=競合から共存へ!=
RackspaceとAmazonは周知のようにこれまで競合関係にあった。2006年Mossoから始まったRackspaceクラウドはNASA Amesと共同でOpenStackプロジェクトを立ち上げた。2009年のことである。以来、Rackspaceは自社クラウドを徐々に整備して、完全なOpenStackベースに置き換えてきた。並行して、米国内ではOpenStackをPrivate Cloudとして採用する大企業が増加。この分野のSIで成功している企業がMirantisである。 しかしPublic Cloudでは、先行するAWSが大きなパイを握り、エンタープライズで実績のあるMicrosoftやIBMが追い上げている。混沌とした状況の中、既報(1、2、3)のようにRackspaceは昨年もだえ苦しんでいた。企業売却か事業継続か。そして選択した戦略は「競合から共存へ」だ。同社がもっとも得意とするのは充実した人材によるサポートである。企業がオンプレをPublic Cloudに移行する際、もっとも気になるのはセキュリティーやサポートである。だからこそ、各種のDedicate Servcieが流行るのだ。Rackspaceはこの高品質なサポートの提供でこれまで業績を伸ばしてきた。この武器を競合相手にも提供しよう、それがRackspaceの生き残りをかけた決意となった。今年7月中、まず手始めにRackspaceはMicrosoft AzureのリセラーとなってAzure Supportを開始。そして今度はAWSを販売し、そのサポートを受け持つ。競合の彼らが出来ないことをRackspaceが担当し、新しいエンタープライズ需要に応える覚悟だ。勿論、これまで通り、出来ればOpenStackをPublic Cloudとして販売したい。しかし、それは市場に委ね、競合相手のサービスも付加価値をつけて、販売・サポートする。これこそが現実的な解である。先週末には、同社株価は6.8%アップ、今後の動きを注目したい。