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次期Microsoft Office 2010が ハイブリッドとなって登場する。ハイブリッドとは、スタンドローンの従来型とブラウザで利用するWebサービスの組み合わせのこと。Worldwide Partner Conference 2009(7/13~16)で行われたプレゼンで同社は、このことを『Software Plus Service』と説明した。予定されるOffice 2010は、現Office 2007のビジュアル化を主体とした機能向上、そしてオンライン版はOffice Web Appsとして提供される。
Office 2010が実際どのように進化するのかWordを事例に見てみよう。
まず①SmartArt機能によるビジュアル化。これによってよりビジュアルなチャートや
ダ イアグラムの挿入出来る。これまでも飾り文字などを表示するWordArtがあったが、SmartArtでは、Paint Brush、Photocopy、Color Effectなどのグラフィックス化が可能だ。さらに新登場の②Picture Edit Toolを使えば特別なPhoto Edit Software無しに写真の加工ができる。③Office Communications Server 2007を用いたOffice Communicatorでは共同作成者や作業チームとのコラボ利用もできる。④作成ドキュメントをWeb上(Word Web App)やモバイル(Word Mobile 2010)からアクセス/共有するAccess & Share Documents Virtually Anywhereも登場。⑤ドキュメント検索やナビゲーションの向上ではSerch & Navigation Pane。⑥テキストのビジュアル化として登場したVisual Effectでは、通常文字の影つけ、輝き、ぼかし、反射、傾斜などの加工が可能となる。
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⑨ 手書き文字挿入のHandwriting、⑩多様なEnhanced User Experienceなど。Microsoft Office 2010に含まれる他のExcelやPowerPoint、Outlook、OneNoteも同様にビジュアル化が進んでいる。
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さて、肝心のOffice Web Appsだが、まだあまり多くは明らかにされていない。
提供されるのは、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteだ。利用にあたってはWindows LiveのAccount(無償)を持つこと。同社はこれまでLive経由で幾つかのWebサービスを提供してきたが、今回のLiveへの誘導は、新検索エンジンBingの普及作戦だとするむきも多い。またMicrosoftとブラウザといえば、Silverlightが 気にかかるが、将来版はともかく、初期版では使われない。製品機能はスタンドローンの良く使うものを切り出したものだという。これで通常使用には、十分な のかも知れない。利用できるブラウザはIE、Firefox、Safariで可能だ。また、PCだけでなく、iPhoneなどのモバイルでも使うことが出 来るが、残念ながらChromeとOperaには対応していない。
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最 後に、Office Web Appsを出した理由だが、最大の狙いはGoogle Apps対抗ではないかと思う。このところChrome OSなどで積極的なGoogleにとって、確かにOffice Web Appsの登場は厄介だ。Microsoft Officeの絶対的な優位性が一時、Google、IBM、Novell、Red Hat、Sunなどが参加するODF AllianceのOpenDocument Fileで崩れかけたが、Office Open XMLで持ち堪えた。今度はMicrosoftが攻める番が始まりそうだ。