2010年11月7日日曜日

MicrosoftとGoogleのクラウドバトル!

MicrosoftとGoogleのクラウドバトルが激しくなってきた。
両社共にクラウド型のオフィスサービス、Microsoft Office 365Google Apps for Businessを武器に、米国内の州政府や大規模地方自治体に売り込みを強 化してきた。

◆ Office 365で巻き返しを図るMicrosoft
Microsoftの場合、米国市場ではこれまで企業向け生産性向上オンラインサービス -BPOS(Business Productivity Online Services)-を提供してきたが、先月、10月中旬、サービス強化に伴い、Office 365とリブランドした。このOffice 365(現在はβ版)は先行するGoogleへの対抗である。Office 365は、全てがクラウドベースで、ユーザーが使い慣れたMS Office Suiteに加え、Exchange Online、SharePoint Online、Lync Onlineが含まれている。ここでExchange OnlineとはExchangeメールサーバーのホスティングサービスであり、コラボ用のSharePoint Onlineも同様、Lync OnlineはIMやAudio/Videoを統合したSocial Networkingのホスティングである。そして、Office 365にはSmall Business向け、Enterprise向け、Education向けの3つがある。

Microsoft はこれを武器に積極的に公的機関の攻略を開始した。
New York市やCalifornia州、Minnesota州などだ。10月末に発表されたNew York市の場合は、これまで市がOffice SuiteやExchangeなどでMicrosoftに払っていたライセンス料を、クラウドオンラインを利用することで最大$50M(1㌦100円換算で50億円)削減することが可能だという。California州でもMicrosoftと の調整が進み、最大関連職員20万人の利用が見込 まれる。これより先、Minnesota州がMicrosoftとの長期間取引を発表したのは9月末のことである。見込まれる職員は33,000人だ。し かし、これら3つの契約に共通することは、州や市の財政難からのWebサービス採用であり、実際の移行には、職員の新しいサービスの習得や反応、外部の市民や企業との関連などがあって容易ではない。当面、すぐに手が付けられるのはメールサーバーの切り替えだけのようである。

このような州政 府や市の費用削減対策は、Microsoftにとっても、これまでのライセンス収入が大きく落ち込む。しかしGoogle Appsとの対抗上、手をこまねいて入られない。損を承知の取引である。そして3つのディールでMicrosoftが勝ち得たのは、慣れ親しんだOffice SuiteのWeb版というだけでなく、“Single Tenant”サービスにあるようだ。
つまり、Googleのように相乗りの“Multi Tenant”ではなく、企業単位に囲われた安全なサービスが好感を持って受け止められた模様である。

◆ Googleの場合
一方のGoogleは、オフィス分野のオンラインサー ビスで先行し、教育関係で多くの実績をあげてきた。アリゾナ州立大学、南カリフォルニア大学、ジョージワシントン大学、ミネソタ大学、ブラウン大学、ノーザンウェスタン大学、サンノゼ・シティーカレッジ、バージニ ア・コミュニティーカレッジなどだ。さらに2008年には、首都Washington DCでMicrosoftの牙城からGoogle Appsの導入に成功した。これに尽力したのは当時、Washington DCのCTOだったVivek Kundra氏で、彼はこの実績から昨年3月、連邦政府のCIOに抜擢され、 USA.govやData.gov、そして、連邦政府の“総合クラウドポータル-Apps.gov”の構築に手腕を振るってきた。Washington DCの場合、まだMicrosoft ExchangeからGmailには全面切り替えに至っていないが多くの    職員が活発に利用している。
次にGoogleが手がけたのは米西海岸最大の都市Los Angels市だ。
このシステムは職員や関連の人 たち3万人が利用するGoogle Apps最大規模となった。これらの契約には、住民情報の厳格な管理のための工夫や障害対策などが細かに記載されている。

◆ Web時代の到来
いずれにしても、オフィス業務はいよいよWeb時代に 突入したようだ。
これにはユーザーの再教育や慣れの問題がつきまとうが、企業や団体にとってはコスト削減に大きく寄与する。クラウドがこのような 形で日常業務に定着し、一方でデータセンター内の複雑な業務がクラウドで動き出せば、大きな経済効果となる。目下の不況打開策のひとつに、クラウドが大き な位置を占めていることは間違いないだろう。