事情が他とは違い、その方向性も異なるように思えたからだ。本稿ではそのあたりを筆者の推測を交えながら探ってみようと思う。
=Googleクラウドは本業と共通の基盤だ!=
このところ、日本でもGoolge
Cloud Platform(GCP)の人気が高まりを見せ、GCP認定トレーニングコースやユーザーグループのGCPUGが盛んになってきた。振り返れば、GoogleがApp Engineを発表したのは2008年4月のこと。PythonベースのWebアプリ開発用だった。これは本業で利用しているものを一般化したものだ。その時も今もGoogleは自社用とクラウドビジネス用を特別に分けることはしない。それが彼らの流儀である。このような環境によって得られるGCPのアドバンテージは、何と言ってもGoogleが持つデータやサービスとのリアルタイムインテグレーションだ。さらにグローバル展開のデータセンタを高速で繋ぐファイバーネットワークGoogle Fiber、そしてGoogle Global Cacheによって高速コンテンツデリバリーも保証されている。ユーザとクラウドアプリはまさにGoogleシステムと一体化され、巨大なセンターとなって動き出す。
Googleクラウドが現在の名称Google Cloud Platformとなったのは2012年5月。最新の機能は以下の通り。 ● Compute Compute Engine/App Engine/Container Engine
● Storage Cloud SQL/Cloud Storage/Cloud Datastore
● Networking Load Balancing/Interconnect/Cloud DNS
● Big Data BigQuery/Cloud Dataflow/Cloud Pub/Sub
● Services Translate API/Prediction API/Cloud Endpoints
● Management Cloud Deployment Manager
=Googleは新事業展開に賭ける!=
他クラウドプロバイダーの快進撃に隠れて、Googleはやや元気がないのではという声もある。そうだろうか。あのGoogleがこのまま流される筈はない。彼らの動き全体を観察するためにスパンを少し引き延ばしてみよう。そうすれば全体の流れが見えてくる。
◆ Google Checkout ・・・ まず思い出すのはGoogleがeCommerceに向けて発表したGoogle Checkoutだ。2006年6月のことだった。これは店頭からオンラインへと販売手法が変わり、その決済代行のPayPalを追って投入したサービスだ。使用できるカードはクレジットとデビット(キャッシュ)で事前登録が必要。初期は無料、その後は低手数料を武器にGoogle Playや様々な販売サイトに適用されたが、出遅れがたたってPayPalの足元にも及ばなかった。
◆ Google Shopping ・・・ 次にGoogle Shoppingについて説明しよう。この歴史は長い。2002年末から始まったFroogleが最初だ。FroogleはGoogle得意のWeb Crawlerを使ってベンダサイトから商品データを集め、AdWordsでマネタイズしたものだ。その後Google Product Searchと改称。2012年には、AdWordsからベンダサイトへの広告誘導方式に変更してGoogle Shoppingとなった。現在、このサービスは日本も含め世界20数ヶ国で提供されているが、これもパッとしない。そしてついにGoogle Shopping Expressが登場した。
◆ Google Express ・・・ 2013年3月、Googleは同日配送(Same Day Delivery or Overnight)のオンラインショッピングGoogle Shopping Express(その後Google Expressに改称)を発表。このシステムは迅速配送のAmazon Primeに対抗するもので、サンフランシスコとサンノゼで実験システムがスタートした。Google Expressサイトに提携小売業者の商品を掲載し、利用者は商品をカートに入れた後、Google Walletで決済する。以前、シリコンバレーに住んでいた筆者にとって、エレクトロニクスのFry'sや食品スーパーのNob Hill、スポーツ用品のSports Authorityなど懐かしい店が並んでいる。滑り出しは上々で、昨年10月には小売業者(右)を増やし、適用エリアもシカゴ、ボストン、ロスアンジェルス、マンハッタン、ワシントンD.C.に拡大した。この同日(ないしオーバーナイト)配送サービスを受けるには会員とならなければならない。先行するAmazon Primeは年会費が$99、学生は$49。これに対し、Google Expressではやや低く$95/年、ないし$10/月。学割は無し。ただ会員でなくても都度$4.99を支払えば同一サービスを受けられる。アルコール類は非会員が$3プラス、会員は¢10追徴される。
=目指すはGoogle Commerceか!= ◆ Google Express ・・・ 2013年3月、Googleは同日配送(Same Day Delivery or Overnight)のオンラインショッピングGoogle Shopping Express(その後Google Expressに改称)を発表。このシステムは迅速配送のAmazon Primeに対抗するもので、サンフランシスコとサンノゼで実験システムがスタートした。Google Expressサイトに提携小売業者の商品を掲載し、利用者は商品をカートに入れた後、Google Walletで決済する。以前、シリコンバレーに住んでいた筆者にとって、エレクトロニクスのFry'sや食品スーパーのNob Hill、スポーツ用品のSports Authorityなど懐かしい店が並んでいる。滑り出しは上々で、昨年10月には小売業者(右)を増やし、適用エリアもシカゴ、ボストン、ロスアンジェルス、マンハッタン、ワシントンD.C.に拡大した。この同日(ないしオーバーナイト)配送サービスを受けるには会員とならなければならない。先行するAmazon Primeは年会費が$99、学生は$49。これに対し、Google Expressではやや低く$95/年、ないし$10/月。学割は無し。ただ会員でなくても都度$4.99を支払えば同一サービスを受けられる。アルコール類は非会員が$3プラス、会員は¢10追徴される。
Amazonの設立は1994年、書籍販売から始まり、徐々に商品を拡大してきた。遅れること実に10年超。幾つかのトライアルと改良を経て、Google戦略の姿が見えてきた。オンラインシステムの開発経験からクラウドに進出したAmazon。Googleは検索のためのプラットフォームを改良しながらその上でクラウドを提供し、そしてコマースビジネスを模索してきた。一般情報はGoogleで検索し、商品はAmazonで検索する人たちが増えている。これはGoogleにとって積年の課題である。今やTwitter BuyボタンやFacebook Buyボタンによるトライアル販売も始まった。果たして、Google Walletと組み合わせたGoogle Expressは成功するだろうか。専門家の目は、ラストワンマイルの配送に注がれている。ここをどうするかが今後の勝負だ。Amazon物流の基本は、大小物流センターを全米に配置し、そこからは3PLを利用する。しかしこれではダメだ。そこで昨年末、マンハッタン地区で日本でいうバイク便のような1時間配送Amazon Prime Nowが始まった。さらに今年はドローン(小型無人飛行機)を利用した30分以内の配送サービスAmazon Prime Airを目指すという。一方、Googleのアプローチは堅実だ。日本の宅配便のように、カバーエリアに小型物流センターを数多く配置してエコカーデリバリーを推進する。Googleはここ数年で全米中小3PLの組織化や買収を進め、物流の世界に躍り出るかもしれない。そして得意のIT技術を使い、Google ExpressのエコカーがMapsやAndroidと連携し、さらには鋭意開発中の自動運転技術Google Driverless Carと組み合わされて走り回る日も遠くない。