過日、4月7日に“Rackspaceに買収の噂!”という記事を書いた。
確かな情報筋の話と実際の株価上昇が連動したためである。しかしハプニングは起こらなかった。ただAmazonやMicrosoftが食指を動かしたのは事実らしい。その後の情報を整理すると、同社は完全なトランジション期に入ってきたようだ。戦略の再度の転換である。
=AzureとAWSとのサポート提携、そしてGoogleとは共同開発へ=
確かな情報筋の話と実際の株価上昇が連動したためである。しかしハプニングは起こらなかった。ただAmazonやMicrosoftが食指を動かしたのは事実らしい。その後の情報を整理すると、同社は完全なトランジション期に入ってきたようだ。戦略の再度の転換である。
=AzureとAWSとのサポート提携、そしてGoogleとは共同開発へ=
初めてクラウドが登場したのは2006年3月のこと。AmazonがS3を発表し、同8月にはEC2が始まって本格的なクラウド時代が到来した。
◆ 第1ラウンド … 1stランナーとして!
同年、Rackspaceはクラウド実験事業Mossoをスタートさせ、これがリブランドして現在のRackspace Cloudとなった。2010年7月には、RackspaceからオブジェクトファイルのSwift、NASA AmesからはコンピュートのNovaがそれぞれ寄贈されて、オープンソースのOpenStackプロジェクトがスタートした。以来、Rackspaceは常にクラウドのあるべき姿を考えながら成長してきた。しかしAmazonやMicrosoft、Googleの本気度が増すにつれ、徐々に引き離された。独立系の悲しさである。ここまでが第1ラウンドだった。
◆ 第2ラウンド … ホスティングサービスへ!
第2ラウンドでは、劣勢を挽回するために、戦いの軸足をホスティングサービスへ移した。強力なIT部門を持たないユーザー企業に対するサービスだ。Rackspaceは元々Webホスティングの会社と始まった。そのアプローチをクラウドに適用したものである。結果は良好だった。それでも、AmazonやMicrosoftの成長は早く、差は縮まるどころか離される一方となった。
◆ 第3ラウンド … AWS、Azureとの共存の道!
考え抜いた末に採った戦略は大手競合との提携だった。これが第3ラウンドのサインである。まず、昨年7月、同社とMicrosoftの提携が何とWall Street Journalの記事となった。それだけ衝撃的だったからである。内容は同社がこれまでホスティングで培ってきたサービスをMicosoft Azureにも適用するというものだ。つまり、自社の持つ高度なクラウド向け構築サービスをRackspaceクラウドではなく、Azureクラウド上で提供する。さらに昨年9月には、同社とAmazonとの提携が再度同紙に出た。RackspaceはAWSやAzureのための要員を増やし続けた。課題は2つ。この戦略は「ビジネスになるのか」、「要員のモチベーションは大丈夫か」だ。 発表後、市場の好意的な反応とは裏腹にビジネスは思うように進まなかった。しかし今年に入って好転し、5月9日の1Qカンファレンスコールで、状況が見えてきた。AWSのユーザは今年1月までに100社、その後、4月までに187社と伸び、Azureユーザも同期間で89社から178社へと拡大した。この戦略のために、RackspaceはCTP(Cloud Technology Partner)を用意した。自社エンジニアだけでなく、ユーザの要望にあったクラウドをAWSやAzure上に構築する外部パートナーによる実働部隊である。要員モラルについても問題はなさそうだ。Forbesが毎年発表している働きや易い会社ランキングAmerica’s Best Employersによると、「IT, Internet, Software & Services」部門に、同社が初めて参加した2008年度は32位、昨年度(2015年)は5位に躍進したからだ。カンファレンスコールでCEOのTaylor Rhodes氏はこの戦略に自信を持っていると語った。
◆ Googleとはサーバー共同開発 !
これとは別に、Googleとの関係も深まり出した。これまでRackspaceはGoogle Apps for Workのサポートを手掛けてきたが、4月6日、今度はIBMの主催するOpenPOWER Foundationのメンバーとして、Googleと共同でPower9搭載サーバーを開発していることを公表した。Googleによると、Googleが開発したクラウド関連システムの殆どがすでにPower9に対応しており、設定を変えれば新サーバーで今にでも動き出すという。
=出口戦略!=
RackspaceはEXITを真剣に考えている。2014年のホワイトナイト探しは大々的に報道された。それからちょうど2年、もはやRackspaceは競争の激しいパブリッククラウドには固執していない。4月7日には、プライベートクラウド向けのOpenStack everywhereを発表。これはHosted OpenStack Private Cloudである。これでRackspaceのトランジション戦略は概ね終わった。AmazonもMicrosoftもサポート要員はのどから手が出るほど欲しい。彼らのクラウドへのサポート提供を武器に買収話が出るのか、意外とGoogleとの関係から新たな芽が出るのか、それは解らない。ただ、Rackspaceの軸足は徐々にサービスカンパニーへと移動し、新しい活路を模索している。
◆ 第1ラウンド … 1stランナーとして!
同年、Rackspaceはクラウド実験事業Mossoをスタートさせ、これがリブランドして現在のRackspace Cloudとなった。2010年7月には、RackspaceからオブジェクトファイルのSwift、NASA AmesからはコンピュートのNovaがそれぞれ寄贈されて、オープンソースのOpenStackプロジェクトがスタートした。以来、Rackspaceは常にクラウドのあるべき姿を考えながら成長してきた。しかしAmazonやMicrosoft、Googleの本気度が増すにつれ、徐々に引き離された。独立系の悲しさである。ここまでが第1ラウンドだった。
◆ 第2ラウンド … ホスティングサービスへ!
第2ラウンドでは、劣勢を挽回するために、戦いの軸足をホスティングサービスへ移した。強力なIT部門を持たないユーザー企業に対するサービスだ。Rackspaceは元々Webホスティングの会社と始まった。そのアプローチをクラウドに適用したものである。結果は良好だった。それでも、AmazonやMicrosoftの成長は早く、差は縮まるどころか離される一方となった。
◆ 第3ラウンド … AWS、Azureとの共存の道!
考え抜いた末に採った戦略は大手競合との提携だった。これが第3ラウンドのサインである。まず、昨年7月、同社とMicrosoftの提携が何とWall Street Journalの記事となった。それだけ衝撃的だったからである。内容は同社がこれまでホスティングで培ってきたサービスをMicosoft Azureにも適用するというものだ。つまり、自社の持つ高度なクラウド向け構築サービスをRackspaceクラウドではなく、Azureクラウド上で提供する。さらに昨年9月には、同社とAmazonとの提携が再度同紙に出た。RackspaceはAWSやAzureのための要員を増やし続けた。課題は2つ。この戦略は「ビジネスになるのか」、「要員のモチベーションは大丈夫か」だ。 発表後、市場の好意的な反応とは裏腹にビジネスは思うように進まなかった。しかし今年に入って好転し、5月9日の1Qカンファレンスコールで、状況が見えてきた。AWSのユーザは今年1月までに100社、その後、4月までに187社と伸び、Azureユーザも同期間で89社から178社へと拡大した。この戦略のために、RackspaceはCTP(Cloud Technology Partner)を用意した。自社エンジニアだけでなく、ユーザの要望にあったクラウドをAWSやAzure上に構築する外部パートナーによる実働部隊である。要員モラルについても問題はなさそうだ。Forbesが毎年発表している働きや易い会社ランキングAmerica’s Best Employersによると、「IT, Internet, Software & Services」部門に、同社が初めて参加した2008年度は32位、昨年度(2015年)は5位に躍進したからだ。カンファレンスコールでCEOのTaylor Rhodes氏はこの戦略に自信を持っていると語った。
◆ Googleとはサーバー共同開発 !
これとは別に、Googleとの関係も深まり出した。これまでRackspaceはGoogle Apps for Workのサポートを手掛けてきたが、4月6日、今度はIBMの主催するOpenPOWER Foundationのメンバーとして、Googleと共同でPower9搭載サーバーを開発していることを公表した。Googleによると、Googleが開発したクラウド関連システムの殆どがすでにPower9に対応しており、設定を変えれば新サーバーで今にでも動き出すという。
=出口戦略!=
RackspaceはEXITを真剣に考えている。2014年のホワイトナイト探しは大々的に報道された。それからちょうど2年、もはやRackspaceは競争の激しいパブリッククラウドには固執していない。4月7日には、プライベートクラウド向けのOpenStack everywhereを発表。これはHosted OpenStack Private Cloudである。これでRackspaceのトランジション戦略は概ね終わった。AmazonもMicrosoftもサポート要員はのどから手が出るほど欲しい。彼らのクラウドへのサポート提供を武器に買収話が出るのか、意外とGoogleとの関係から新たな芽が出るのか、それは解らない。ただ、Rackspaceの軸足は徐々にサービスカンパニーへと移動し、新しい活路を模索している。