人がテーマ写真をアップするとリアルタイムで相手の画面にも現れ、コメントも書けるしチャットも出来る。勿論WordやPower Point、PDFなどの各種文書や音楽、ビデオでも構わない。文書の場合はiPaper(後述のScribd提供)のFlashビューワー、音楽やビデオはFlashプレーヤーが対応する。またPCだけでなく、iPhoneやAndroidからでもOKだ。コラボの条件となるファイルの自動同期化ならNomadeskSyncplicityだって出来る。


-何でもメモって整理するEvernote-

オンラインでメモを取る世界にはGoogle NotebookMicrosoft OneNoteがある。しかしシリコンバレーのEveroneは素晴らしい。FirefoxやIEのアドオンを入れればWebのクリップは簡単だ。EveroneならWebクリップ、Word /Excel、PDF、ホビーの音楽や画像なんでもアップロードしてメモることができる。メモの管理はノートとタグ。新しいノートにタイトルを付けて、その中に関連情報を何でも入れれば良い。タグ付けも整理には便利だ。検索だってできる。ノートの中のアップ情報はサムネイルも見れるので画像ならアルバム代わりにもなるし、WindowsやMac OSは勿論、iPhone、Android、BlackBerryなどの日本語版(一部プレビュー)も出始めた。情報過多のビジネスマン、PCに向かって勉強する学生、モバイル好きの若者、もうEveroneなしでは生きられない。


-ドキュメントのYouTube版Scribd-

安心できるドキュメント共用サイトならScribdだ。Flashビューワーで扱えるファイルは.doc、.pdf、.txt、.ppt、.xls、.ps、.litなど。勿論、検索やMy Docs管理、投票、ダウンロード、Webの埋め込みなどYouTubeにそっくりだ。この種のサイトには著作権問題が付き纏う。投稿者は法準拠が原則だが、同サービスでは問題となる内容を登録したデータベースCMS(Copyright Management System)を導入し、アップの都度チェックする。完全ではないけれどまずは安心だ。このため一般投稿者だけでなく、研究者や企業、出版社の投稿も大幅に進み、それらの販売のScribd Storeも開設した。まるでAmazonのデジタル書籍販売と張り合うようだ。要の技術はFlashベースのiPaperだ。このビューワーはリッチフォーマットの文書形式をデジタル表示するものだが、タイトル表示から好みのページに飛んだり、ページめくり、フルスクリーン表示、投稿促進にAdSensの埋め込みなど、多芸である。競合サイトにはDocstocIssuuなど。


以上見てきたように、クラウドストレージには様々なフロントエンジンがある。
まだまだあるが、これだけサービスがあるということは市場の将来性があるということだ。しかし、一方で生存競争も激しい。Box.netやZumoDriveは大手ベンダーと提携、JungleDiskやMozyは買収されて大手の傘下となった。彼等の場合は幸いというべきかもしれない。これからはしっかりした特長と優位性が試される。