2011年1月25日火曜日

連邦政府のITリフォーム計画はクラウドが核!


連邦政府のクラウドが本格的に動き出しそうだ。
連邦政府CIOのVivek Kundra氏は、ここ3ヶ月で、3つのシステムのクラウド化計画をレビュー、今年末までに1 つを稼働させ、残り2つは2012年6月までに本番を開始させると宣言した。 3つとは、一般調達局-GSA (General Services Administration)と農務省(Department of Agriculture)、さらに内務省(Department of Interior)のプロジェクトだ。GSAではUnisysと契約し、17,000ユーザーの自前eメールをGoogle Appsに移行する。GSAはこれによって、ライセンスや要員などから50%の費用を削減、今後5年間で$15M(1㌦100円換算で15億円)のセーブ を見込んでいる。農務省の場合は、21の異なるeメールシステムをクラウドに統合し、120,000人をサポート、年$6M(同6億円)の費用削減になる という。内務省でも13のバラバラなeメールをクラウドベースに統合、 5年間で$36M(同36億円)のセーブとなる。

◆ 連邦政府のITリフォーム計画(Federal IT Reform Plan)
こ れら一連のレビューは昨年夏から続いているもので、既に38が終了した。
その結果、11のプロジェクトは順調、12が8ヶ月~2年強の遅れだっ た。さらに11は大幅な機能見直しとなり、4つのプロジェクトは中止、これで$3B(同3,000億円)の予算削減が可能となった。これらの結果を踏まえ て、昨年12月、「連邦政府のITリフォーム計画」が発表された。この計画は、進行中のITプログラムの妥当性の検証よりも、どのように そのプログラム を実現させるかという点にウェートを置いた「リフォーム案」である。それ故、狙いは、①操作性の向上(Achieving Operational Efficiency)と、②大規模IT 計画の効果的な管理(Effectively Managing Large-Scale IT Programs)に絞られている。つまり、「使い易さ」と「コスト削減」の追求だ。

◆ クラウド優先政策(Cloud First Policy)
さて、連邦政 府で実際のIT予算の権限を握るのは、行政管理予算局-OMB(Office of Management and Budget)である。OMBはこのリフォーム計画に深く関与しており、「新たなIT開発を進めるにあたり、安全で信頼でき、かつ費用効果がよいクラウド のオプションが存在する時は、これをデフォルトとすることを義務付ける」と宣言した。
このクラウド優先政策が、リフォーム計画の基本ポリシーであ る。

◆ リフォーム計画の指導方針
そして、 実行に当たっての指導ポイントは、以下の6項目だ。
①18ヶ月以内に上手く整理できないプロジェクトの1/3は終了か方針転換をさせる。
② 「クラウド優先(Cloud First)」政策に沿って、各機関毎、3ヶ月以内に、3つのクラウド化を義務付け、12ヶ月以内にもう1つを移行させる。
③2015 年までに、連邦政府全機関の持つデータセンター総合計を800に削減する。
④主要なIT計画で予算が許されるのは、以下の場合に限る。
  - 専任マネージャーとフルスタッフによる統合チームを持っていること。
  - モジュラーアプローチで、ユー ザー向け新機能を6ヶ月おきに提供できること。
  - 専門のITプロフェッショナルを採用していること。

⑤各機関の CIOのもとで、IT予算統合を進める議会と協力するために、モジュラー開発などによって、柔軟性のある予算モデル化を進める。
⑥提案依頼 -RFP(Request for Proposal)の効率化のため、会話型のプラットフォームを開始する。

◆ 25のアクションアイテム
さらに この計画では、計画実行をより厳正化するために、25のアクションアイテム(右図)が定められた。各々のアイテムには担当組織の明確化、そして目標期間 (半年以内、1年以内、1年半以内)が規定されている。このアクションアイテムの選定は、前述の38プロジェクトのレビュー結果を色濃く反映したものであ る。

主なアクションアイテムについて見て見よう。
アクションアイテムのトップにあげられているのはデータセンターの統合だ。これ は現存の2,094のセンターを2015年までに800に集約する。データセンターを保有する各政府機関はOMBと連携して、統合のためのタスクフォース を半年以内に立ち上げなければいけない。内務省では既にこのためのプロジェクトがスタートし、現在持つ210のデータセンター(総計9,000サーバー) を2015年までに55%減の115とすることを決めている。
また、一連のレビューの結果、大規模開発の見直しが進み、主要なものはアクションア イテムとなった。国土安全保障省-DHS (Department of Homeland Security)では、洪水災害時のNFIP(National Flood Insurance Program)が問題となった。レビュー時に、プロジェクト管理の不備、コントラクターへの仕事の指示の不明確さなどが指摘され、結果、このプロジェク トは中止となった。これによる予算削減は$23.8M(同23.8億円)だ。退役軍人管理局-VA(Department of Veterans Affairs)の軍人恩給支払いのペーパーレスシステムでは、アジャイル/モジュール開発へのシフト、本番時期の見直し(2012/3Q)などで初期契 約の変更が行われた。

◆ 実りある実行へ向けて
以 上のように、連邦政府のクラウド実行計画が具体性を帯びてきた。
2009年9月、Federal Cloud Computing Initiative(連邦政府クラウド計画)を受けて連 邦政府のパブリッククラウドApps.govが動き出し た。しかしスタートは早かったが、移行は当初計画より大幅に遅れた。Appsを構成するSaaSはともかく、要となるIaaSの“Cloud IT Services”提供が難航したからだ。結果、提案依頼書-RFP (Request for Proposal)がやり直しとなった。そしてやっと昨年10月、候補企業11社が選定された。今回のアクションアイテムにも、GSAの責任でAppsのIaaSは6ヶ月以内 の稼働が明記されている。このクラウドサービスに含まれるのは、“仮想マシン”と“クラウドストレージ”、そして“Webホスティング”だ。Appsス タートから約1年半、ようやく各省庁機関を取り込んだ移行計画が動き出した。今回のリフォーム計画は、Appsだけでなく、外部クラウドの利用やプライ ベートクラウド、さらにデータセンター統合など広範囲の内容を含んでいる。これらが上手く動き出せば連邦政府のITシステムは生まれ変わる。