2009年8月5日水曜日

SUSEからも仮想ソフトウェアアプライアンス


SuSE Linuxを提供するNovellからもSUSEアプライアンス・プログラムが発表(7/31)された。このプログラムはISVソフトウェアを仮想アプライアンスとして扱い、クラウド上の仮想マシンだけでなく、物理マシン上でも簡単に稼動させることが出来る。このプログラムでは、幾つか重要な製品が登場した。ISV各社はこれらを利用してアプリケーションをソフトウェア・アプライアンス化させて出荷させることが出来、ユーザはこれまでのようにソフトウェアを購入してインストールし、利用するという煩わしさから開放され、クラウド上にアプライアンスを載せれば実行が出来る。

今回の発表で、まず登場したのは、Webベースでソフトウェア・アプライアンスを作成するツールのSUSE Studio。前回の記事で述べたVMware Studioはスタンドローンだが、SUSEの製品はWebベースだ。ISVはこれを使ってアプライアンス化し、さらにVMwareのMarketplaceと同様にSUSE Studioに登録(現在6,000~登録済み)する。ユーザからみると、StudioはRightScaleのようなソフトウェア・スタックのコンフィグレータとして機能する。ユーザは、登録ソフトウェアを検索して、仮想マシンのソフトウェア・スタックを決め、それらをビルドし、TESTランもStudio上で可能だ。



次に、仮想アプライアンスのために利用されるOSが登場した。SUSE JeOS、正式にはSUSE Enterprise Linux JeOS(Just Enough Operating System)という。フル装備のSUSEから実行だけに必要な部分だけを切り取った軽量のOSである。このJeOSと仮想化されたミドルウェアやアプリケーションなどをスタック化し、纏めてビルド、そしてTESTラン、全てがブラウザで出来る。このシステムで扱えるフォーマットは、現在のところ、Live CD、VMware、Xenなどだが、近々OVF、Hyper-V、Amazon EC2もサポートの予定となっている。

◆OVFによるソフトウェア・アプライアンスの標準化

クラウドコンピューティングは、進化しつづけている。
これまでのソフトウェア利用の方法が変わり、アプライアンスが一般化しつつある。
これまでのISVのライセンスモデルも、ITベンダーのビジネスモデルも変わり始め、ユーザにとって次第に便利な状況に進むだろう。この流れを作ったのは、紛れも無く、DMTF(Distributed Management Task Force)のOVFである。DMTFは、標準化を謳いながらベンダーの囲い込みに協力してきたW3CやOASISとは異なる実務的なタスクフォースだ。いわば、ベンダー間のオープンソース・コミュニティーとも言える。当初の異なる仮想マシン間を移動させるフォーマットは、物理から仮想への移行、さらにソフトウェア・アプライアンスとして開花してきた。VMwareを筆頭に、これまで固有のフォーマットで市場を分けてきた仮想化技術のベンダーは、徐々にOVFによる統一に向かって動く。そのための開発環境がVMware Studioであり、Novell SUSE Studioである。SunのVirtualBoxも既にOVFを採用しているし、Citrixも既報のようにProject Kensho(5/7記事)をスタートさせている。きっとMicrosoftもVisual Studioにその機能を取り込むことになろう。また、クラウドの運用管理を担うIBM TivoliやHP Open Viewなど、さらには幾つか見られるスタートアップ製品にもOVFが採用されることは間違いない。


このような健全な方法で標準化がなされれば、クラウドコンピューティングが真にユティリティ化して、どの企業からも、仮想技術の違いを乗り越えて、仮想マシン間やクラウドとOn-Premise間の自由な行き来が出来るであろう。