報じたのはCRNだ。周知のように、2010年RackspaceはNASAと共にOpenStackを始め、元祖としてOpenStackベースのクラウドサービスを提供するプロバイダーである。Amazonが市場をリードし、MicrosoftやGoogle、IBMが追撃する厳しい市場にあって、独自路線を貫いてきた。ただ同社は、既報1、2、3のように2年前の2014年5月、投資会社をハイヤーしてホワイトナイト探しをした経緯がある。その時は、良縁が見つからず、その後はサービスを武器に多面的な提携戦略を推進してきた。
CRNによると、今回の買収は大手テックジャイアントだという。
候補にあがっているのは、Amazon、Microsoft、HP、そしてIBMだ。このニュースが流れた3月31日以降、下図のように同社株は上昇に転じた。ただこれには4月6日に発表されたGoogleとRackspaceが参加するOpenPOWERの影響も重なっている。4月6日現在、$23.65だ。しかし同社株は、昨年の今頃は50㌦前後、5月13日には$43に急落し、その後もだらだらと下げ続け、今年の2月11日には$16.76まで下げた。こういう状況が今回の噂の背景になっている。
CRNによると、今回の買収は大手テックジャイアントだという。
候補にあがっているのは、Amazon、Microsoft、HP、そしてIBMだ。このニュースが流れた3月31日以降、下図のように同社株は上昇に転じた。ただこれには4月6日に発表されたGoogleとRackspaceが参加するOpenPOWERの影響も重なっている。4月6日現在、$23.65だ。しかし同社株は、昨年の今頃は50㌦前後、5月13日には$43に急落し、その後もだらだらと下げ続け、今年の2月11日には$16.76まで下げた。こういう状況が今回の噂の背景になっている。
ただ、今回も条件が折り合わず事業をそのまま継続するということも大いにありうる。Rackspaceの業績は決して悪くない。売り上げも利益も順調に伸びている。2015年度は年間売上げが$2B(2,200億円…$1=¥110換算)に達し、年間成長率は14%となった。問題はそのスピードだ。トップを走るAWSは昨年度売り上げ$7.9B、年間成長率69%、売り上げはRackspaceの約4倍、成長率は5倍である。このままでは離されるばかりで、いずれ潰されてしまう。
まったくの私見だが、今回の買収があるとすれば、最有力はAmazonかMicrosoftのように思う。CRNの候補に挙がっていたHPとIBMは過去にもチャンスがあった。IBMが2013年にSoftLayを買収した際にはRackspaceも俎上に挙がっていたし、HPは2014年のRackspace主導によるホワイトナイト探しの際も候補だったが、HPはEucalyptusを買収した経緯がある。余程のことがなければこの2社の再挑戦はないだろう。残るはAmazonとMicrosoftだ。Rackspaceは既に両社と提携して、定評ある徹底的なサービスのFanatical Supportを提供している。Rackspaceからこのサービスを受けながらAWSやAzureを使うユーザーは確実に増えている。直接のサービス部門を持たないAmazonとMicrosoftにとって、Rackspaceは欲しいに違いない。もしAmazonが手に入れれば一段と飛躍し、市場はAmazonの天下となるのは確実だ。またMicrosoftが獲得すれば、完全にAWSは射程圏内となる。いずれにしても、ここ1-2週の問題である。