2011年の初頭にあたって、クラウド市場がどのように動くのかを予測した記事を紹介
したい。しかし、クラウド以前に、ハイテク全体がどう動くのか、それも気になるところだ。
◆ 2011年、シリコンバレーのハイテク予測
そこで、まず、シリコンバ レー地元紙「San Jose Mercury」のハイテク人気コラムニストChris O'Brien氏の2011 Predictionsを見てみたい。彼はざっくばらんで、ユニークな語り口と解説が持ち味、そして、いつも意外な真実を知らせてくれる。この記事はハイテク全般であること、また、シリコンバレーとの関わりにポイントが置かれていることに留意されたい。
#1: Facebookのユーザーが10億人を超える!
- Facebook will pass 1 billion users
現在のユーザーは5.5億人だ。そして、1日あたり70万人づつ増えている。このペースで行けば今年中に8億人になる計算だ。しかし、もっとペースは速まる可能性は高いよ。だって、Mark Zuckerberg(CEO)はTime誌の 「2010年、今年の人(Person of the Year 2010)」だからね。
#2: Yahoo!のCEO Carol Bartz女史が辞める?
- Yahoo! CEO Carol Bartz will be replaced
AutoDeskの元CEO Carol Bartz女史がJerry Young氏の後を受けてYahoo!のCEOに就いたのは昨年1月のこと。しかし、女史がYahoo!のミッションを明確に出来ないことは明らかだ。これはボードにとっては良いことかもしれないね。CEOを代える理由ができたから。ところで、元eBay CEOのMeg Witman女史(昨年11月、潤沢な資金でカリフォルニア州知事選にでるも不法移民のメイドさんの扱いが公表されて惜敗)が仕事を探しているって... どう思う。
#3: HPがSAPを買うかも!
- Hewlett-Packard will buy
HPがSAPを買収する気がする。この取引はOracleのLarry Ellison氏がもじもじしているHPの評判を引き裂こうとしていることへの対応さ。Ellison氏は、多分、HPがこんなことをしないように願ってるね。SAPはOracleの強敵だし、数年前、Microsoftの餌食から逃れ、今ではすっかり健康的な会社に戻ったから。今回、Mark Hurd氏がスキャンダルでHPのCEOを辞め、Oracleに拾われた。Ellison氏はSunを買ったけどハードウェアは解らない。Hurd氏がその役目さ。そして、彼の後釜にHP CEOになったのが元SAP CEOのLéo Apotheker氏というわけだ。彼なら出来る。
#4: インターネット関連企業の大型IPOはないの?
- No big internet IPOs
Zynga、 LinkedIn、Facebook、Yelp、Grouponなど。Sand Hill Road(VCオフィスが集まるシリコンバレーの有名な通り)ではこれらのうちどれかが今年IPOを実行し、IPO市場が戻ってくることを祈ってるよ。夢を見よう!ゾンビが追いかけてきてもIPOへ向けて走りきろう。
#5: GoogleがTwitterを買うよ!
-Google will buy Twitter
Googleって、検索以外は買収で出来上がったようなもの。まだ大きな会社を1つや2つ買うには十分の資金はある。社内で走らしたSNSプロジェクトはほぼ失敗。 Yelp(地域店のレビューサイト)やGroupon(共同購入サイト)の買収もダメだった。Twitterかな。
最近の評価では、Groupon で考えていた資金の半分程度だ。Googleは不安定なTwitterを救うかな。現在のところTwitterにはしっかりしたビジネスモデルがないので、持ち込まれれば、YESと言わざるを得ないだろう。GoogleならTwitterの巨大なユーザーベー スからお金を儲ける方法を考え出すさ。
#6: 中国ハイテク企業のIPOは米国を凌ぐ!
-China will have more tech IPOs than the U.S.
ぼやっとしていたら、昨年、中国企業が米国市場で41もIPO(新規株式公開)だって。きっと今年も米国企業を抑えて凄いぞ。
#7: Appleから待望久しい音楽ストリーミングサービスが開始?
-Apple launches its long-awaited music streaming service
ノースキャロライナ州で建設中だった巨大なデータセンターが出来た。Appleは1年前、ミュージックストリーミングのLaLaを買収、今はシャットダウンしている。この生まれ変わりがApple の今年の目玉だ。もうこうなれば、いちいちiTunesで買わなくたって、視聴料(サブスクリプション)でどこからでも音楽を聴くことが出来るって言うわけさ。
#8: ベンチャーキャピタル・ブルース
-Venture Capital Blues
スタートアップの資金集めはヨタヨタかな。自力での資金調達も、VC投資も、昨年並みだと思う。ハイテク業界にはまだまだ革新的なものはあるけれど、今年はパートナーは減るし、利益も厳しそう。
#9: シリコンバレーの雇用も横ばい
-Silicon Valley jobs will remain flat
今年もこれまでの経済反動で雇用は総合的には横ばいだ。お陰で州政府の財政は最悪。それでも建設業界はなんとかなるけれど、ハイテクは失業と新規組で相殺かな。
このシリコンバレーは特殊な地域だ。ひとつの産業(ハイテク)だけで全体をカバーするのは、良いのか、悪いのか。
#10: ク ラウドはバブル? -Cloud bubble
次なる大きなバブルはクラウドだよ。去年はストレー ジ企業の買収価格が加熱したし、
それに元祖クラウドのSalesforce.comの株価も大暴れしたね。昨年、クラウドスタートアップの少なくとも10社で、VCから$20M(1㌦100円換算で20億円)の資金を集めた。2011年は、これらのスタートアップを大手クラウド企業が買収するという流れだね。
きっと、危険な入札競争や払い過ぎが起こると思うよ。
#11: ブロード バンドの請求書が変わる?
-Broadband bill comes due
今年はモバイルやビデオの急増で、AT&Tやベライゾンなど、大手キャリアのネットワークに大きな混乱が起きると思う。彼らは使いたい放題の現行価格戦略から、利用量による課金に変えてくるだろうね。この流れは、このところ連邦通信委員会 FCC(Federal Comminucations Committee)によって幾分は整理されたけど、企業ユーザーはもちろん個人でも大きな問題になるんじゃないかな。
O'Brein氏 の歯に衣着せぬ予測には、どきっりだ。
こんな時こそ、指摘されたような幾つかの大型買収が動き出す。また、クラウドはバブル気味、これも当たっている。昨年8月のHPとDellの3PAR買収合戦、結果は一度Dellに決まっていたものをHPが上乗せしてひっくり返した。最終の買収価格は$2.4B(1㌦ 100円換算で2400億円)だ。そのDellは、昨年12月、仮想化機能を持ったネットワークストレージのCompellent Technologiesを$960M(同960億円)で買収した。氏は、また、大手のクラウド企業がスタートアップの買収に動くと言う。今年も、また、クラウドから目が離せない。 (翻訳は大意訳とし、一部、解りやすさのために補筆)